あんたがいなくなるんだったら/クロムクロ7話感想
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敵役がとりあえず勢揃いした筈なのだがさっぱり見えてこないこのさじ加減www
クロムクロ 第7話「東雲に消ゆ」
©クロムクロ製作委員会


「鬼」に人が乗っていたという事実に戦慄する由希奈。彼女は殺し合いになることに恐怖し……破綻の第7話。
敵の正体が多少なりとも判明してヒロインの心が揺らぐ、と言う定番の展開ですが、その悩みも周囲の姿勢も1つに固め切らないことで煮え切らなさを感じさせないのが手が込んでいる。
由希奈は「死ぬのも死なせるのも嫌」と語るわけですが、実際のところ前者に対する言及はそれほど見受けられません。もっぱら「死なせる」方に描写は傾いています。「殺す」ではなく「死なせる」なのは彼女が直接クロムクロを動かさないからですが、それがこの言葉に「殺す」とは別の範囲をカバーさせています。由希奈は赤城と茅原を救えず「死なせて」しまったかもしれないし、鬼を全て斬ったら剣之介が姫のもとへ行くと言うなら由希奈の戦いは彼を「死なせる」ことになる。それが彼女にはたまらなく重い。
また由希奈の父の主張を裏付ける筈のエフィドルグのヒドゥは、実際のところ彼女を「ラ○ュタは本当にあったんだ!」という気持ちにはさせてくれません。地球人と同じ姿を持ち日本語をしゃべるその姿は「人」にしか見えず「鬼」や「宇宙人」としての説得力を持てない。由希奈にとって父の主張は、未だ現実味を持てないものなわけです。加えてその事は、鬼のことは嘘ではないと言ってくれた剣之介の言葉をも揺るがしてしまうものなわけで。これだけ複層的に重みが繋がると彼女が最後に東雲に消えてしまうのも無理無いよな、と思います。ほとんどの人が搭乗を強いないことで、より由希奈自身の内面の痛みに踏み込んでいるのは興味深いものでした。
剣之介は剣之介で、鬼の概念が揺らいだことで彼がこの時代に留まる理由を揺るがされる。彼自身鬼が自分達と同じ姿をしているとは思っていなかったので、ヒドゥを「人の形をした鬼だ!」→「鬼の走狗だ!」と表現に迷い、「鬼は鬼だ!」と強弁せざるを得ない。生死の境をくぐり抜けてきた彼は仇討ちのために、死すべき時に死ねなかったという自分の悔いを果たすために、つまり死の側へ行くために戦ってきたわけだけど、それではいけないのでしょうね。そういう剣之介の思いと由希奈の思いのぶつかり合いをアイスの棒でチャンバラさせるというのは正に「当たり」のワンシーンでした。
そんなわけで敵の正体が一部明らかになったのにむしろ主人公サイドの心に暗く深く切り込むという面白い回だったわけですが、その辺りの息苦しさに負けないよう他の描写が充実してたのはありがたいなあ……他のムクロの操縦者は古典的な悪役会議みたいなことするし剣之介は現代日本に意外と馴染んだ姿を見せるし水着回だしwww 緩急が互いを殺しあわず、むしろラストシーンの破綻を効果的に見せていたのは改めて本作のバランス感覚を象徴していたように思います。

まじめに自習させる気があるとは思えない茉莉奈先生の水着も素晴らしいが

クラスメイトの眼鏡っ娘が

ちゃんとプールサイドにいるのも見逃してはいけない。こっちはスク水で分担も完璧だな!
<おまけ>
水面をくぐるプールで、死線をくぐった傷の話と生死の境界をくぐっている友人の話をするというこのシチュエーション……あとスク水とビキニが混在してるのである意味プールの境界もくぐってる(;´∀`)#クロムクロ pic.twitter.com/GmwQYjK6Wq
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2016年5月20日
関連:
クロムクロ 感想リスト
クロムクロ 第1話「鬼の降る空」
クロムクロ 第2話「黒き骸は目覚めた」
クロムクロ 第3話「城跡に時は還らず」
クロムクロ 第4話「異国の味に己が境遇を知る」
クロムクロ 第5話「学び舎に来た男」
クロムクロ 第6話「神通の川原に舞う」

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【言及】
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