仲間を頼んのに悪いもクソも/ブブキ・ブランキ11話感想
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はみだせ、その縛りから。
ブブキ・ブランキ 第11話「不死の少女」
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首無しブランキ狩りと共に、落下を始める宝島。果たして宗也の目論見とは、そして東達は凶行を止めることができるのか……? 明かされ重なるそれぞれの思い、第11話。
今回は「手足の自我」というテーマが明確に盛り込まれていて面白い。マクシムの妹であるリュドミラは「私達もものを考えるんです、手足の私達も」と語るわけですが、こうした手足が各個に考えるというのはロシアだけに限った話ではなく、王舞サイドや炎帝サイドにも言えること。王舞サイドは全員が一緒に、あるいはバラバラではなくそれぞれ役割に応じた動きを見せたり敵と戦ったりする(柊の汀への問いかけ、木乃亜と宗也の問答、黄金の周作への憎悪、木乃亜と黄金の連携等など)。炎帝サイドはもっと分かりやすく、四天王である宗也と周作が戦うなんて事態にまで発展する。こうしたことを考えると、今回エピゾ達アメリカ組が出ないのは当然と言えます。全員「バカなエピゾが大好き」でスタンス一緒だものwww テーマをはっきり言葉にするロシア組にしても、双子の姉妹であるリュドミラとジアーナがそれぞれ別の行動を取るのはマクシム言うところの「自我の芽生え」として明示的でした。心変わりが早過ぎる感は否めないがw 彼らが地ならしをしてくれたおかげで、手足に自我を認めないマクシムに怒りの腹パンをくらわせる東の言行もぐっと格好良くなる。
また、今回裏テーマと言えるのが「大人(親)」と「子供」の関係。冒頭で宗也は木乃亜を「ガキ(子供)は黙ってろ」と突き放し、木乃亜は「ガキにはガキなりの~」と戦いの中でやり返すわけですが、この構図は宗也自身も子供の立場として当てはめられるものです。ロシアやアメリカの連中と勝手につるむ宗也の行動に周作は激怒するわけですが、宗也は礼央子が1人で全てを背負って苦しむことを悲しんでこうした行動を取ったのであり、それは礼央子や周作に「宗坊」と呼ばれていた子供の頃のままの優しさだったりする。宗也は木乃亜にとっては大人ですが、周作達にとっては年若な子供なのですね。その辺りを念頭に置いてみると、額の傷を「勲章です」と強がる様は「怪我は子供の勲章」という言葉を思い出すし、動機を打ち明ける際に頭を抱える姿もどこか子供っぽく見える。
この大人と子供の構図は他のキャラクター間にもふんだんに使われていて、マクシムはギーの思惑を超えて宝島をロシアに落とそうとするし、黄金は周作の「普通の子供になった方が幸せ」という早合点と異なり5人の関係を幸せに感じている(この言葉に説得力を持たせるために、今回黄金は木乃亜と連携するのである)。「大人の導き」から子供達がはみ出ていくのが分かりやすく描かれていました。
そして、これら両テーマを今回もっとも体現しているのが柊だったりします。彼は汀に「一緒に礼央子と戦って欲しい」「どうして地上と親父を捨てて宝島に上がったのか」と言おうと思っていたはずなのに、宝島で生活する内にそれらはどうでもよくなってしまった。でも、今回彼は「俺の親父も一緒に連れて来て、手伝わせれば良かったんだ!」と叫ばずにはおられなかった。おそらく、彼が本当に言いたかったことってこれなのですね。「どうして捨てたのか」ではなく「どうして手伝わせてくれなかったんだ」。それは心臓である汀に「巻き込みたくない」と勝手に切り離されてしまった手足の自我の叫びであり、そうした大人の思惑にふざけるなと自己主張する子供の叫びでもある。3話にしてクールぶった嫌味が抜けた柊でしたが、こんなにいいシーンを背負わせてもらえるとは思いませんでした。
さて、礼央子も宝島に上がっていよいよ1クール目終盤。はてさてどんな区切りを迎えるやら。今川作品的な「お前そこはちゃんと説明しろよ」案件な匂いが今回ものすごく強調されてたけどもwww
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