夢中になった本だもの/無彩限のファントム・ワールド13話感想
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4話から夢中で見させていただきました(`・ω・´)ゞ 遅いのでトラバは明日。
無彩限のファントム・ワールド 第13話(最終回)「永遠のファントム・ワールド」
©秦野宗一郎・京都アニメーション/無彩限の製作委員会



エニグマによって能力を奪われてしまった晴彦は、母がずっと自分に会いたいと願っていたことを知る。一方、ルルは性格がすっかり豹変してしまい……
幻影と現実と、13話。「ルルは晴彦が生み出したファントムだったんだよ!」「ΩΩΩ<な、なんだってー!?」だったわけだが、「抑圧された奔放な性格」という姫野先生の話を元に先週を見返してみるとそれがきちんと反映されていて面白い。晴彦が舞達をほったらかしていることもあって彼とルルが2人で喋る事が多く、例えば母親が本物かどうか会話するところをルルが聞く場面などはほとんど自問自答の形になっています。ある意味視聴者は脳内会話の幻影を見せられていたのか。
なお、上記の「母親が本物かどうか」というシーンでは、晴彦が小さかった頃の事をよく知っている……というのが証拠として挙げられていたわけですが、今回の反応を見るに、その内容は「晴彦自身覚えていること」だったのだと思います。覚えていることを知っている。それは符合として適切なのだけど、逆に言えばそれ以上にはならない。母は、昔から見てくれていた存在は、自分が「覚えていないこと」をこそ知っている。だからこそ目覚めた母親は確かに本物なのでしょう。
母親にとって子供の姿という「幻影」のままだった晴彦は少年として実像になり、幼き日の読み聞かせの記憶という「幻影」は母の実像の確信に繋がる。それだけでも十分感動的なのですが、同時にこの再会に2つの「幻影」を絡ませているのがなんともこの作品らしい。1つは本来ありえなかった2人の再会のきっかけとなったエニグマによる家族生活の幻影。そしてもう1つは絵本で繋がった家族の幻影、そう、2話前の舞とちびっ子晴彦です。
ルルのイメージソースになった本とその読み書きの記憶は埋もれてしまっていたけど、晴彦は母の言葉にその本を楽しんだ自分を確かに思い出せる。でも、舞との読み書きの記憶は彼には残っていないのですよね。言葉にされてもけして思い出すことのない家族。この差異は改めて、舞にあの日の出来事が幻影になってしまったことを感じさせるのだけど、幻影は現実があるから生まれる。あの日の記憶が現実になってしまってはいけない、舞が晴彦の本当の母親になってしまってはいけない。だから舞はあの場を代表して「良かったね、晴彦」と言ってあげられるのです。
現実ではないもの、幻影というのは往々にして否定される対象になるわけですが、4話「模造家族」の家族ファントムに代表されるように、本作ではけして幻影は否定されず、むしろ大小様々な形で肯定的にピックアップされてきました。また、視聴者も本作に対して「京アニ初のお色気前面作品」だとか「絵だけで何の変哲もない話」だとか「いやいやそう見えてすごく統制されて作ってあるよ?(私見)」とか様々な幻影を見たりする。視聴前の予想を裏切り、非常に前衛的な作品でした。スタッフの皆様、興味深い作品をありがとうございました
関連:
無彩限のファントム・ワールド 感想リスト
無彩限のファントム・ワールド 第1話「ファントムの時代」
無彩限のファントム・ワールド 第2話「迷惑UFOをやっつけろ!」
無彩限のファントム・ワールド 第3話「記憶コピペ作戦」
無彩限のファントム・ワールド 第4話「模造家族」
無彩限のファントム・ワールド 第5話「得意能力が使えない!」
無彩限のファントム・ワールド 第6話「久瑠美とぬいぐるみ王国」
無彩限のファントム・ワールド 第7話「シュレーディンガーの猫屋敷」
無彩限のファントム・ワールド 第8話「猿温泉を突破せよ!」
無彩限のファントム・ワールド 第9話「幕末ファントム異聞」
無彩限のファントム・ワールド 第10話「小さいルルの大きな夢」
無彩限のファントム・ワールド 第11話「ちびっ子晴彦くん」
無彩限のファントム・ワールド 第12話「母は帰りぬ」

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