エロゲー感想「揺り籠より天使まで」グランドルート
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日曜出勤のため、感想が再び順延します。ブブキ・ブランキの感想を出勤前に書けるといいんですが……
<エロゲー感想(揺り籠より天使まで グランドルート)>


「揺り籠より天使まで」グランドルートをクリア。な、長かった……!最初にクリアした閑傘ウメルートの感想が2013/10/17だから、そこから起算しても2年半以上経ってることになる……! 原因は艦これを始めたことと、まじこいAが出る度にそちらを優先していたからy=ー( ゚д゚)・∵. ターン さすがにちょっと時間をかけ過ぎました。
展開としては、個別ルートで救えなかったもの、失ったものを上手いことより合わせて救済し、グランドルートらしいカタルシスを作り上げているのが印象的。バトル要素のある18禁ゲーということで、個別ルートでは敵対したまま容赦なく死んでいく他ヒロインがあり苦味を感じさせてくれていたので、それを最後に興奮に変えてくれるのはルート選択ものならではの面白さでした。しかも同じシチュエーションで助けが間に合った、とかでなくちゃんと別の展開の中で個別ルートの上を行ってくれている。もちろん、展開が違えどただ物事が上手く進むだけではやはりただの未来改変にしかならないわけで、それがステップアップではなくジャンプアップになるよう、きちんと一度主人公のヒロを奈落に叩き落としているのも上手いところ。
個別ルートで多くの場合ヒロ達に犠牲を強いてくるのが、パッケージ未登場のキャラ、アル(とレン)でした。彼らはヒロという特殊な存在と行動を共にしたいと願いながらも、それが特殊な形であるがゆえに最終的にはヒロに拒絶されたり、ヒロの仲間を手に掛けたりして争うことになる。これは本来ヒロインであるアリアやリディアが自ルート以外では敵のまま死んでいくのに近いもので、言ってみればアルとレンは「自ルートを持たないヒロイン」としての立ち位置を個別ルートでは潜在的に獲得しています。そして先述したアリアやリディアは、自ルートに入ると主人公とちゃんと交流する機会があり、そこでプレイヤーに彼女達の本来の魅力を見せてくれる。
だから、グランドルートでアルがヒロ達と初めてまっとうに交流している姿にプレイヤーは思わず期待を抱いてしまう。彼らにも魅力があり本性があり、それによってこのグランドルートではヒロ達と和解できるのではないか、と。
けれどそれはアルの一種の欺瞞であり、ヒロと親しくしていく裏で他の登場人物達に脅しをかけていく。その権能(異能)をもって盤面を制圧していく。遅ればせながらそれを知り止めようとしたヒロは、その甘さからメインヒロインである妙を死なせてしまう――この辺りの突き落とし方は展開そのもの以上に、「個別ルートをクリアした記憶」自体がプレイヤーへの罠として機能しています。
それに打ちのめされた彼を、これまで個別ルートでヒロが救い励ましてきた仲間(死んだ妙まで含めて)達が救出し、叱咤し立ち直らせる。そこに最初に述べたグランドルートならではの盛り上げ方が作用しそれだけでも興奮させてくれるのですが、そこで再び物語の様相が変わることでその面白さはもう一段高くなる。どのルートでも、そしてグランドルートでも憎むべき敵になっていたアル達が、立ち直ったヒロにとって「救うべき対象」に変化する――そう、結局「彼らの魅力、彼らの本性」を見せてくれるのです。集大成でありながら、むしろだからこそ別の道を選ぶことができる。そんな物語運びがとてもよくまとまっていました。
最初は異常者ばかりに思えた登場人物が、物語が進むにつれプレイヤーにも理解できるような、むしろ僕達の根っこにこそ繋がるような悩み苦しみを見せていく。そうなってしまうと、最初の異常者としてのギャップの分だけ彼らへの愛着は強くなる。プレイスタイルの関係で長期の付き合いになったこともありますが、ゲームを終えてみれば、どの登場人物もとても好きになってしまっていました。彼らの生きる姿を、しっかりと見ることができるゲームだった――プレイを終えてみて、そう思います。スタッフの皆様、良い作品をありがとうございました。
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