ちょっと大きめの/ディメンションW2話感想
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気がついたら漫画版マジェスティックプリンスの10巻が出ていた。4巻分も未読が溜まってるじゃないか((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ディメンションW 第2話「ルーザー」
©岩原裕二/スクウェアエニックス・DW製作委員会.


回収屋としてキョーマと共に働くことになったミラ。今回仕事の対象となるのは不正コイルを使い美術品を盗む怪盗・ルーザー。毎回通信ジャックで派手な中継を行い観衆を沸かせるが、一度も盗みに成功したことがない彼の真の狙いとは……?
キョーマの過去、コイルの秘密、第2話。前回同様に約120ページを1話に盛り込んでなお破綻しない脚本の再構成ぶりが光る。特に軽量化に一役買っているのが、回収屋としてのミラの初仕事であることを強調していない点。原作では回収屋の心得やいわゆる正義の見方とは違う点などをキョーマがミラに説いていたのですが、ルーザーの通信装置の居場所の探し方について何も言わない場面に象徴されるようにアニメではそれらがカットされ、キョーマの対応がぶっきらぼうなものになっています(原作でも結局放置して1人で飛び出しはするのだけど、通信装置の場所は「本人に聞くのが1番」とは語っている)。一方でミラにさっさと着替えるように言って蹴ったりといった冷たさもカットされているので、優しさだけがなくなっているわけでもない。カットをカットで打ち消してキャラの印象は崩さず、時間だけは確保するという正に一石二鳥の工夫がされているわけです。
また話数をまたぐことによる場面転換も活用されており、ミラが回収屋をさせて欲しいと頼んだ先週の引きの続きを原作のようにそのまま描くことなく、美術館についてからの回想という形にすることで前後の流れの省略に成功しています。マリーの語り出しで始まる回想のフックに本人の用意した着替えを使うのも秀逸だし、その終盤の台詞は士堂博士の遺言やミラの存在の重要性などの整理をするものに置き換えられてもいる。これまた単なるカットに留まらず、視聴者の理解を助ける内容になっているわけです。
他にアクション面ではこのルーザー編、キョーマは街灯を使った大ジャンプやコンパニオン型ロボットのロボットとの戦闘で「特大輪ゴム」という分かるけどそのまんま過ぎるアイテムを使っていたのが、アニメでは前回ミラを捕縛する際にも言及したワイヤー付きの鉄串に置き換えられています。これによりしなるワイヤーやそれを使ったキョーマの動きといった部分がとても動画映えするものになっており、ルーザーとの勝負が彼の勝利ではなく実質負けに終わっているにも関わらず十分な格好良さを演出してくれている。警備システムが放った高粘着ボールへの対処などは原作では省略されていたもので、ここでもキョーマがワイヤーを使った回避を見せることで一連の追走劇がスピード感溢れるものになっています。
そして今回の白眉と言える変更がこちら。

原作では通信装置を探して飛び回るシーンでミラは帽子をうっかり落としてしまい頭部の機器が露出、ルーザーの子供にロボットだと疑われるきっかけになったのですが、アニメでは帽子は風に飛ばされていません。果たしてどうしたのかと言えば……

↓

A.帽子を鳩入れに使わせた
これなら視覚的な違和感もなく頭部の機器を露出させられるわけですね! 原作ではミラの変装はロボットであることを隠すためにマリーが用意したものだったのですが、アニメでは「プレゼントですか?」「知るか」とボカしたので、この変更で彼女がうっかりさんになってしまうのも抑えられています。
1点だけ原作未読の方のフォローをしておくと、アニメではナンバーズと呼ばれるコイルがなぜ芸術品の中に仕込まれていたのかははっきりしていません。原作では「白と黒の翼を持った天使像」は「動く芸術品」であることが館長の紹介時に明らかになっており、その動力として使われているのがコイル……という説明が入っています。どうしてナンバーズなんて特別なものが使われていたのかは分かってないのですが、分かってないからむしろ説明する必要がないわけです。
他にもミラが通信鳩と発見したロジックの簡略化といった様々な脚本の省略がされている一方で、事故の隠蔽について石田彰声のアルベルトに語らせる事でうさん臭さを強調したり、前述のルーザーの子供との会話で回収屋を繰り返し主張するミラの可愛さなど要点はむしろ強化されており、ただ単に短くするだけでない前向きな変更が見られた第2話でした。うーん、よく読み込んで作ってあるなあ。
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