ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない アニメ・原作比較感想第6話
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このカットなんで液体が赤と白に分かれてるんだろう?と思ったが、確認したら原作でも鼻血と鼻水を片方ずつ流してた。
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第6話「広瀬康一(エコーズ)」
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険DU製作委員会


入学祝い買ってもらったマウンテンバイクで通学していた康一は、路上にあった袋にぶつかり転んでしまう。なんとその袋からは血が流れ……
目覚める能力、信じる絆の第6話。今回は原作4.5話分、約90ページのアニメ化です。0.5話分は先週のレッチリと承太郎の電話シーン、形兆亡き後の億泰のてん末などの地の文での語りであり、原作ではこれらを経て康一の通学シーンに繋がっていたのですが、アニメではその辺りは先週描写済みなわけで。代わりに杜王町ラジオが出ることで、若干巻き気味ながらも「さわやかな前置き+暗転のイメージ」が印象付けられています。今後も出番有るんだろうか、このラジオw


それにしてもこのエコーズvs錠前(ザ・ロック)編、あらすじ自体はスタンドが存在しなくても成立するというのがすごいですね。玉美の手口は錠前がなくても通じそうだし、康一の打開策にしても要諦は「信じてほしい」とただ呼びかけること。スタンドはそれらを可視化し説得力を与えているだけであって、根本には2人自身の力がなければこの展開は成立できない。スタンドの登場が革新的だった所以は超能力を可視化したことにあるわけですが、こんな風に超がつかないただの能力までも可視化しているのが未だ本作がオンリーワンでいられる理由なのではないかな、と思います。あ、ついでに言えばスタンドが存在しているからこそ少年漫画ですよという「説得力」もありますね。なかったらただの啓蒙漫画になってしまうw 杜王町ラジオに象徴されるように今回も日常と非日常が隣接しているわけですが、6話の非日常は随分と現実的なそれであったように思います。いつも通りの登校や世間話をする日常から一家離散の危機とか笑えない。
で、可視化という要素に改めて着目してみると今回はそれが特に丁寧に作られていて面白い。アホみたいに長くなったのでアンカーリンクしときますね。
<1.ゆすり屋という非日常の可視化>
<2.「錠前」のアイテム性の可視化>
<3.エコーズの能力の段階的可視化>
<その他の気付いた変更点など諸々>
<1.ゆすり屋という非日常の可視化>



もっとも分かりやすいのは玉美がいた道路が落書きされていることで、そこが非日常、つまり玉美のテリトリーであることがとても分かりやすく示されています。煙が晴れて車輪の下に落書きが映っているのは「蜘蛛の巣に絡め取られた状態」なわけですね。

他にも落書きの矢印は玉美が倒れてゆく方向を示唆しているし


錠を外された玉美が逃げる際も落書きゾーンから抜け出す瞬間は描かれず、仗助達は当然落書きの上。すなわち玉美の術中。だから7千円も持って行かれてしまうw




ついでに言えば玉美の座っていたベンチは原作ではちゃんと日が当たっていたのですが、アニメでは全て樹木の影に。これによって玉美が座るよう促す隣も薄暗くなり、「他所でできない話」というのが視覚的に感じ取れるようになっています。ベンチを叩く動作も接写されることで「手のひらの上に来させる」感じがより強調されることに。


仗助「おい…康一がひき殺したネコってのはこいつのことかい?」
また、玉美の仕掛けた罠の正体は原作では仗助が袋を開けるまで分からなかったわけですが……

死体のはずがハエが止まらない

トマトケチャップの袋がwww
<2.「錠前」のアイテム性の可視化>

そして今回の敵スタンドである錠前は基本静物なので動作性に乏しいわけですが、、アニメでは「女前としての動作」が強調されています。原作では気がついたら康一の胸に生えていたり、にょきっと億泰の胸から飛び出していた錠ですが……





玉美「『罪悪感』てあんだろ?」
玉美が指差すことで康一の胸が凹み、錠が飛び出した後で棒が刺さり鍵が回って「施錠」される。人の心をロックする、という特性が動的に表現されています。




施錠動作は当然「棒を突っ込む」→「鍵を締める」の順に行われていますが、例外的に康一の母親の施錠シーンでは順番が逆転しています。このシーンの場合「罪悪感に刺される」のが大事なので、「棒で刺される」姿を勢い良く描いているわけですね。思わず殴りかかって倒れる康一というシチュエーションから、起き上がった彼の視界の前に玉美が立ち塞がる……というのも家族の生殺与奪を彼が「ロックした」というイメージが出ていて憎たらしさが増しています。



そしてこの動作が1番効果を発揮しているのが母親の説得シーンで、錠前の棒が「外れる」んですよね。原作だと錠が消滅するところは描かれていなかったのですが、外れる動作が追加されていることで錠がただの静物ではなく錠らしく消えていく。もちろん、先ほど刺さったものが抜けるという順を追った気持ちよさもある。
<3.エコーズの能力の段階的可視化>

エコーズの「音をしみこませる」スタンド能力も今回上手く可視化されている部分。玉美はエコーズに数回音をしみこませられているわけですが、その回数に応じてエフェクトも変化しています。
第1段階:最初の音貼り付け時

「どこから音が出ているか」を強調するために、音の張り付いた場所から振動するようなエフェクト
第2段階:特性判明後~2回目の音貼り付け時

「音の渦で行動に支障が出る」表現としてとにかく玉美の体中から擬音が散っていく
第3段階:飛びかかる玉美に更に音貼り付けた時

電気がバチバチするようなエフェクトを追加。「音にビリビリして体を上手く動かせない」レベルに至る



ついでにこのバチバチは擬音ほど視覚を専有しないので、玉美が自分を刺す辺りからはバチバチのみにエフェクトが減っています。ここからはエコーズの効果じゃなくて玉美や康一の行動こそが話の中心なわけですからね。バチバチするエフェクトは原作でも1コマだけ描かれているのですが、そこから上手く使い分けたものだと思います。
主題は正に精神力の対決でありながら、それを彩るスタンドの活躍がきちっとアニメ化された回でした。次の間田敏和編も1話で終わるようだし、短めの話はサクサク進むなあ……
<その他の気付いた変更点など諸々>

玉美「それいい自転車だな…
今回は広瀬家などでの玉美の台詞が結構カットされているのですが、康一とのやりとりでも取り消し線部の台詞がカット。原作だと康一の罪悪感を煽るための台詞なのに、なぜ「いい自転車」の部分だけ残したんだろう?と思ったのですが、これ考えてみると本来は「康一の家には金がある」と値踏みする台詞でもあったんですね。だから家までゆすりに来たと。ついでに原作では逃げた際に仗助への恨み節も語っていたのですが、今回その後かかわらないせいかその台詞はカット。


玉美「50万は払ってもらうぜ」
玉美「50万円ほど入ってまして ぜひ返すよーにと」
玉美が50万を提示するシーンでは分かりやすく指を5本広げる動作が追加。オチまで繋がる重要な金額なので、音だけでなく可視化されることで印象に残りやすくなっています。

今回はエコーズの能力以外での擬音の使用は控えられているのですが、それでもなお使われているのがこちら。擬音→漫画的→嘘くさいというか、「玉美がわざと転んだ」のが分かりやすい可視化w

康一「あ~~あ 今日は朝一番にやなことがあったから憂うつな一日だったよ」
原作では康一が家に着く所から始まっていたのが、自転車での下校風景を追加。自転車で画面を斜めに降下させて康一の気分も斜めに降下。


玉美の靴は原作と違ってカカトを履きつぶしたものに。「よくない奴が来ている」のが一目で分かる可視化!

玉美「あ そーそー 康一くんのサイフとわたしのがスリ変わったって証拠がありますよ」
まるでディスコハウスのような照明www オマケに机にジョニーズのレシートが投影されているというwww 会話の主導権が玉美に映ったというのが可視化されています。康一の母親がおびえたポーズで固定されているのも後押し。

玉美「うぎゃっ ひえーーっ わっ! うわっ」
エコーズが殴り終わった後もちょっとだけ効果線が続いているという珍妙な状態www 殴る勢いについている効果線というより、玉美の怯えを表現した効果線という奇妙な可視化です。

康一「
台詞としては康一のこの反応はカットされているのですが

表情に残っているwww


康一「その逆だ 『音』を出す! 『信じて!』」
康一の声を投げる場面は、エコーズの鳴き声に耳を澄ますとこちらも「信じて!」と鳴き声をあげているのが分かります。スタンドはスタンド使いの分身という設定に合っているし掛け声としてもふさわしい。こちらは可視化というよりは「可聴化」と言った方がいいのかな。


玉美「康一どの!学校までカバン持たせていただきますッ!」
ラストの玉美の姿は「康一と同レベルまで背が縮む」のではなく「膝やら腰を曲げた」のが強調される形に。原作では当初そこそこ長身だったのがだんだん縮んでいった彼ですが、アニメは最初からちょっと低めに統一しているのでこういう形になるわけですね。
さてさて、次回は間田敏和編。あの台詞はサザエさんみたいに発言できるんだろうか?w
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