おもしろかったよなァ/うしおととら39話感想 


 話は終わったけれど、夢は終わらない。



うしおととら 第39話(最終回)「うしおととらの縁」
©藤田和日郎・小学館/うしおととら製作委員会
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 うしお達に本性を見抜かれ、もがき暴れる白面の者。果たしてうしおととらは打ち倒すことができるか――人と妖と、最終話。
 最後を迎えるにあたって、「日常への回帰」を前面に押し出しているのが印象的。この場合の日常というのは妖怪、法力といった不可思議な力の見えない「日常」です。妖怪はこの国を支える土台へと変わり、オマモリさまは冥界の門の内へと消え、光覇明宗はEDに姿を表さない。雷信達は人間の世界に溶け込み、紫暮も須磨子も普通の父母になる。うしお達が守ったのはそういう「日常」だから。彼らがこれから見ていく世界では、不可思議の力を借りることはできないから。うしおが、小夜が、キリオ(原作だと九印は死んでるそうですね)がそれぞれの大切な相棒とお別れしなければならなかったのは、そうしたテーマ的な理由もあったように思います。不可思議の物語は、門の向こうへ去る。
 でもそれは、不可思議が消滅したことを意味するのではありません。妖も法力も、誌面や画面に見えなくなっただけに過ぎない。だから僕達には、想像の翼を広げることが許されている。日本の柱となった妖怪達が帰る時、とらが帰る時がいつか来るのではないか……と。これが妖怪と人が真正面から手を取り合って未来を切り開く終わりであったら、きっとそういう想像は許されなかったと思うのですよ。とらの犠牲も、長達の犠牲も確たるものとして、取り返せないものとしてうしお達は前に進まなければならない。けれど、未来が不確かなように、不可思議は不確かの彼方にあるからこそ夢見ることができる。想像することができる。だから最後、空っぽの蔵の中が描かれないんじゃないかなと思います。もし、もし最後に僕らが聞いたやりとりが幻でない未来があるなら、それはきっと、再び蔵の中から始まるのじゃないでしょうか。

 実に20年前に原作がさかのぼるこの作品、僕は厳密には読んだことがないわけではありません。最終決戦の本当に最期の部分、初めて見せてもらったサンデーでパラパラと目にした記憶があります。けれどそれだけ。断片とすら言えないような記憶が引っかかりながらも、「からくりサーカス」を楽しんだりしながらも、どうしても手を伸ばさないままでいたのがこの作品でした。いや、長いですしね。あまた聞く「名作」と同様に、結局は触れずに終わるんじゃないかなー……と、時折名前を思い出すたび、そんなことを思っていました。
 それが、2015年にもなってアニメ化される。その全てを描かれるわけではないけど、アニメ化される。きっと、これが僕が本作に手を伸ばせる最後の機会だと思いました。そしてようやく手を伸ばしたことは、間違いじゃなかった。うしお、とら、この作品すごく「面白かった」よ。
 長いこと本作に触れずにいた愚図な僕に機会をくれた、ずっと「うしおととら」を愛し続けてくれたファンの方、最後までアニメにしてくれたスタッフの方々に心からの感謝を。ありがとうございました。原作? 文庫本も小説も買ったよ!

<おまけ>



関連:
うしおととら リスト

うしおととら 第1話「うしおとらとであうの縁」
うしおととら 第2話「石喰い」
うしおととら 第3話「絵に棲む鬼」
うしおととら 第4話「とら街へゆく」
うしおととら 第5話「符咒師 鏢」
うしおととら 第6話「あやかしの海」
うしおととら 第7話「伝承」
うしおととら 第8話「ヤツは空にいる」
うしおととら 第9話「風狂い」
うしおととら 第10話「童のいる家」
うしおととら 第11話「一撃の鏡」
うしおととら 第12話「遠野妖怪戦道行~其の壱~」
うしおととら 第13話「遠野妖怪戦道行~其の弐~」
うしおととら 第14話「婢妖追跡~伝承者」
うしおととら 第15話「追撃の交差~伝承者」
うしおととら 第16話「変貌」
うしおととら 第17話「カムイコタンへ」
うしおととら 第18話「復活~そしてついに」
うしおととら 第19話「時逆の妖」
うしおととら 第20話「妖、帰還す」
うしおととら 第21話「四人目のキリオ」
うしおととら 第22話「激召~獣の槍破壊のこと」
うしおととら 第23話「永劫の孤独」
うしおととら 第24話「愚か者は宴に集う」
うしおととら 第25話「H・A・M・M・R~ハマー機関~」
うしおととら 第26話(最終回)「TATARI BREAKER」
うしおととら 第27話「風が吹く」
うしおととら 第28話「もうこぼさない」
うしおととら 第29話「三日月の夜」
うしおととら 第30話「不帰の旅」
うしおととら 第31話「混沌の海へ」
うしおととら 第32話「母」
うしおととら 第33話「獣の槍破壊」
うしおととら 第34話「とら」
うしおととら 第35話「希望」
うしおととら 第36話「約束の夜へ」
うしおととら 第37話「最強の悪態」
うしおととら 第38話「最終局面」

漫画感想「うしおととら」文庫版第1巻
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漫画感想「うしおととら」文庫版第4巻
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漫画感想「うしおととら」文庫版第18巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第18巻

小説感想「うしおととら」1巻
小説感想「うしおととら」2巻


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Posted on 2016/06/25 Sat. 21:53 [edit]

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コメント

毎回感想楽しく見させていただいてました~
原作からの藤田ファンです、アニメからも十分楽しんでいるみたいで何よりです!!

レビューは原作→アニメな人しか見たことないので、
アニメ→原作だとどんな感想を抱くのか、よかったら原作の感想も書いてくださいね

#- | URL | 2016/06/30 23:49 * edit *

コメントありがとうございます、原作からのファンの方にそう言っていただけるのは嬉しいですね。ええもう、作品への入り口としてもってこいのアニメでした。
アニメだと「1回分」が長めになるので、見ていてテーマを探しやすかった気がします。
原作もこれから読んで感想を書きたいと思っていますが、どの分量で区切ったものかなw

闇鍋はにわ #dvQckJnQ | URL | 2016/07/01 23:34 * edit *

こんばんは。うしおととらの感想お疲れ様でした。
毎回楽しく読ませていただいてました!
いつも未読の方と思えないくらい鋭い感想でびっくりしながら拝見してました。既読の自分が色々教えてもらうくらいでしたw
うしとらファンが増えて自分も嬉しいです。これもアニメ化のおかげだなあと思います。
原作と小説も是非楽しんでください!

自分も闇鍋さんの原作&小説の感想を拝見したいです。エピソードごとに・・・は大変すぎますねw
個人的にはアニメになっていないエピソードの感想を拝見してみたいです。

ともあれご無理の無い範囲でぜひ!楽しみにしております。

towa(らくがき者) #sSsytDpA | URL | 2016/07/04 00:48 * edit *

>towaさん

 楽しく読んでいただいていたということで何よりです。本作については、今になってちゃんと触れることができてこれはこれで良かったかなとも思います。アニメスタッフがきちんと30分ごとにテーマを持たせた区切りをしてくれていたおかげで、毎回気持ち良く感想を書くことができました。

 原作感想については、今のところ文庫本1巻ずつの感想で行こうかと思っています。巻の途中で切るのは多分無理だと思うのでw あ、巻末クイズは載ってるのを確認しました。流にいちゃん!www
 漫画を読み解く文法についてはアニメに比べると疎いのですが、こちらもお付き合いいただけましたら幸いです。

闇鍋はにわ #dvQckJnQ | URL | 2016/07/05 00:02 * edit *

1ヶ月遅れのコメントになってしまいましたが、感想完走お疲れ様でした。
毎回視聴後に楽しく読ませて頂きました。原作の方も着々と進まれているようで、こちらも楽しませて頂きます(^^)

20年を経た後のアニメ化だからこそ意味がある、と思える素晴らしい“掘り起こし”でした。まさに土から立ち返って来たかのような…
闇鍋はにわさんのように「最後の機会」をモノにされた方も大勢いらっしゃると思います。既存のファンも新規のファンも幸せ♪

エピローグにおける「日常への回帰」の指摘は成程その通りですね。
日輪を始め光覇明宗の面々の後日談が無いことの違和感(ページ数の都合上やむを得なかったんだろうと自分を納得させていました)にも説明がついて、今になってスッキリしましたw
アニメで(折角生き残った)九印が最後のキリオと真由子のシーンに映ってなかったのも、そういう観点で見れば納得です(^^;)

tara #BjZB.8K6 | URL | 2016/07/27 23:46 * edit *

>taraさん

ありがとうございます、taraさんも完走お疲れ様でした。原作、楽しんで読ませてもらってますよー。

骨の部分だけだけど、というかそれだけでこんなに面白い作品なんだ、というのを示してくれた39
話だったように思います。僕としては今のタイミングで見ることができて本当に良かった。

後日談は光覇明宗、というか日輪のその後が見たかったのも正直なところではあるんですがw そこに意味はあるんだと納得できる終わりであったなと思います。彼女たちがどうしているか、それもまた僕らが想像していいこと。九印がキリオをどう見守っているか考えるのもまた面白いw 一緒に楽しめて良かったです。

闇鍋はにわ #dvQckJnQ | URL | 2016/07/28 21:11 * edit *

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たらさいと | 2016/07/27 00:42

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