人の心を学びなさい/ディメンションW12話感想
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良かった、このアニメを見られて。
>拍手返信:ひそかさん
ひそかさんもブブキ感想お疲れ様でした! 付いていくのがなかなかな大変な最終回でしたねー……続編は感情を乗せやすいといいんですけど。
ディメンションW 第12話(最終回)「辿りついた未来」
©岩原裕二/スクウェアエニックス・DW製作委員会.



シーマイヤーによって変わり果てた姿となったソフィアを見せられ、なおも彼と対峙するルーザー。一方、キョーマは取り戻した記憶に打ちのめされ……
過去があるからこそ生まれる未来、第12話。今回は10巻のイースター島編終了部分、約160ページ分の進行。構成そのものはそれほど大きな変更はないのですが、3つの「2人組」がそれぞれ相棒に思いを伝えるよう変更されているのが印象的です。
妻の魂が解放されるのを見届けて、ルーザーは逝く。ずっと彼を助けてくれた義理の娘に「エリー、ありがとう」と言い残して。
弟に消えない傷を負わせてしまったサルバは、それを救う手段を得られなかった事を素直に詫びる。あの傲岸不遜な彼が「すまない、ルワイ」と。
そして、失った過去にくじけたところを救われたキョーマは、初めてミラをポンコツではなく名前で呼ぶ。「ありがとよ、ミラ」と。
この内ルーザーとサルバの台詞はアニメオリジナルなのですが、キョーマの感謝だけは原作ではもっと前にあったものです。球体に触れて意識を失っている間自分を守ってくれたことに対して、頭をなでるのと一緒に口にしたのがこの台詞だったのでした。もちろん単純に温存したと理解しても素敵なシーンなのですが、2人組としてキョーマに近い立場にあるルーザーとサルバの台詞が重ねられると、「無駄なことなんてなかった」というキョーマの言葉により味わいが増して感じられます。
イースター島でのシーマイヤーの凶行でルーザーは妻や自分の肉体の多くを失ったけれど、それによってエリーという存在を得ることができた。
事故とは言え自分の過失でルーの体を壊してしまったサルバは、それによってルーが自分にどれだけ大切なのかを知ることができた。
雅を救うことができず心に大きなトラウマを抱えたキョーマは、雅の義体を使って生まれたミラによってそれを吹っ切ることができた。
確かに彼らは取り返しのつかないものを失った。けれど、だからこそ得られたものがある。3つもの2人組を配するが故にそれはけして特別なことではなく、力強いメッセージになる。それは、2人組ではないですがシーマイヤーにすら言えることです。凶行を重ね、5年間アドラステアで孤独に耐えた彼は結局、ジェネシスを得ることはできなかった。けれど、だからこそ彼は最期の瞬間に百合崎士堂博士に再会し、彼のかつて持っていた「尊敬する師」への思いを取り戻して逝くことができた。もちろん彼の行いは許されるものではないのだけど、一面やはり「無駄なことなんてなかった」のです。
本アニメは原作10巻が12話に収まるよう大胆に展開をカットしていますが、それによって持ち味が薄れてしまうどころか、むしろそのテーマ性や魅力がよりシャープに出ているのが原作ファンとして非常に驚かされた作品でした。単行本で期間を空けつつ読んでいることもありますが、こんなにはっきり中身が込められた作品だったんだなあ……いや、原作は原作でディティールが豊かで好きなんですけどね。
特にヒロインであるミラは映像面のピックアップはもちろん、「機械であるが故の固さと純朴さ」が上田麗奈の演技によって見事に表現されており、彼女のかわいさは間違いなく本アニメを見る上での大きな楽しみとなってくれていました。
惜しむらくはミラがあまりに魅力的になってしまったが故に、このイースター島編でキョーマに主軸が移って彼女が中衛に回ってしまうとそれが寂しく感じられてしまうこと、そしてそのイースター島編自体がいくらなんでも長過ぎたことでしょうか。12話中7話がここに割かれてるんだもの。イースター島編はあくまでキョーマの過去の決着を主軸としたものなので仕方ないところではあるし、結末自体は文句なしなのですが。寂しいものは仕方ない。そう駄々をこねたくなるくらいかわいいんだから仕方ないwww 二重コイルを埋め込まれたミラの物語はここからがスタートですので、彼女のかわいさをより堪能したい人は原作を買って脳内アテレコしましょう(ダイマ)
「原作をできるだけ忠実に再現する」だけがアニメ化のあり方じゃない。そんなことを感じさせてくれる作品でした。本当に素晴らしい仕事をしてくれたと思います。スタッフの皆様、どうもお疲れ様でした!
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