それでもあなたは/機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 7話感想
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UC96にドラッツェって本当に逼迫してるなあ……デザインはすごく好きなんですが、存在自体が急場しのぎの機体を16年後も運用してるのか(;´Д`) あ、ドライセンのトライブレードとかデルタプラスの変形切り捨て御免(落としてないけど)とか実に格好良かったです。
機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 第7話「パラオ攻略戦」
©創通・サンライズ



受け取ったメモに従い脱出を試みるバナージは、幸運なのかその途上でユニコーンガンダムを発見する。救出作戦の成否は……
NT-Dシステムの正体とそれを凌駕する心、第7話。今回はフル・フロンタルの思惑とそこから外れるバナージ達の姿が印象的。フル・フロンタルは連邦のパラオ襲撃を予想しながら、それを利用して被害を抑える方法というよりはラプラスの箱を解析する作戦を計画する。彼にとってマリーダは12番目の試作品……つまり物なわけで、それはパイロットである人間を「戦闘単位」とする考え、人間性を剥奪する考えの極致だと言えます。この捉え方は今回の作劇では徹底しており、序盤の戦闘では連邦も袖付きもパイロットの顔や声といった個を感じさせるものが描かれていません。例外はロトを倒した時のフル・フロンタルで、つまり彼のみが「戦闘単位」の上にある。
もう1つ人間性を剥奪する存在として描かれているのがNT-Dシステムで、こちらはパイロットを「受信した感応波を敵意に変換する処理装置」にしてしまう。これが発動した状態のユニコーンガンダムのパイロットは「バナージ・リンクス」ではなくなってしまい、それは同時に相対しているのが「マリーダ・クルス」であるという認識を失うということです。ファンネルをジャックされたマリーダが「私が分からないのか!」と叫ぶのは、物語的には二重の意味があるわけですね。
こうした人間性を剥奪する2つの存在は、劇中ではジンネマンの2度に渡る「あの小僧」という台詞によって繋がれています(1度目はバナージに逃亡する度胸があったことに驚く→実際は受け取ったメモ、ひいてはフル・フロンタルの思惑に泳がされたものに過ぎない。2度目はバナージがマリーダを圧倒することに驚くが、実際はNT-Dシステムの操り人形になっているに過ぎない)。
けれど、バナージはこの状況にあっても人間性を取り戻そうとする。「クシャトリヤのパイロット」という戦闘単位がマリーダであることを感じ取って語りかけ、NT-Dの支配下にあってもマリーダ個人の過去を感応してシステムの支配下を脱する。それはどちらもパイロットを人として扱おうとする彼の姿勢あってのことです。この手の感応し合う描写でパイロットスーツが脱げる理由って今まで考えたことがなかったんですが、パイロットという戦闘単位から個々人に戻るという意味だったんだなー……
そして戦闘単位同士の遭遇において、もう1つ人間性を取り戻す様が見えるのがバナージとオードリー、そしてリディ。ユニコーンガンダムが登録認証制という事を知っているから、という理屈付けはあるのですが、オードリーはユニコーンガンダム=バナージであることを「分かり」、リディより先に話しかける。MS同士が「触れ合う」のは接触回線の設定ゆえですが、デルタプラスがユニコーンガンダムに寄り添う姿は見ていてなんとも言えない温かみがありました。バナージだと分かった直後の接触描写、リディの操作挙動を入れていないので、この時のデルタプラスはオードリーの思いを表意しているんだなー……その後背中合わせになるシーンではもちろん、ユニコーンガンダムとデルタプラスはバナージとリディの思いの表意に戻っている。ただ、バナージがリディに名乗られるまで「彼という人間」を分かっていなかったのはなんだか意地悪く思えないでもないw いや、お守り拾った時も名乗ってなかったんだから当然の反応なんですけどね。
ついでに言えば「オードリー」を名乗るということは彼女が1人の少女になるということでもあり、これまた人間性の回復でもあります。ユニコーンガンダムを見つけた時や、戦闘後の無事を知った時の反応、実に女の子していてかわいかった。
様々なものが人々から人間性を剥奪していくわけだけど、ジンネマンは試作品や商品として扱われてきたプルトゥエルブを「マリーダ・クルス」という人間として扱うし、ダグザとコンロイはロトに乗って声も姿も描かれず死んでいった部下に心を痛める。戦闘単位として扱われようが、そこにはどうしたって人間がいる。この続いていく悲しみを物語はどう扱っていくのか、期待したいと思います。
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