きっちり話していただこうかしら?/ディメンションW6話感想
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呉服屋の眼鏡っ娘の右腕が義体なの、アニメになって初めて気付きました。冒頭のラシティと言い、義体を自然に物語に滑りこませる工夫がしてあったんだなこの辺りの話……
ディメンションW 第6話「アフリカの風」
©岩原裕二/スクウェアエニックス・DW製作委員会.



「アフリカの風」と呼ばれる、権力者にして資産家のサルバ王子が来日した。そんな折、キョーマは街で1人の少年に出会い……
イースター島編、始まりの第6話。新章開始というか最終章開幕と言うか……このイースター島編はべらぼうに長く、2014年1月に刊行された5巻を皮切りに現在最新刊である9巻でも完結していません。最新第10巻は3月25日に発売ということで、おそらくアニメと単行本で同時に完結となる筈です(原作自体は終わってませんからね、念のため)。
そして今回は閑話休題的な原作1話分を飛ばして約100ページ分をアニメ化。単行本1冊約200ページ分を30分に納めていた4,5話に比べれば短いですが、それでも結構な詰め込みぶり。微に入り細に入った削り方に加え、より目的性の明確な作りになっているのが印象的です。今回感じられた目的性はズバリ、キョーマの主役性の再獲得。
本作はアニメ化にあたって映像・脚本の両面でミラの魅力が鮮明になっていますが、その分本来の主役であるキョーマが割りを食っている部分もあります。特に子供たちとのふれあいを描いた3話は、原作からキョーマが活躍するサスペンス&アクション部分を省いているのでそうした影響が強い。この第6話は長丁場が始まるに当たって、再び彼に焦点を合わせる調整回でもあるわけです。
サルバという物語に欠かせない人物の動かせない登場は1番最初にこなしつつ、OPを挟むことでその流れを1度切断。CM明けに墓参り(正確には墓前までは行けてないわけだけど)というどう考えたってキョーマの根幹に関わっているであろう出来事を描くことで、視聴者に彼という人間の過去への興味を引き立てる。その後は相棒のミラが別行動で何をしているかを説明しつつ、キョーマの隣にミラではなくルーを立たせる。そう、この6話でミラとルーが同時にキョーマの隣に立つことはないのですね。少年らしい無邪気さと異国人故の日本への興味を併せ持つルーの姿は、ロボットであるが故の純真さや他者への興味を持つミラの亜種と呼べるものであり、その類似性と差異は改めてキョーマの人間性を視聴者に伝えてくれるわけです。
ぶっきらぼうなのは誰が相手でも変わらないけれど、なんだかんだで子供に優しい。祭りに連れて行ったり餞別に無駄にニッポンチックな扇子をくれてあげたりと、相当に面倒見いいですよねwww ロボットであるミラへの接し方は彼女がコイルで動く存在であるが故の歪みが少し出ていますが、作り物の体でも生きているルーへの接し方は彼のスタンダードであると言えます。
一方で、義姉である椿は僕らが初めて見る「キョーマにとって仕事以外の関係の比重が大きい人間」であり、彼女もやはりキョーマの新たな一面を引き出してくれるキャラでもあります。怒らせると有無を言わせてもらえない、というのはマリーも同様ですが、椿に対するキョーマのそれは親族的な頭の上がらなさがある。そういう存在がいることは、キョーマの良い意味での人間的未完成さを示してもくれます。
原作ではキョーマとルーのやりとりの合間にサルバとクレアの会食もちょっとだけ入っていたのですが、そういう権謀術数を後回しにしてキョーマの人間性の掘り下げでまとめたのは30分のアニメとして上手い構成だったなと思います。
とはいえ、本作の大きな魅力としてミラのかわいさは外せないわけで、その辺りのフォローもしてあるのがこのアニメは抜かりない。浴衣を着せるというのは原作にはなかったものなのですが、彼女のかわいさを描くサプライズとしても、この第6話におけるミラとルーの対の関係を強調するアイテムとしても、椿の呉服屋設定を良く活用したアイディアでした。ラスト寸前の「ぷうです」を先述したカット分の原作1話分から持ってくるのと言い、制作陣も彼女の魅力をよく掴んでいる。
さてさて、雨を共通点にキョーマを回想へと導くオリジナルの引きも印象的で、次回はますます彼をクローズアップした回となりそう。楽しみです。
関連:
ディメンションW 感想リスト
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ディメンションW 第2話「ルーザー」
ディメンションW 第3話「ナンバーズを追え」
ディメンションW 第4話「八十神湖に潜む謎」
ディメンションW 第5話「亡者の可能性」
漫画感想(「となりの関くん」3巻、「Dimension W」2巻)
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