また、いつか/無彩限のファントム・ワールド4話感想
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よくあるようでなかなかない話。
無彩限のファントム・ワールド 第4話「模造家族」
©秦野宗一郎・京都アニメーション/無彩限の製作委員会


学校からの帰り道、古めかしいバスに乗ってしまった玲奈は不思議な心地よさに包まれて帰宅する。小糸はそれがファントムだと指摘するのだが……
家族は1つとは限らない、第4話。現実の家庭に辛さを覚える少女とそれに付け込む魔の手……というオーソドックスな展開を踏襲しながら、登場人物の比重を変えることで一風変わった色合いを見せる物語が印象的。具体的には、玲奈がファントムの家族を偽物とは断じていないことが特色を生んでいます。
そもそもが今回の騒動は玲奈の両親との不和をきっかけとしているのですが、「実の両親」がこの4話で姿を見せることは(最後の遠景を除いて)ありません。暗い世界の岩や、防犯カメラという警戒を意識させるアイテムを通してのみ画面に登場する彼らは冷たい印象を遺す一方、顔が映らないことで映像としてのイメージを結ぶことがない。すなわち「実の両親」と「ファントムの両親」がどこまで似ているのかもさっぱり分からないので、「ファントムの両親」が偽者というイメージも湧かなくなっています。もちろんファントムの両親は動物の姿やコテコテの関西弁といった要素を持っているので「実の両親と別物」なのは明白なのですが、少なくとも甘言の裏でほくそ笑んでいるような悪人のイメージには直結しないのですね。(この辺り、彼らの行動がコメディ寄りで玲奈を感動で泣かせるようなことはしないのも一因か)。そして彼らは最後まで玲奈を強引に誘うことはなく、彼女が現実に帰ることを選択すれば笑ってそれを受け入れる。
騒動の果て、ファントムの両親についていけば現実の家族がバラバラになってしまうという晴彦の言葉、そして「家族みたいなもの」であるチームEを居場所とすることによって玲奈は現実へと帰ってくるわけですが、彼女は最後までファントムの両親を偽者として否定することはありません。

玲奈(けれど時々思うんです。もう1つの自分の家が、あの夕焼けの向こうにあるんじゃないかって。あのファントムの両親に、もう1度会ってみたい。そんな風に思うことも……)
あくまで実の両親は実の両親、ファントムの両親はファントムの両親。自分の居場所は1つじゃなくたっていい。
4話の冒頭、晴彦は世界における家族の多様性を語る中で「血縁上の親と養育する親が異なる」ケースについて触れました。今まで実の両親にクラブ活動の事を話すのを恐れていた玲奈は、ファントムの両親との出来事を糧として事実を打ち明け、活動を継続する許可を勝ち取った。それはつまり、ファントムの両親という「養育する親」によって彼女が成長したということでもあるのです。
一見どこでも見かける話のようでありながら、本作の現実と幻影の境界線の曖昧さが活かされた上質な内容でした。これまでの3話には色々な意味で首を傾げていたのですが、今回はとても腑に落ちる回であったと思います。
関連:
無彩限のファントム・ワールド 感想リスト
無彩限のファントム・ワールド 第1話「ファントムの時代」
無彩限のファントム・ワールド 第2話「迷惑UFOをやっつけろ!」
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