信じていい未来なんだよ/蒼穹のファフナー EXODUS26話感想
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年末で良かったと思う遅れ&夜更かしぶり。
蒼穹のファフナー EXODUS 第26話(最終回)「竜宮島」
©XEBEC・FAFNER EXODUS PROJECT
アルタイルの来訪が迫る中、激闘は続く。ジョナサンの駆るマークレゾンの圧倒的な力に仲間は次々と倒れ……
EXODUSの始まり、第26話。個々の部分が短いというより、シーンの絶対数が多過ぎて見ていて感情を絞り辛い作りと評した方が適当な印象。織姫の「芹ちゃん」呼びは分かりやすいので多くの人の印象に残ると思うのだが(twitterのトレンドに出てたとかなんとか)、その他はどのシーンが印象に残った、と聞かれると意見が別れる所なのではないかと思います。僕としてもこの30分を総覧して脚本展開が云々……といったいつもの感想を書くのは正直難しいので、今回は個人的に印象に残った箇所に触れることにしました。
<1.キース・ウォーターの最後、ビリー・モーガンの最後>

アルゴス小隊最後の生き残りとして真矢に勝負を挑んだキースでしたが、その最後はコクピットから身を乗り出しワイヤーを切断、フェンリルを再起動させたところでファフナーごと振り払われ、笑い声をあげて落下しながら爆発に巻き込まれる……というものでした。彼女はなぜ笑ったのか。僕は、彼女のこの行動は一種の呪いだったのではないかと思います。
真矢はヘスターとの対話のために障害となるダスティン達を殺害しキースの恨みを買ったたわけですが、この最後の戦いでは新国連のファフナーの行動力を奪いながらも殺さない方法を取っていました。キースの呼ぶ所の「死神」であることをやめていたわけで、そんな真矢にとってキースは唯一この戦いで「殺した」人間なのですね(一度操作系を奪った機体を取り戻すとはどういう行動をしたのか、そしてその状態の相手の機体を振り払えばどうなるかは真矢は判断できるはずだ)。キース機を振り払った瞬間、再び彼女は人殺しになった。殺そうとしないなんて偽善はやめろ、お前は死神だ――そんな事を思いながら、キースは笑って死んでいったのではないでしょうか。
そして冷静にキースを殺した一方、真矢が人を殺したくないと思っていたのも確かで、それはキース機と同時に組み付いたビリー機に対してはコクピットブロックを摘出することで自爆を止めようとした行為でも現れています。兄の時のように、マインブレードをコクピットに突き立てればそれで終わっていたはずなのに。でも、それは更にビリーを混乱させることになってしまった。

「兄さんは正しい人だった。アイもミツヒロも。なのに、何が正しいか分からない!」
かつて自分の憧れであった兄は交戦規定アルファの名の下にシュリーナガルの民を容赦なく殺し、その癖ビリーは助けようとし、ジョナサンは新国連のスパイ(パペットだとか知らない)でバーンズ麾下の英雄になり、アイは兄の仇として友人だった筈の真矢を殺せと言う。でも、兄を殺した真矢は自分を助ける。もうこんなの訳が分からんよ(´・ω・`) もちろん彼が強い人間ではなかったことも最後の結果になった一因ではあるのですが、彼の周囲の人々の行動は余りに複雑で神の視点でもなければ理解を超えている。そんな状態の彼が確かに言えるのは、もう真矢が兄を殺したという事実しかない。そして彼の血飛沫は、ダスティンやチェスター、キースの代わりに真矢への「返り血」になる。
最終的に美羽の言葉に真矢は救われるわけですが、2人の退場は真矢の精神と肉体に自分の罪を再認識させるためのものだったのではないでしょうか。
<2.芹にとっての広登の存在の意味>

先週消化不良と書いた広登の死に対する芹の反応の不足ですが、最終回でも彼に対する言及はなし。何のための恋愛フラグだったんだ、としょんぼりしたのですが、最終的に芹が島に残る選択をしたことで、なんとなく意味が掴めたように感じました。
全体に今回は竜宮島のパイロット達の交流が少なめでしたが、芹の場合はそれが他のキャラよりも徹底しています。SDPが他を同化してしまうものだった彼女には隔離措置が取られ、他のキャラが交流している所に一緒に入るのが難しくなってしまう。その状況で彼女に取って変わらなかったものが「広登のテレビ映像」でした。何せ彼は島の外にいるわけですし、隔離措置の影響もへったくれもない。彼の存在こそは芹にとっての「織姫以外の島の人達」の象徴だったのですね。けれどそれは広登の死によって届かないものになってしまった。だから彼女は織姫と一緒にいることを選ぶ。家族や里奈といった、本来他にもあった筈の繋がりもかなぐり捨てて。芹の最後の選択は、「描写が少ないからこそ」自然に受け入れられたものだったのではないかと思います。
以上、この2点が最終回を見て僕が印象に残った部分でした。しかしこの結末、続編を出す気満々にも見えるしアルタイルとの対話が実現は「いつか来ると信じる日」であるからこそ美しい希望のようにも見えるし、自分の中で終わらせていいものなのか迷ってしまうなあ……個人的にはこれで終了でもいいんじゃないかと思いますが、どうにもモヤモヤしてしまうのも正直なところ。
とはいえ、非常に高いテーマ性を持った脚本、SDPという新要素を違和感なく取り込んだバトル要素等など終始クオリティは高く、HAEから完結まで5年の歳月がかかっただけの満足度のあるものであったと思います。スタッフの皆様、お疲れ様でした。
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蒼穹のファフナー EXODUS 感想リスト
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蒼穹のファフナー EXODUS 第2話「希望の名は」
蒼穹のファフナー EXODUS 第3話「対話の代償」
蒼穹のファフナー EXODUS 第4話「継承者たち」
蒼穹のファフナー EXODUS 第5話「新世界へ」
蒼穹のファフナー EXODUS 第6話「祝福のとき」
蒼穹のファフナー EXODUS 第7話「新次元戦闘」
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蒼穹のファフナー EXODUS 第9話「英雄二人」
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蒼穹のファフナー EXODUS 第11話「変貌」
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