帰れば、そこに/うしおととら36話感想
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その門の向こうに。
うしおととら 第36話「約束の夜へ」
©藤田和日郎・小学館/うしおととら製作委員会



獣の槍がまだ消滅していない事に気付き、うしお達の前に現れる白面の者。その頃、小夜は冥界とこの世を繋ぐ門を開こうとし……帰還の第36話、
今回は序盤、小夜の言葉によって「冥界は浄土、現世は苦界、冥界から帰るのは自らを傷つけてもやることのある者のみ」と定義付けられますが、御角に限らず浄土ではなく苦界を選ぶ者達の姿が印象的。
失意の底から立ち上がったうしおは、再び獣の槍を手に取る。人間に戻れなくなるという苦界の苦しみを味わうかもしれないけれど、皆を守らなければならないから。
粉々の破片となった獣の槍は、皆のうしおへの思いという浄土の光を感じながらそれでもなお現世で戦いを続ける。白面の者を討たなければならないから。
奸計によって遅れを取った人間や妖怪は、再度白面の者との苦闘を選ぶ。ここで諦めるわけにはいかないから。
そして、家族の命を奪われた鏢は復讐の苦界で地獄の戦いを続けてきた。妻と娘を食った紅蓮をなんとしても殺さねばならないから。
鏢にとっては自分の家こそが浄土であり、それを失っては現世に留まり続けるしかない……というのは正に復讐の道理だし、故に最後は冥界に行くことが救いであるというのは悲しくも筋が通っています。
ただそこを1人の物語とするのではなく、自分と逆に父親を失った家族、まるで冥界の鏡を覗きこんだような母子の物語と重ねるというのは優しかったなあ……自分にはもう現世に浄土はないけれど、あの母子には互いという浄土がある。だから現世に留まる理由になる。そしてそれが、夢か現か鏢自身にとっても救いになる。どちらもきちんと「帰る所に帰った」のですね。
そして再び冥界と現世の観点に帰れば、人としての生を終えた後も自分の楽しみのために暴れる紅蓮や、白面の者の尾から生えた再生怪獣(霧の化物は初登場だろ!というツッコミは野暮なんだろう、察したw)に冥府へご退場願うのは当然のことなのですね。彼らにはやるべきことなんて無いのだから。その御旗になるのが言わば2回も冥界行きを拒否した獣の槍というのは物語として説得力ある。
さて、字伏となって1度冥界行きを拒否したとらは再び現世へ戻ってくるのか、そしてその戦いの行き着く先は。盛り上がり、留まるところを知りませんね。
関連:
うしおととら リスト
うしおととら 第1話「うしおとらとであうの縁」
うしおととら 第2話「石喰い」
うしおととら 第3話「絵に棲む鬼」
うしおととら 第4話「とら街へゆく」
うしおととら 第5話「符咒師 鏢」
うしおととら 第6話「あやかしの海」
うしおととら 第7話「伝承」
うしおととら 第8話「ヤツは空にいる」
うしおととら 第9話「風狂い」
うしおととら 第10話「童のいる家」
うしおととら 第11話「一撃の鏡」
うしおととら 第12話「遠野妖怪戦道行~其の壱~」
うしおととら 第13話「遠野妖怪戦道行~其の弐~」
うしおととら 第14話「婢妖追跡~伝承者」
うしおととら 第15話「追撃の交差~伝承者」
うしおととら 第16話「変貌」
うしおととら 第17話「カムイコタンへ」
うしおととら 第18話「復活~そしてついに」
うしおととら 第19話「時逆の妖」
うしおととら 第20話「妖、帰還す」
うしおととら 第21話「四人目のキリオ」
うしおととら 第22話「激召~獣の槍破壊のこと」
うしおととら 第23話「永劫の孤独」
うしおととら 第24話「愚か者は宴に集う」
うしおととら 第25話「H・A・M・M・R~ハマー機関~」
うしおととら 第26話(最終回)「TATARI BREAKER」
うしおととら 第27話「風が吹く」
うしおととら 第28話「もうこぼさない」
うしおととら 第29話「三日月の夜」
うしおととら 第30話「不帰の旅」
うしおととら 第31話「混沌の海へ」
うしおととら 第32話「母」
うしおととら 第33話「獣の槍破壊」
うしおととら 第34話「とら」
うしおととら 第35話「希望」

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