行こう、アルブレヒト/無彩限のファントム・ワールド6話感想
- CATEGORY: Wisp-Blog
- TAG: アニメ_2016年冬アニメ

心の中の世界に落ちた時の久瑠美からのアルブレヒト&ランドセルの奪い方、きのこをクッションにした落下の仕方がなんだか「上手い脱がせ方だなあ」と思ってしまう。
無彩限のファントム・ワールド 第6話「久瑠美とぬいぐるみ王国」
©秦野宗一郎・京都アニメーション/無彩限の製作委員会



舞からまたファントム退治を手伝ってほしいと頼まれた久瑠美だが、自分にそんなことができるのかと悩んでいた。その影響で、彼女は居合わせた晴彦と共に自分の心の中の世界に迷い込んでしまい……
久瑠美回第6話。悩める少女がほんわかした異世界へ、という流れは4話「模造家族」を思い出すけれど、違いとして分かりやすいのは今回はファントムによる現象ですらないこと。4話は登場した両親がファントムであることで生みの親とは違う「もう1つの両親」としての立ち位置を獲得していたわけだけど、今回は久瑠美の心の中の世界と現実でアルブレヒトが直列になる必要があるので、ファントムという個別の確かな存在が寄与してはいけないのですね。
心の中の世界の登場人物がぬいぐるみであることによるほんわかさが印象的ですが、これは絵的なもの以上に物語にも反映されていて、サーモン王子は久瑠美を直接怖がらせることはありません。最初に久瑠美をさらおうとするのもアルブレヒトを傷つけるのも兵隊なので久瑠美がサーモン王子に怒りをぶつけることはないし、最後の攻撃の際もサーモン王子はヤ○タ○ワ○みたいなメカに乗るので直接強さを見せつけることはない。久瑠美はサーモン王子に怯えるよりも、むしろアルブレヒト以外のぬいぐるみに「姫」として慕われることに慌てています。この辺りは異世界が久瑠美の悩みの産物であることを反映していて、彼女はサーモン王子を怖がっているわけではない=ファントムを怖がっているわけではないのですね。姫をちゃんとやれるかどうか=舞の手伝いをちゃんとできるかどうかを怖がっている。だから彼女はサーモン王子に立ち向かう時にチームEの手伝いをすることを決めるし、(絵的な撃破のギミックとして変身があっても)立ち上がった時点で事態は解決しているのです。
もう1つ印象的なのは、話の終着として「アルブレヒトがいつも見守ってくれる」という体にはなっていないこと。心の中の世界で久瑠美はアルブレヒトと話ができるなんて夢のようだと喜び、アルブレヒトは「命に変えても久瑠美を守る」と絆を見せるわけですが、現実世界でアルブレヒトが喋ることは当然ながらありません。アルブレヒトの言葉や感情はあくまで「久瑠美の心の中」に存在するものであって、アルブレヒト自身が付喪神か何かのように意思を持っているわけではないのですね。矢傷の手当の跡はあくまで久瑠美の心が起こした出来事の結果でしかない。それが理解できたから久瑠美は、心の中の世界と現実を結ぶ手当の跡を見ても驚いたり喜んだりせず、悲しい顔をするのです。
今回冒頭で語られた「安心毛布」、すなわち子供が強い愛着を示すアイテムですが、これはけして悪いものではなく、絶対的な愛着を抱く母親から離れていく過渡期の代用品、補助輪のようなものであるという捉え方もあるそうです。いや、今回感想を書くにあたって簡単に調べただけなんですがw 砂場でアルブレヒトの声を聞くように、促されるようにして女の子の輪に入ろうとした久瑠美は、今回は独力でチームEという輪に入ることを決断する。アルブレヒトが本当は物言わないことはもう分かっているから。「行こう、アルブレヒト」と語りかける様子は、未だアルブレヒトを必要とはすれど、それに促されたり励まされなければならない程には依存していない――まさに一皮むけた姿だと言えます。それを前回「声を友達としてきた」小糸が指摘するというのがキャラの立ち位置としても面白いなあ。
そんなわけで、今回はぬいぐるみとお話できる夢のような世界を舞台にしながら、むしろぬいぐるみは喋らないという現実を突き付ける話。ふかふかの綿の中に確かな成長の階段が示されていた回でした。冒頭の解説って本当に重要な意味があるんだな、この作品……
関連:
無彩限のファントム・ワールド 感想リスト
無彩限のファントム・ワールド 第1話「ファントムの時代」
無彩限のファントム・ワールド 第2話「迷惑UFOをやっつけろ!」
無彩限のファントム・ワールド 第3話「記憶コピペ作戦」
無彩限のファントム・ワールド 第4話「模造家族」
無彩限のファントム・ワールド 第5話「得意能力が使えない!」

にほんブログ村
【言及】
http://natusola.blog105.fc2.com/blog-entry-4637.html
http://kouyanoblog.blog61.fc2.com/blog-entry-5964.html
http://guutaranikki.blog4.fc2.com/blog-entry-12729.html
http://tiwaha.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/tokyomx21006-da.html
http://kakioki60.blog129.fc2.com/blog-entry-3459.html
http://magi111p04.blog59.fc2.com/blog-entry-2504.html
http://riksblog.fool.jp/public_html/mt5/anime/now/2016/02/pw-6.html
http://animegane1216.blog.fc2.com/blog-entry-3574.html
http://seeing04.blog39.fc2.com/blog-entry-5943.html
http://ai-mugi.blog.eonet.jp/aimugi/2016/02/post-fe6d.html
http://kira47.blog58.fc2.com/blog-entry-3796.html
http://renpounasu.blog.fc2.com/blog-entry-1962.html
http://kaityou-osusume.seesaa.net/article/433706990.html
http://luvnail.blog46.fc2.com/blog-entry-4292.html
http://wendykai.blog60.fc2.com/blog-entry-2515.html
http://gomarz.blog.so-net.ne.jp/2016-02-17