どこへ行けば/クロムクロ22話感想
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今週末は土日外出のため明日のジョジョ感想は前編のみ、また日曜を含め更新が遅延します。すみません。
クロムクロ 第22話「鬼が哭いた雪中花」
©クロムクロ製作委員会



占拠されてしまった研究所。そして、ゼルの語る由希奈の父の最期とは……雪の中、第22話。
今回の副題は「鬼が哭いた雪中花」。鬼とはゼルやムエッタのことと取れますが、話自体はむしろ彼らの人間味をぐんと増すものであるのが面白い。
通販を利用したり、鹿や熊よりレトルトカレーが好きだったりと、仮面を外したことのみならず今回描かれたゼルの生活ぶりはとても人間臭いものでしたが、そう感じさせる大きな要素として由希奈の父・岳人との対比があります。由希奈との会話では穏やかに微笑んでいた彼の実像は存外に研究バカで、罠に様々な餌を試した挙句に自分の血肉を使おうとしたり、ゼルを見ても泣きも襲いかかりもせず喜びに飛び上がる。2人の会話はどう見たってゼルが常識人ポジションで、その異形との落差は視聴者の彼への親しみをかき立てずにはおきません。寿命の話でゼルは自分からすれば地球人が短命過ぎる……と語りましたが、そのように種族的な違いを地球人の基準から外せば、むしろ岳人の方が普通とは違った生き物(鬼)のようにすら思えてきます。あ、ハウゼンもたぶん鬼ですねw
そしてこの地球人と宇宙人のある種の同質性は、今度は由希奈とムエッタという外見がほとんど同じ組み合わせによって逆転して描かれます。異形のゼルであっても情愛を感じることがあるのに、ムエッタにはその寄る辺が無い。母との思い出も仲間意識ですらも作り物で、それが彼女の自意識を透明にさせてしまう。
けれど、仲間を殺した相手であっても見殺しにできないと由希奈が追いかければ、ムエッタは冷え切った由希奈を人肌で温めすらする。理由なんて分からなくても、通じ合うことはできる。それはやはりきっと、岳人がゼルと友誼を結んだことと同じなのです。
なお、副題のもう半分、「雪中花」……スイセンは、水辺に映る自分の姿を覗き込むように咲く花なのだそうです。由希奈が夢の中で父に直接語りかける前に「幼子の自分が父に語りかけるのを見る」のを見たり、 そしてその由希奈の胸でムエッタが泣くという話に、これほどふさわしい花も無いのではないでしょうか。
さて、エフィドルグの本隊の来襲が迫る中、剣之介達に手立ては残されているのか。次回も目が離せません。
関連:
クロムクロ 感想リスト
クロムクロ 第1話「鬼の降る空」
クロムクロ 第2話「黒き骸は目覚めた」
クロムクロ 第3話「城跡に時は還らず」
クロムクロ 第4話「異国の味に己が境遇を知る」
クロムクロ 第5話「学び舎に来た男」
クロムクロ 第6話「神通の川原に舞う」
クロムクロ 第7話「東雲に消ゆ」
クロムクロ 第8話「黒鷲の城」
クロムクロ 第9話「岩屋に鬼が嗤う」
クロムクロ 第10話「不遜な虜」
クロムクロ 第11話「闇に臥したる真」
クロムクロ 第12話「黒部の夏に地獄を見る」
クロムクロ 第13話「祭囃子に呼ばれて」
クロムクロ 第14話「祭に踊る羅刹」
クロムクロ 第15話「追分の果て」
クロムクロ 第16話「再会は水に流れて」
クロムクロ 第17話「雲中に鬼が舞う」
クロムクロ 第18話「湯煙に消える」
クロムクロ 第19話「鬼が誘う宴」
クロムクロ 第20話「飛んで火に入る虎の口」
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