ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない アニメ・原作比較感想第2話
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OP、「日常」のある4部らしい雰囲気が出ていてとても好き。1~3部みたいにバトル!バトル!バトル!って内容じゃないですからね。
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第2話「東方仗助! アンジェロに会う」
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険DU製作委員会

日本犯罪史上最低のムナくそ悪くなる男・アンジェロこと片桐安十郎。脱獄した彼の魔の手が仗助の元へ迫っていた。アンジェロは自らのスタンド「アクア・ネックレス」を牛乳に潜ませ……アンジェロ編後編、第2話。



アンジェロ逮捕前最後の犯罪は前回詳細を伏せられていたわけですが、これを牛乳配達のシーンと重ねるという手法に思わず唸る。原作では前回ラストのアンジェロの語りや服装はこの牛乳偽装の後のシーンだったのですよね。気のいい牛乳屋として描かれていた男が失敗に際してアンジェロとしての本性を露わにするギャップが恐ろしげだったのですが、事前にバレてしまってはその良さも半減してしまうわけで。そこを変態趣味とグロテスクさの極みのような過去の犯罪と、リアルタイムで進行する犯罪を重ねて描くというのはアンジェロの残忍さが見事にクローズアップされていて面白い。あと犬のクソ以下という承太郎の語りでちょうどアンジェロが犬のクソを踏むという笑えて不気味な重ね方もなんとも印象的。
考えてみればアニメの場合、変装しようが牛乳屋がアンジェロなのは声で視聴者にはモロバレなわけですし(わざわざ彼が声色を変える理由もない)、脚本段階でこうやって手直しするのは気が利いてますね。しかも苦肉の策ではなくちゃんと別の良さがある。

なお、日常と非日常の隣接性は今回も絵で提示されています。このカットとか樹の枝で見事に両者が分けられ、朋子があわや非日常に踏み込みそうになる……というのが分かりやすい。



仗助「やばい………おそかった 今…コーヒーからおふくろの口の中に入っていくのがみえた」
朋子の口の中に入るアクア・ネックレスは「入る瞬間を見た」というよりは「見せつけられた」という感じに変更。この形だとタイミングの偶然性も排除されますし、アンジェロの嫌味もより出ています。





仗助「もしもし承太郎さんスか? スタンド…つかまえたんですけどォ…… どうしますか?こいつを…」
またその後の捕獲劇は緊迫感をもったいぶらずにスピーディにまとめてあるのが印象的。分かりやすいのはスタンドの出し方で、原作ではアンジェロの侵入に気付いた仗助は落ち着き払っており、ミルクと砂糖を頼んだら2コマ後には朋子の腹をスタンドがぶち抜いている……という急変だったのですが、アニメではBGMの転調と合わせて仗助に即断即決と呼べる口調で語らせ、逆にスタンドを出すまでのカットはたっぷり取ることで仗助が何をしたのかアニメ的に把握しやすい作りになっています。作戦終了とばかりにトーストが焼きあがるのがまたイカしてるw
ついでに言えば承太郎が「なんて奴だ」と驚くのもアニメオリジナルのものですが、これは仗助以上に視聴者を「いい気にさせる」ので、その後の失敗に対する落差がより効いてくるわけですね。


承太郎待ちの間に仗助がプレイしていゲームは3部のダービー弟戦でプレイされていたのと同じものにwww(原作だと爆発シーンだけで何のゲームか分からない) パワプロか何かのように毎年出てるんだろうか、これ。 あと朋子は原作ではこのシーンの時間に家にいた(のに承太郎とも鉢合わせしなかった)のですが、さりげに出勤した事に変更されてますね。


良平「今週のビビらせ勝負、まずはワシの1勝じゃな」
この「ビビらせ勝負」という台詞はアニメオリジナル。こういう台詞があると、彼の日常が続くはずだったんだよな、という感覚がより強まりますね。さりげにビビらされた時は仗助が「じじい」呼ばわりしてたのが全て「じいちゃん」に統一されているので家族仲も掴みやすい。





アンジェロ「よーく知ってるぜ!東方!てめーは夜勤明けに必ず!ブランデーを一ぱいやんのが楽しみだったよなあ~~」
アクア・ネックレスのブランデー偽装は原作だとロゴをくっつける様子を側面から描いていたのですが、正面から描くことで「黄色に変化させた水を吐き出している」ことがより鮮明に。改めてきったねーなこれ。



仗助「そんな…ハズは…目を……さますはずだ おれの「スタンド」は傷を治せる…」
良平の死に顔は仗助のスタンドによる治療とともにまぶたを閉じる形に。これだと「あ、死んでるんだな」というのが非常に分かりやすい。同時にやはり、仗助のスタンドは優しいのだなとも思わせてくれます。あの死に顔を安らかにしてあげられるのだから。



康一「仗助くん、今はあんまり人に会いたくないよね……」
葬式のシーンは朋子がクローゼットの扉を締める動作が追加。そして原作では出番がなかった康一が仗助を気遣う姿も描かれており、これらがより喪失の悲しみを強めてくれています。町を守るという決意を受け継いでもやはり、悲しい物は悲しい。このシーンを印象的に描くにはCM明けが最適なわけで、いいところで話を分けるなあ。

一方でこのカット、左に引っ越しのトラックと思しき車が!この家はどう見ても!




仗助「別にきれちゃあいませんよ チコッと頭に血がのぼっただけです…冷静ですよ…全然ね」
原作ではアンジェロの台詞にチラッと出ていた朋子の親戚の家行きはここでの仗助の台詞に変更。この台詞と1枚めの画像で仗助がだらんと右腕を伸ばしている姿があいまって悲しみに暮れている印象がより強まり、故にアンジェロの名前を聞いた時の一瞬の怒髪天の緩急が効果的に。また冷静であることを強調するシーンは原作では微動だにせず顔をピクピクさせながら語っていたのですが、アニメでは直前の髪を整える動作を続けながらに変更されています。1話同様に原作初期の「ヤバさ」を和らげて統一性を持たせると共に、怒髪天の修正になり、自分を落ち着かせようとしているイメージも湧くという実に一石三鳥の変更。



良平の位牌に手を合わせる仗助のカットはアニメオリジナル。3日も手を出してこない不穏さに加えて再度悲しみが視聴者の頭を過るため、雨が降ることへのリアクションが一瞬遅れるのが効果的です。承太郎が気付くと同時に顔を回転させて後頭部のアクア・ネックレスを見せるというのもいきなりピンチの感があって恐ろしい。

ちなみに承太郎が風呂場からも湯気が出ていることを確認して扉を締める……というくだりはアニメオリジナルですが、単に尺調整というわけではありません。


ゴ ム 手 袋 が 減 っ て い る 。
いつゴム手袋飲み込んだの?という疑問に対する補完的回答というわけですが、こんな所まで気を使うかwww



仗助「予想したことがそのとおりハマっても 笑いなんてぜんぜん込み上げて来ませんよ このアンジェロの野郎に対してはねえ!」
仗助の口からゴム手袋が吐き出されるシーンは、単に吐き出すのではなく彼のスタンドが口からゴム手袋を引っ張りだす形に。喉元まで持っていくのも大変だったのでは?という気もしますが、まあこの方が目に見える部分で分かりやすい。




承太郎「それにしても……クレイジーなやつだ やれやれだぜ」
ラストは「締め」という感じにちょこっと改変して次回に続く。それにしてもこのアンジェロ編、こうして見ると仗助のスタンドの特性と限界、ジョースターだけではない彼自身の血縁からの伝承性などなど、この4部の方向性がズバッと示されてる内容なのだなあ。敵スタンドの特性を知恵とパワーで黙らせる3部から、特性&知性vs特性&知性へと舵を切っていく今後のバトルスタイルの提示でもあり、そういう意味で今回承太郎が苦戦するのも必然。
さて、次回は4部を語る上で欠かせないあのキャラも登場。早く彼に会いたいな。
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