たった1つの強い思い/うしおととら35話感想
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記憶が戻った麻子のうしおへの感情量、ものすごいことになってそう。
お誘いいただきまして「こいさんの放送中アニメの感想」さんと相互リンクさせていただきました。多数の作品を画像も用いて小気味良くレビューされている人気サイトです。お声がけいただきましてありがたや。
うしおととら 第35話「希望」
©藤田和日郎・小学館/うしおととら製作委員会



時をさかのぼり獣の槍の歴史を目にし、その業に涙するキリオ。それでも立ち上がらなければならない状況の中、海上で光るのは……
再び立ち向かう時、第35話。獣の槍の業を再度提示した上で、それでもそれが希望をかき集めていく筋立てが秀逸。うしおと同じく獣の槍の過去をたどるキリオはうしおの対としての要素をもっとも兼ね備えたキャラですが、対としての要素があくまで外形に留まる彼は獣の槍との直接的な因縁を持ちません。槍に潮の名は刻まれていないし、ジエメイと一時でも同じ時間を過ごしたわけでもない。
けれどそんな風に濃厚な縁を持っていないということはけして弱みではなく、故に彼は獣の槍の業について触れることができる。涙することができる。うしおと同じく獣の槍を過去を見てきても、彼の言葉はきっとうしおには真似できなかったはずです。白面の者を倒すという至上命題において確かに獣の槍は正しい。だけど、その正しさだけで肯定されるべきものなのか。かつて斗和子の走狗として獣の槍を否定したキリオが、今度は自分で見聞きしたものをもってそのありように疑問を呈する……というのは、意図してうしおとの対照性を作られた彼ならではの上手いアプローチであったな、と思います。原作未読の身の1人としてはキリオの描写量はちょっと不満もあるのですが、彼がこんな風に他人のために涙できるようになっているというのはそれだけでぐっと来るなあ……
破片となっても獣の槍は白面の者を倒しうる使い手を守り、白面の者の分身である婢妖を人々の頭の中から討ち取ってゆく。それは暗黒の槍である獣の槍の執念だけがなせることなのかどうなのか。ただそれでも、そのことはうしおを救い、うしおと関わった人々を救い、それらに関わった人々の恐怖を拭い、うしおのもとへ希望を運んでゆく。それはまさに「獣の槍がたとえ間違っていても、使う者が間違えなければ」「使う者に真実の心があれば」「たった1つの強い思いがあれば」ということなのだと思います。
さてさて、かつて戦ったくらぎ、斗和子、あやかし相手にも1匹では勝てないとらは(相棒的)ヒロイン街道一直線ですが、うしおとの再会はどんなものになるのか。人と妖の合力はどのようにして奇跡を起こすのか。次回が楽しみです。
関連:
うしおととら リスト
うしおととら 第1話「うしおとらとであうの縁」
うしおととら 第2話「石喰い」
うしおととら 第3話「絵に棲む鬼」
うしおととら 第4話「とら街へゆく」
うしおととら 第5話「符咒師 鏢」
うしおととら 第6話「あやかしの海」
うしおととら 第7話「伝承」
うしおととら 第8話「ヤツは空にいる」
うしおととら 第9話「風狂い」
うしおととら 第10話「童のいる家」
うしおととら 第11話「一撃の鏡」
うしおととら 第12話「遠野妖怪戦道行~其の壱~」
うしおととら 第13話「遠野妖怪戦道行~其の弐~」
うしおととら 第14話「婢妖追跡~伝承者」
うしおととら 第15話「追撃の交差~伝承者」
うしおととら 第16話「変貌」
うしおととら 第17話「カムイコタンへ」
うしおととら 第18話「復活~そしてついに」
うしおととら 第19話「時逆の妖」
うしおととら 第20話「妖、帰還す」
うしおととら 第21話「四人目のキリオ」
うしおととら 第22話「激召~獣の槍破壊のこと」
うしおととら 第23話「永劫の孤独」
うしおととら 第24話「愚か者は宴に集う」
うしおととら 第25話「H・A・M・M・R~ハマー機関~」
うしおととら 第26話(最終回)「TATARI BREAKER」
うしおととら 第27話「風が吹く」
うしおととら 第28話「もうこぼさない」
うしおととら 第29話「三日月の夜」
うしおととら 第30話「不帰の旅」
うしおととら 第31話「混沌の海へ」
うしおととら 第32話「母」
うしおととら 第33話「獣の槍破壊」
うしおととら 第34話「とら」

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【言及】
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