映画感想 「「たまゆら~卒業写真~」第3部 憧-あこがれ-」

「「たまゆら~卒業写真~」第3部 憧-あこがれ- 」を新宿ピカデリーで視聴。前回は艦これイベント攻略優先で2週目で見に行きしたが、今回は仕事で今週しか見に行くタイミングがない……!
<映画感想 「「たまゆら~卒業写真~」第3部 憧-あこがれ-」>
今回は冒頭、楓のナレーションで「自分達にとっては特別な高校3年の秋も、周囲にとってはいつも通り、当たり前の風景」と語られるわけですが、麻音の進路と楓の夢に関わる悩みを通して、それが無償のものでも変わらないものでもない事が描かれていくのが印象的。
麻音は自分の故郷、家を土台に様々な夢を広げてきたわけですが、その土台はけしてあって当たり前のものではなく、両親の尽力があってこそ成り立っている。そのことを過酷な現実ではなく「勘違い」で気付かせるというのがこの作品らしくなんとも優しい。しかも視聴者目線では勘違いなのはバレバレというのがこれまたやっぱり優しいw 寂しさや懐かしさといったものは感じさせても、「たまゆら」は悲壮になっちゃいかんのですよね。たくさんの夢を抱える麻音が選ぶ進路は夢を絞るのではなく、たくさんの夢はそのまま、その土台を知ることというのが、第2部でやりたいことに悩んでいたかおるとは違ったあり方、進み方を感じさせて心地良い。
一方の楓は、夢が決まったが故に自分が「当たり前の風景」から離れていくことを本能的に感じ、それに混乱していく。更に父の形見のローライが壊れたことが追い打ちをかける。誰も彼も何もかもが同じままではいられないし、それは否応なしに訪れることもあれば自分の中に生まれることもある。変わっていくことへの怖さを外だけでなく内だけでなく描き、更にはこの3部時点では未解決のままとすることで、いい意味で彼女の葛藤は曖昧なものとなり、視聴者の様々な共感への広い受け皿となっています。
そして放送時間の間に悩みが解決しない……というのは「たまゆら」では珍しいことですが、それが視聴者を不安なままにさせたり生殺し的な後引きにしていないのはこれまたやはり、本作の優しい部分。悩むのはそれだけ父親と竹原の皆が大切だからで、そして悩みに気付いた今もそれらは彼女を優しく見守っている。特にかおるが楓の悩みに「気付く」のではなく「気付かせてあげる」というのが素敵。受け止める、一緒に悩むというだけじゃない、積極的な思いやり。直前のちひろとのやりとりは、これもまた1つの「思いのバトン」の繋げ方なのだなと感じました。だから大丈夫、大丈夫なんだよ、楓。
それにしても、ここで再び楓を悩ませるというのは年4回に分けての劇場公開という形態を上手く活かしているなあ。30分を1話とする感覚で言えば、1クールのテレビ作品に当てはめた場合2度悩ませるには間隔としては短いのですが、この作品の場合は楓が最初に悩んだ第1部から既に実時間で半年が経過している。そして合間の第2部はのりえとかおるの物語であり、楓はあくまで脇役に留まっていた。この第3部で楓が再び悩むことは、本作をもう1度彼女の物語として捉え直すものでもあります。さて、彼女はどんな風に決断し、どんな卒業式を迎えていくのだろう。来年の完結を、心待ちにしたいと思います。
しかし配役の時点で話題を読んだ麻音の両親ですが、今回思い切って羽目を外してきたなー。元ネタは未視聴なんですけど笑ってしまいましたwww
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