もう一つの可能性/ディメンションW5話感想
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遅くなりました、すみません。そして水曜は帰ってこれないのでてーきゅうは木曜に……orz
ディメンションW 第5話「亡者の可能性」
©岩原裕二/スクウェアエニックス・DW製作委員会.



現実世界へ現れ人を襲い始めた「霧」。果たしてその正体とは。そしてキョーマ達は事件を解決できるのか……?
八十神湖編後編、第5話。今回も原作4巻ほぼまるまる1冊(前回がちょっとだけ4巻にはみ出ていた部分がある)なのですが、解決編となるとさすがに情報量の整理が難しいか。原作未読の方でも初見だけで大雑把なところは把握できるとは思うのですが、それに伴う感情の処理はちょっと追いつかないかもしれませんね。原作を読んだのが結構前の僕もちょっとだけ戸惑ってしまいました。
この辺りは
・ナンバーズがなぜダム穴の中にあるか(榊四十郎が神木四郎を騙して移動させたから)
・なぜ神木四郎は榊四十郎を殺したか(ナンバーズを移動させたダム穴の中のスペースをコンクリートで隔離し、彼らを閉じ込めたから)
という原作ではもう少しだけ早く説明されたことが、最後の解決のシーンで「なぜ榊四十郎はナンバーズを隔離したか」とまとめて語られてしまっているのが原因かな。因果がひとかたまりになり過ぎて、初見で榊四十郎の真意を味わうには原作よりも頭を回転させる必要が出てしまっていたように思います。
ただ一方で、原作では榊四十郎の真意は事件解決時にミラが彼の著作から推測したものだったのに対して、このアニメでは榊四十郎自身が霧に取り込まれて語るようになっているというのが作りとして優しく感じられました。この八十神湖編は「大切な仲間と愛する女性のどちらを救ったか」の可能性の分岐が重なり合うという、タイムリープものでも描けないSFな構図が肝。推測ではなく2人の自分が直接対話するのは重なりあいの象徴として分かりやすいし、騙し殺した者同士の和解としても絵になる。推測でしか無いからこその味、というのもありますが、もう一つの形としてアニメのこのやり方も美しかったのではないかなと思います。
また30分に圧縮されたことで、コイルにより「分岐した存在」である榊四十郎と神木四郎を、再起動を拒絶して「分岐させなかった存在」であるミラが結びつけるという関係性がより感じられるようになっていたのも面白いところ。先述した「可能性の分岐による2つの自己」というのは、コイルの凄まじさを美術館のグロ事故「Wの具象化」ですらその一端に過ぎない事を教えてくれる出来事なのですが、それに翻弄されてしまっては主人公達の芯が成り立たないわけで。再起動したら戻るというロボットなら自然の理屈を拒否することでミラが自我を確立していくのは、この八十神湖編がいつやってもいい1事件ではない、今でなければならない連続した物語だという証左でもあります。キョーマのミラのひっぱたき方の変化も、彼がミラとの付き合い方が分かっていく過程と言えるかなw
部分部分で言えばこぼれてしまった所もありますが、一方で神木四郎が連絡しようとしても携帯が圏外だったという補完や、短時間の中でダムの当直の男が記憶に引っかかるよう微妙に増えた描写などプラスになっている箇所もあり、けして尺納めに汲々としただけの回ではなかったと思います。さて、次回から長ーい物語の始まりだ。
関連:
ディメンションW 感想リスト
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ディメンションW 第2話「ルーザー」
ディメンションW 第3話「ナンバーズを追え」
ディメンションW 第4話「八十神湖に潜む謎」
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