ショックだったよ/鉄血のオルフェンズ20話感想
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<お知らせ>
来襲日曜は所用につき、ドラゴンボール超以後の感想が遅延します。度々すみません。
>拍手返信:雪光さん
僕自身、サブタイの意味を考えることでたどり着いた解釈だったりします。オルフェンズは主張そのものは前面に出してくれる傾向にあるので、個人的にはこういう見方をするいい練習になってくれているかなと。そこからアトラの描写の意味を手繰り寄せていくのは、僕としても気持ちのいいものでした。
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第20話「相棒」
©創通・サンライズ・MBS



ギャラルホルンの追撃をくぐり抜け、地球へと降り立った鉄華団は目的の蒔苗東護ノ介との会談にこぎつける。しかしなんと蒔苗はアーブラウの代表の座を失脚しており……
側で支えてくれた人、第20話。これまでは火星の人々を地球の人が認められないことを描いてきた本作だけれど、今回は逆に火星の人である鉄華団が地球を認められない姿を描いているのが印象的。磯臭さや海水のべたつきへの抵抗といった年少組の反応に始まり、決定的となるのは「魚を食べられない」ということ。生魚すら食べる日本では信じられない感覚だけれど、荒野ばかりが描かれていた火星を思い返せば三日月達が魚に馴染みがないのは自然なことで、彼らにすれば野菜やら工業的に作られた食品やらの方がずっと舌に覚えがある。もちろん、自分で作ったのだからと勇気を出して食べたアトラが感激したように(味見しなかったんだろうか?w)、実際に体が受け付けないわけではない。
同時に、ガエリオの阿頼耶識システムへの拒絶反応も単に彼だけが潔癖というわけではなく、抵抗勢力への技術の一般化を恐れたギャラルホルンが広めた作為的な価値観であることがマクギリスから語られます。これが逆に三日月達にとっては特別なものではないのは、これまでの話で描かれてきた通り。地球と火星の間には、支配者と搾取対象という構図が発端ではあってもそれだけではない違いが横たわっているのです。
だから火星の人であるクーデリアは、魚を食べる。その姿にはきっと、地球と火星の違いを乗り越える力が込められている。
こうした食事のシーンに加え、蒔苗の脅迫じみた提案にも踊らされることのないクーデリアの強さはもちろんドルトコロニーでの苦難を経て身についたものですが、そちらにドラマを割かれていたからこそ今度はオルガの成長のターンがやってくる。オルガと逆に表情を険しくする際に片方だけ開眼する蒔苗は、彼が初めて牙を見せられた「化かし合いの世界で生きている人」です。マクマードも同様の世界で生きてオルガを利用したわけではありますが、そこには一応親分子分としての目があり、少なくとも今はオルガが歯向かう相手ではない。一方で蒔苗は敵対関係でこそないものの、利害が一致しなければ容赦なく切り捨てる旨を通達してくる。クーデリアの対話の目標として登場した蒔苗ですが、出てみればオルガのステップアップのための程よい障害であるようにも感じられました。
けれど、そうした世界に飛び込む事は今まで以上に大きな危険を伴う。もちろんギャラルホルンがCGSを襲った時にもダンジ達が死んだし、ブルワーズとの戦いでも戦死者が出てシノの心を傷つけた(昌弘は鉄華団メンバーではないので別枠とする)。それでも仲間が全滅するような最悪の事態には陥っていなかったわけだけど、その痛みを感じ取った者はいる。そう、ナボナを始めとした労働組合の人々を失ったサヴァラン、その弟のビスケットです。
ドルトコロニーのデモはクーデリアの演説によって成功し、労働者達は地球並みの権利を獲得しました。結果だけみれば大成功です。けれどサヴァランにとっての仲間、家族であったナボナ達は誰も生きていない。彼は「ドルトコロニーが権利を獲得したにも関わらず」自殺したのじゃない。「大切な人々を守れなかったから」死を選んだのです。仲間のためになることをしているつもりだったけれど、彼もナボナも大きなうねりの中ではあまりに無力だった。
オルガが自分の功名のためではなく、仲間のために動いているのは分かっている。でも動機が正しかったからといって、結果が上手く行くとは限らない。仮にドルトコロニーの権利のように上手く行ったとして、そこにはナボナ達のように大勢の仲間の死体が転がっているかもしれない。だから、ビスケットはオルガに反発するのです。
果たして、鉄華団は大きなうねりの中では砂粒に過ぎないのか。互いに仲間を思う故のこの軋轢、絆のあり方が問われています。
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