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お前さえ生きていてくれれば/機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 16話感想


 リディを乗せてのバンシィの初行動がデブリ帯というのは、ユニコーンのテストがこれまたデブリ帯付近で行われてたのと重なるなあ……



機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 第16話「サイド共栄圏」
©創通・サンライズ
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 ゼネラル・レビルの襲撃を受け、それを撃退した袖付きを乗艦させることとなったネェル・アーガマ。しかし乗員が簡単に納得するはずもなく……相容れぬもの、第16話。今回は袖付きによって共存を共闘に上書きされたネェル・アーガマを舞台にすることで、フル・フロンタルの目論見を感覚的に捉えやすくしているのが印象的。ネェル・アーガマは本来、反連邦活動を鎮圧するという強者の立場にあった艦ですが、いまや連邦の軍艦という所属を無視され、生き延びるためには袖付きと行動を共にしなければならない。MSデッキを闊歩され、機関室という心臓部への兵の常駐まで甘受しなければならないというこの状況は、ミネバの言う「弱者と強者が立場を入れ替えながら続く未来」と重なるものがあります。副長に抗議する機関長達の姿は、サイド共栄圏が実現した場合に「スペースノイドへの仕返しを目論むかもしれない」アースノイドの萌芽なわけですね。

 が、一方でネェル・アーガマで繰り広げられているのはそんな光景ばかりではありません。互いに睨み合うギラ・ズールの整備とは裏腹にクシャトリヤはガランシェール隊と整備班の共同で修復作業が行われ、ジンネマンはマリーダの生存にネェル・アーガマを奪取する算段を放棄する。直接やりとりする場面こそありませんが、私が全てを上回った彼と公のために自らの思考を捨て去るフル・フロンタルの姿は全く対照的です。

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 そしてミネバは、シャアと同じ顔の男が語る言葉がシャアと全く異なるものであることに失望する。これがとても怖い。ちょっと6話「その仮面の下に」の感想を引用してみましょう。

副題の表面的主体であるフル・フロンタルと言えば、ファッション、プロパガンダとしての仮面を外してもその「人間的仮面」を外してはいないのですね。なにせ仮面の下にあるのはご丁寧に傷まで備えた「シャア・アズナブルの仮面」なのですから。というか自分を器と規定しているあたり、仮面こそが自分の本性だと言いたげですらある。彼の語る袖付きの行動理念は正に思想であり、同じジオニズムを語りながらマリーダの言葉のような当事者性を持っていない。アンジェロが怒りを露わにして人間味を出す分だけ、終始その仮面は強調されていたように思います。
 ジンネマンに連れて行かれる時にフル・フロンタルが仮面をかぶり直し、そのまま扉が閉められる……というのは、彼の本当の仮面の下をバナージが覗けなかった、ということなのでしょう。外した仮面の裏側は表に比べて随分凸凹していたけれど、実際に彼の仮面の下にあるのはなんなのでしょうね。


 フル・フロンタルは今回「器は考える事をしません」とまで語り、「シャア・アズナブルの仮面」こそが本性であることを肯定した。けれど、ミネバに言わせればその仮面は偽物であり、つまり死んでいる――生皮でできた、本人そのものである筈の顔が死んでいる。つまり彼には顔がない。そして目に見える「顔のない顔」とは何でしょう?

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 それは物理的な仮面で隠された顔です。なんてこった、彼は最初から素顔を晒していたのだ。この逆転が生み出すフル・フロンタルの空虚さは底知れず、故に恐ろしい。さて、さて、バナージはどのようにこれに打ち勝つのでしょう。

<おまけ>



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  • 一度上に立った者は他と同格になる事に耐えられない。それは人でも政治体制でも同じだと思います。嘗ての殿様が百姓と平等だの対等だの言われても決して受け入れないでしょう。唯一それは可能とするのがその立場から転げ落ちた時。一度辛酸を舐めないと、相手とまともに接したりしないと思うんです。 艦内は一触即発。ミネバは連邦とジオンが手を取り合ってと喜んだけど、そう簡単じゃありません。これまで互いを敵としてさ...
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