ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない アニメ・原作比較感想第5話
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帰省で感想遅れる見込み……と書いてましたが予想以上に遅くなりました(;´Д`) 時間的な関係で簡略感想にて失礼します。比較分少なめ。この後の感想も遅延しますorzスミマセン
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第5話「虹村兄弟 その3」
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険DU製作委員会
バッド・カンパニーの攻撃を逆手に取り、虹村形兆を撃破した仗助。康一は「弓と矢」を探すべきだと主張し……人と人外と。第5話。
前回「虹村兄弟編はもう1話フルでやるほどの話数は残っていない」とか書きましたが…… スマンありゃウソだった。億泰達の物語の最初の終わりとしてキッチリ合わせてきました。今回は「家族の呪縛と愛情、解放」がとても伝わりやすくなっているのが印象的。
この虹村家の話では「人の常を外れてしまった者」が描かれています。明白なのは肉の芽と一体化して「肉の塊」になってしまった虹村父ですが、彼だけというわけではない。康一をいきなり射抜き、弟を撃っても「くたばって当然」と言い放つ形兆の行動は人として恐ろしく酷薄なもの。虹村父が姿形において人間性を失った者なら、形兆はその行状に置いて人間性を失っている。言わば父は形兆の動機であると同時に、対の存在としても登場しているのですね。
父を救いたいがために殺害まで選択肢に入れ、無関係の者を射て死なせ、弟ごと敵を撃とうとする。父がDIOに魂を売り渡したように形兆は「目的」に魂を売り渡している。だから父も形兆も「普通に死ねない」。
そして父は思い出の写真に涙し、形兆は弟をかばう。それは人間性の回復というより、可視化と言った方がいいでしょう。父はずっと写真を取り戻そうとしていたし、形兆は自分だけが弓と矢を使って億泰には人を殺させずにきたのですから。理由もなく子供を殴っていた負け犬だった父の心に家族への愛情が残っていたように、冷酷に振る舞う形兆の胸にも確かに億泰への優しさがあった。そういう、外道の目にも涙とでも言うべき人の心の複雑さが、この虹村兄弟編の結末のやるせなさに繋がっているように今回見直して感じました。
億泰が弓と矢をつかんだ手は形兆にとって救いの手なのだけど、彼がその手をつかめば弟も自分の側へ「引きずり込んでしまう」からその手をつかめない。けれど、形兆は普通の死に方はできなくとも兄として死ぬことはできた。それは一片の救いであったように思います。
また、このように形兆とその父が「人の常を外れた者」でありながら人間性を残した存在であるからこそ、新たに現れた敵、レッド・ホット・チリ・ペッパー(以下レッチリ)が際立つわけでもあります。レッチリは人型スタンドではありますが、その姿はスタプラやクレイジー・ダイヤモンドに代表される「何かをまとった人間」のようなイメージを抱かせません。どちらかと言えばエイリアンや恐竜人間などが近く、そのデザインは「非人間的」です。そして本体が現れずその姿のまま喋り、享楽主義的な理由で形兆を殺害し弓と矢を奪う。行状もやっぱり「非人間的」。つまり形兆と父が片面ずつ持っていた非人間性をくっつけ合わせたのがレッチリで、故に次の中ボスとしての悪役らしさを獲得できているわけです。
そして、人間性が可視化されたのはけしてこの2人だけではありません。生き延びた億泰もです。彼は一線を越えないよう形兆に守られてきたわけですが、これは同時に、形兆に従うことで自己の意思を発揮する場所を奪われてきたということでもあるわけですから。それを踏まえて捉え直すと、億泰の行動ってきちんと成長の順を追っているのですね。康一を救うがそれ以上協力はしないというフラットな判断をし、これまで従ってきた兄の凶行を止めようと説得を試み、自分をかばった兄の行動を咀嚼する。この短い時間の中で、彼は確かに自分の意思を見せ始めている。小学生のような仗助の家での行動も、彼が本来その頃に経験すべきだったステップをようやく踏み出すことができたのだ、というように感じました。このラストの描写は原作では、次の事件の始まりの回に康一が軽く地の文で語っていたのを膨らませたものですが、それをもって虹村兄弟編の終わりとして意味あるものに仕立てていたのはとてもよくできていたと思います。色々あったけど億泰は非日常サイドから日常サイドに足を踏み入れたんだぜ、と言う。
形兆の墓も、原作では同様に地の文で語られていたのがきちんと「虹村家」の墓を見せる形になっていたのは彼の家族との繋がりを感じさせてくれて、とてもじんと来るものになっていました。
今回は演出面で小道具の使い方がとても上手く、虹村父を縛る鎖は形兆の人生を呪縛するものとして、あるいはそこからの解放を示唆するものとしてしばしば重ね合わせられていましたし、億泰の説得シーンも「弓を掴む」という動作が原作よりもクローズアップされており、彼自身の意思というのがより強く出ていました。原作だと仗助の「治すスタンド使い探しなら手伝ってもいい」という優しい言葉も億泰の行動にそれなりに影響を与えて感じられたけど、若干の順番変更によってその影響度が小さめになっているように思えるから面白いなあ……
さて、次回は康一が主役の物語。色々と楽しみにしてますw
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