漫画感想「うしおととら」文庫版第4巻 

うしおととら (4)

 藤田和日郎の「うしおととら」文庫版第4巻を読了。今回収録されているのは第十二章「遠野妖怪戦道行」、第十三章「おまえはそこで乾いてゆけ」、第十四章「鎮魂海峡」、第十五章「汝、歪んだ夜よりきたる」、それから第十六章「湖の護り神」の1話が収録されています。ページ的には2/3ほどが未アニメ化部分であり、いよいよ原作に手を伸ばした醍醐味が出てきたかな。内容的には第十三章からはうしお達に同行者がいるので、カットするならバッサリと……となるのは仕方ないのか。

 読んでいて思うのは、この辺りの話は「己は何者なのか?」という問いかけを持ったものが多いなということ。「遠野妖怪戦道行」はとらが自分を「長飛丸」ではなく「とら」だと規定する話であり、同時にうしおも母親が何者なのかの一端を通して自分の使命を知ってゆく。「おまえはそこで乾いてゆけ」は人間になろうとして何者でもなくなってしまったバケモノの話だし、「鎮魂海峡」は会ったことのない祖父がどういう人物だったのか――自分に何が繋がっているのかを知る少女と、自分がある種の罪人だと思っていた男が「生き残り」として存在することを肯定してもらえる話だし、「汝、歪んだ夜よりきたる」では吸血鬼は最後に息子という自我に帰って死んでいく。……まあ「汝、歪んだ夜よりきたる」は詩が本当に詩的で今ひとつピンとこないのも正直なところなんですが。

 かつて人間だったらなと言われた猿は目的を忘れて何者でもなくなり、とうの昔に沈んだ船から人が帰ってくるわけはなく、吸血鬼は変身して化け物ぶりを飾り立てても子どもとして死ぬ。このあたりの話はうしおはヒーローであっても主役ではなく、そのせいかしんみりとした印象を強く受けました。アニメではうしおは常に中心であったので、こうした味わいは新鮮です。皆が己は何者かを知る姿を通して、うしおは己が何者かを探ってゆくのだなあ……

関連:
うしおととら 第1話「うしおとらとであうの縁」
うしおととら 第2話「石喰い」
うしおととら 第3話「絵に棲む鬼」
うしおととら 第4話「とら街へゆく」
うしおととら 第5話「符咒師 鏢」
うしおととら 第6話「あやかしの海」
うしおととら 第7話「伝承」
うしおととら 第8話「ヤツは空にいる」
うしおととら 第9話「風狂い」
うしおととら 第10話「童のいる家」
うしおととら 第11話「一撃の鏡」
うしおととら 第12話「遠野妖怪戦道行~其の壱~」
うしおととら 第13話「遠野妖怪戦道行~其の弐~」
うしおととら 第14話「婢妖追跡~伝承者」
うしおととら 第15話「追撃の交差~伝承者」
うしおととら 第16話「変貌」
うしおととら 第17話「カムイコタンへ」
うしおととら 第18話「復活~そしてついに」
うしおととら 第19話「時逆の妖」
うしおととら 第20話「妖、帰還す」
うしおととら 第21話「四人目のキリオ」
うしおととら 第22話「激召~獣の槍破壊のこと」
うしおととら 第23話「永劫の孤独」
うしおととら 第24話「愚か者は宴に集う」
うしおととら 第25話「H・A・M・M・R~ハマー機関~」
うしおととら 第26話(最終回)「TATARI BREAKER」
うしおととら 第27話「風が吹く」
うしおととら 第28話「もうこぼさない」
うしおととら 第29話「三日月の夜」
うしおととら 第30話「不帰の旅」
うしおととら 第31話「混沌の海へ」
うしおととら 第32話「母」
うしおととら 第33話「獣の槍破壊」
うしおととら 第34話「とら」
うしおととら 第35話「希望」
うしおととら 第36話「約束の夜へ」
うしおととら 第37話「最強の悪態」
うしおととら 第38話「最終局面」
うしおととら 第39話(最終回)「うしおととらの縁」

漫画感想「うしおととら」文庫版第1巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第2巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第3巻


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Posted on 2016/07/27 Wed. 21:54 [edit]

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