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漫画感想「うしおととら」文庫版第10巻

うしおととら (10) (小学館文庫)



 藤田和日郎の「うしおととら」文庫版10巻を読了。この表紙、いいですねー。横向きのせいかとらの表情が少し鈍くて字伏っぽく、また髪の伸びたうしおと並んでいることで絵的にも関係的にも連続性がある。静かに凄みのある絵だと思います。
 今回収録されているのは第二十八章「檄召〜獣の槍破壊のこと」、第二十九章「麻子の運動会」、そして第三十章「愚か者は宴に集う」の前半。収録分の大半を占める「檄召〜獣の槍破壊のこと」は「特別」の眩しさ残酷さを描く物語ではないかなとは前回の感想で描いたことでしたが、今回読んでいて思ったのはうしお自身が「特別」を選ぶ回でもあるのだなということでした。

 斗和子によって法力僧達と偽エレザールの鎌が砕かれる様は、うしおが古代中国で見た神剣選びで造剣の匠達が殺されていった様によく似ており、故に斗和子はその時の白面の者と同じように女に化け尻尾で人々を殺す。そして、唯一本物のエレザールの鎌ーー神剣を持つキリオは、心を折られ動くことができません。彼は「作られた特別」であり、自分の意思で白面の者を倒すと決めたわけではないから。

 もっとも、作られたと言うのは実はうしおも同じことです。彼は須磨子の見た夢が元になって、ジエメイが獣の槍を使う者を用意しようとしたことで生まれる機会を得た少年なのですから。だからここで再びうしおが獣の槍を呼ぶことは、最初の時のようにやむを得ずといった状況ではなく、主体的に槍を選ぶという大きな意味を持ちます。ギリョウに覚悟を問われ、再度契りを交わす事は、彼が自分で自分を神剣と任じることに他なりません。手放す機会を得ても再度槍を呼ぶことで、獣の槍という特別を扱う、うしおという特別が生まれ直す。それがこの章だったのだなと思います。だからこの話、伝承候補者達もそれぞれの形でうしおに資格を問い直す内容になっているんだなあ……

 そして、製作者から掃除という使命を与えられたホムンクルスのメイ・ホーはそこから逃げ出すことはできないけれど、人間であるキリオは抜け出すことができる。キリオの今後はアニメではだいぶ省略されていたそうですし、今後の再登場を待ちたいと思います。

関連:
うしおととら 第1話「うしおとらとであうの縁」
うしおととら 第2話「石喰い」
うしおととら 第3話「絵に棲む鬼」
うしおととら 第4話「とら街へゆく」
うしおととら 第5話「符咒師 鏢」
うしおととら 第6話「あやかしの海」
うしおととら 第7話「伝承」
うしおととら 第8話「ヤツは空にいる」
うしおととら 第9話「風狂い」
うしおととら 第10話「童のいる家」
うしおととら 第11話「一撃の鏡」
うしおととら 第12話「遠野妖怪戦道行~其の壱~」
うしおととら 第13話「遠野妖怪戦道行~其の弐~」
うしおととら 第14話「婢妖追跡~伝承者」
うしおととら 第15話「追撃の交差~伝承者」
うしおととら 第16話「変貌」
うしおととら 第17話「カムイコタンへ」
うしおととら 第18話「復活~そしてついに」
うしおととら 第19話「時逆の妖」
うしおととら 第20話「妖、帰還す」
うしおととら 第21話「四人目のキリオ」
うしおととら 第22話「激召~獣の槍破壊のこと」
うしおととら 第23話「永劫の孤独」
うしおととら 第24話「愚か者は宴に集う」
うしおととら 第25話「H・A・M・M・R~ハマー機関~」
うしおととら 第26話(最終回)「TATARI BREAKER」
うしおととら 第27話「風が吹く」
うしおととら 第28話「もうこぼさない」
うしおととら 第29話「三日月の夜」
うしおととら 第30話「不帰の旅」
うしおととら 第31話「混沌の海へ」
うしおととら 第32話「母」
うしおととら 第33話「獣の槍破壊」
うしおととら 第34話「とら」
うしおととら 第35話「希望」
うしおととら 第36話「約束の夜へ」
うしおととら 第37話「最強の悪態」
うしおととら 第38話「最終局面」
うしおととら 第39話(最終回)「うしおととらの縁」

漫画感想「うしおととら」文庫版第1巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第2巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第3巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第4巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第5巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第6巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第7巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第8巻
漫画感想「うしおととら」文庫版第9巻


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