全ては瞬く間に/響け!ユーフォニアム2 1話感想
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2度とは訪れない時間。
響け!ユーフォニアム2 第1話「まなつのファンファーレ」
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

関西大会への出場を決めた北宇治高校。練習の日々が続く中、かつて部員だった傘木希美が戻りたいと願い出し……? 夏の時再び、第1話。
第2期の始まりとなる今回は、騒動の中心となりそうな2年生組を久美子と麗奈の「未来」として位置づけることで、彼女達に訪れる試練を予感させる構成が気を引く作り。1期では周縁に留まった2年生を舞台の中心に上げるに当って今回、鎧塚みぞれと傘木希美というキャラがピックアップされたわけですが、過去を交えた彼女達のやりとりは久美子と麗奈のそれに不思議と重なります。

麗奈「全国行こうね、必ず」


希美「高校に入ったら、金取ろうね」
みぞれ「ホント?さっき言ったこと」

麗奈「一緒に来ようね、来年も」
久美子「ホント?」
このやりとりが象徴的ですが、他にも自分の楽器を「好き」という麗奈と希美、人間関係に疎さのある麗奈とみぞれ、中学で目標を果たせなかった過去……といった具合に、個々の物語として分けられながらも、久美子と麗奈、希美とみぞれの組み合わせには近似した関係性がある。そして久美子と麗奈は恋人つなぎで花火を見るほど仲良しの絶頂にあり、対して希美とみぞれは希美のフルートにみぞれが吐き気を覚えるほどその関係は決裂してしまっている。そこにあるのは、久美子と麗奈にもいつか破綻が訪れるのかもしれないという未来の1つの可能性です。
久美子は一瞬一瞬が永遠でないことを自覚し、「今というこの瞬間を容器に詰め込んで冷凍保存できればいいのに」と心の中で語るけれど、凍らせたアイスやかき氷ですら溶け落ちてしまうし、それに3秒ルールは適用できなくて、もう2度と味わうことはできない。だが、ならばこぼれてしまったものはどうすればいいのか。希美とみぞれの関係の行き着く先は、久美子と麗奈のあり方にも大きな影響を及ぼすのではないかな……と思います。
2人組をピックアップしましたが、重ねて見ることができるのはもう少し大きな枠組みでも同様で。その1つが「4人」です。麗奈が一時的に電車通学になったことで、これまで「久美子+麗奈」「久美子+葉月+緑輝」と分断されていた関係は「4人」になったわけですが、2年生組も南中出身というキーワードが希美、みぞれ、優子、夏紀を繋いでいるからです。低音パートのカップル2人は公式の相関図を見るに別中学出身のようなので、ここにあるのもまた「4人」であり、それが揃わないことには久美子の言う「大好きな友達とももいつか離れ離れになって」という言葉を想起させるものがある。
そして、おそらくはこうした重なる関係に道筋を示すのが新登場のコーチ・橋本の言うところの「もう少しお互い、図々しくなった方がいい。気になったことはどんどん言い合うとかしてね」なのだと思いますが、更に踏み込めば、これは橋本の友人である滝先生にも当てはめられてくる部分なのではないかな……という気がします。ニコニコしながらえげつない事を言う滝先生。赴任と同時に半ば騙すような形で吹奏楽部の目標を全国出場にしてしまった滝先生。写真の謎の女性に柔らかな表情を見せる滝先生。指導者として大きな信頼を得ながらも、彼の存在はまだまだミステリアスで底知れない。そこに何があるのか明かされることは先述した橋本の言葉に通じ、ひいては滝先生と橋本の関係性に希美とみぞれとはまた別の「未来の可能性」もあるのかもしれません。
見ている者の心をグサグサと刺してくる本作、さてこの2期はどんな風に物語が繰り広げられるのか。次週も怖くて同時に楽しみです。
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響け!ユーフォニアム2 感想リスト
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