ハートが高尚にできてるからさ/Re:CREATORS 9話感想
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下にあるものが何色なのか私、気になります。
Re:CREATORS(レクリエイターズ) 第9話「花咲く乙女よ穴を掘れ」
© 2017 広江礼威/小学館・アニプレックス



アルタイルとの戦闘で致命傷を受けてしまったまみか。フラフラと地に落ちた彼女を見つけたのは真鍳で……
まみかとの行き会いを楽しむところで終わることに象徴されるように、今回は築城院真鍳という人物をたっぷりと語らせるお話。「嘘の嘘、それはくるりと裏返る」という魔法の言葉に象徴されるように、彼女は巧みに裏と表を入れ替えます。アリスに対してはまみかの遺言という真実から嘘を組み上げ、颯太に対しては彼の嘘から真実を編み出す。しかして彼女の本質本願は嘘を付くことではなく、人を仕掛け通りに動かすことにこそある。彼女の中で嘘と真実は等列にある。
象徴的なのは颯太に「メテオラが内通者だ」とセレジアに伝えるよう頼むくだりで、この嘘は最初から嘘であることを宣言しているし内容としてもはなはだ稚拙です。説得力が必要かと問うたように、そのまま通じることはない。ここで重要なのはまみかの遺品と合わせて「真実は作り上げるもの」だと披露してみせる事であり、颯太がメテオラに全てを話せない(真実を作った)のも同レベルの行為だと貶める事にあります。「言ってみれば、私達みんな嘘つきの仲間ってことかな」という台詞と共に彼女は指を鳴らし劇伴が終わりますが、それは颯太に魔法をワンステップかけ終わったという事であり、あとはまみかを殺したのは誰かという「真実」を語ればそれで颯太の心は折れてしまう。「なんでそんな事ができるの」と呆然と問う颯太を足で絡め取る仕草は、「高尚なハート」を形作る行為であり、同時にスカートの下で真っ黒に隠された臓物をおっぴろげる行為でもある。実に悪魔的な蠱惑に満ちたワンシーンでした。
しかして途絶えた劇伴が再開するまでの間隙、彼女はぽつりと口にします。「ま、あたしの神様は根性なくて死んじゃったけど」……劇場的に語り続ける中でその時だけ彼女は颯太ではなく遠くを見ている。「ぶぁーか」と吐き捨てる姿には、そこだけ別の彼女が顔を見せていたように感じられました。作者殺しもあれ、彼女なりに親にじゃれてみた結果なのかしらん、はた迷惑極まりないけど。
いずれにせよ彼女が文字通り人の血を食い物にする存在なのは確かであり、逆に言えば彼女の言動は適切に対象の心の血肉を突き刺す。メテオラだけでは颯太の心の膿を絞り出してやれなかったのは当人の認めるところであり、そしてその後の止血はメテオラでなければできなかった。真鍳自身が挑発していたように、2人は敵味方における等列なのでしょう。さてさて、言葉遊びと等列の力遊びに現れたアリスとの対決やいかに。
関連:
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Re:CREATORS 第2話「ダイナマイトとクールガイ」
Re:CREATORS 第3話「平凡にして非凡なる日常」
Re:CREATORS 第4話「そのときは彼によろしく」
Re:CREATORS 第5話「どこよりも冷たいこの水の底」
Re:CREATORS 第6話「いのち短し恋せよ乙女」
Re:CREATORS 第7話「世界の小さな終末」
Re:CREATORS 第8話「わたしにできるすべてのこと」

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