それだけで、いいんだ/蒼穹のファフナー EXODUS17話感想
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買っておいた豆腐を食べ損ねていたので、それを使うのを前提に買い出し。消費期限は1日過ぎるが、まあ冷奴で食べるのじゃなきゃ大丈夫だろ(目逸らし)
蒼穹のファフナー EXODUS 第17話「永訣の火」
©XEBEC・FAFNER EXODUS PROJECT



自分の能力で「未来を変える」ことで現在に影響が出ることに気付いたカノンは、文字通り自分の命をすり減らしながら孤独な戦いを続けていく。果たして彼女は、求める未来を手に入れることができるのか……
願いと望みの選択、第17話。最初は鏑木家の和解について、彗の言葉が心こそこもっておれど先週の里奈のそれとあまり変わらない事に首を傾げたのですが、見返してみて納得。この和解劇はカノンが「未来を変えた」ことによって起きたものなのですね。同様に話の筋だけ見れば11話と大きく変わらない零央の美三香への励ましが先週と今週に分かれていたのも、カノンの能力による結果ということなのか。他にもゴルディアス結晶の成長、新同化現象の解明、ウォーカーの正体の判明などそのまま1話でやれば都合がいいとしか言いようがない出来事がカノンの能力によって起こされ、物語は加速する。
もちろん都合のいいことには代償が必要となり、それがカノンの命なわけですが、彼女が自分の命を使い切る決断をするきっかけが「自分と一騎だけが生き残る未来」を防ぐためだというのが残酷であると同時に、とても美しい。
ただ単純に「島が全滅する未来」を防ぐためであれば、彼女が未来改変のために命まで捨てるのは他作品でも見られる自己犠牲でしかなく、どころかカノンの行動が島の人には分からないように、因果があやふやなために彼女の決断の重さも視聴者には伝わってこない。逆に「都合のいい死」ですらあった筈です。ところが改変するものが「自分と一騎だけが生き残る未来」であることで決断の重みが明確になり、カノンの一騎への慕情がクローズアップされる。
美しい、と書いたのはこの慕情の部分で、島の外にいる一騎は、本来なら今カノンの前に姿を表すことがない。よくあるドラマなら彼女は、遠くの一騎をただ単に思いながら死を迎えたはずです。でもカノンは自分の奥底にあった願望によって「一騎であって一騎ではない一騎(ありえる未来の形としての一騎 )」に再会する。
最後に「楽園」で語らった一騎は「ありえる未来の形」の延長であって、単なる幻影ではない。そして同時にやはり「現在の一騎」でもない。そんな相手だからこそカノンは自分の決断を言葉にすることができる。そういう可能性があった喜びを口にできる。そしてそれでも、カノンはこの「一騎であって一騎ではない一騎」を振り切って、遠くにいる「現在の一騎」に「好きだよ」と思いを告げ消えていく。この去り際の告白のなんといじましく、思いの貫かれていることか。お祭りの浴衣を利用した着替えで「娘としての思い」と「女の子としての思い」を分けて表現していたのも彼女にとっての大切なものを示していて印象深く、1期からのキャラの退場劇としてとても丁寧に描かれた回でした。
「後は頼む」という言葉の示す所なども気になりますが、今はこの余韻をもう少し味わっていたい。カノン、お疲れ様でした。キャラが容赦なく死んでいくこのファフナーという作品で、こんな言葉を送れる日が来るとは思わなかったよ。
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蒼穹のファフナー EXODUS 第7話「新次元戦闘」
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