もう何も、分からない/響け!ユーフォニアム2 2話感想
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なぜ戻れないのか「もう分からない」希美と、なぜ残っているのか「もう分からない」みぞれ。
>拍手返信:雪光さん
本編と比較いただくとは恐縮ですが、ありがとうございます。1期は自分の見方の甘さを痛感させられた作品でもあるので、再挑戦的な意味でも気合を入れて視聴させてもらっています。なんでもないような台詞が本当になんでもないのか、それともなんでもなくないのか、というのは最近とみに気をつけていることなので、共感してもらえたならうれしい限り。怖いけど楽しみ、と身構えてしまう僕らの姿勢を、ガツンと撃ち抜いてくれる2期だといいなと思います。
響け!ユーフォニアム2 第2話「とまどいフルート」
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会



合宿前にプールへ出かけた久美子は、客の中に希美の姿を見つける。思わず声をかけた彼女が聞いた話とは……消せないあの時、第2話。プールに合宿と特別な場所、普段と違う衣服を利用して久美子に希美やみぞれの心に迫らせる作劇が鮮やか。
腹を割って話すには腹を出すにしかず……というのは半ば冗談として、今回、水着姿にはある種の階層性が見て取れるように思います。「1年生らしい1年」の久美子達は体型も子供っぽく、最上級生は香織とあすかが美女ぶりを見せつける。また間の2年の夏紀と優子はシャツを着てむしろ下半身で魅せる……と言う。ソロをもぎとった「1年生らしからぬ1年」の麗奈だけは、その枠から外れて肉感的。部長やチューバの梨子を省くことで(見たかった……後者は彼氏とイチャイチャしてるんだろうなあ)、プールでの吹奏楽部の面々には明白な線が引かれています。その隔たりは1年という時間の差の大きさであり、間隙に沈んだ希美が失ったものの大きさでもある。心を固める場である学校を離れ制服を脱ぐことで、久美子にその微妙なところへ触れさせる……というのは、距離感の跳躍としてとても上手い方法でした(もちろん、同じようなことは合宿所での夏紀、みぞれ、そしておそらく次回のあすかとのやりとりにも言える)。
また、結局のところ当人に聞いてみないと分からない……という意味で滝先生と新山先生の関係に対する麗奈の疑問、希美の復帰を許さないあすかへの久美子の疑問は重なるわけですが、今回も他にも重ねて見ることができる部分は多いように思います。
1つは、早い時間から来ていることを今週ピックアップされた滝先生と、早い時間に練習に来ていることを先週語られたみぞれ。先週は「麗奈より早く来ている」という部分に目が行きがちですが、考えてみればそれが成立するには滝先生がいつも早く来ていないといけないわけで。写真の中に誰か大切な人を抱えながらも「私には妻も子供もいませんからね。仕事くらいしかやることがないんですよ」と語る滝先生の姿は、親友だったのであろう希美を部員として失い、1人朝早くから練習を続けるみぞれの姿にどこか通じるものがあります。
もう1つは、希美とみぞれの2人にそれぞれ久美子が「仕方ない」と返していること。言い方は受動的だけど、そこにはコンクールメンバーに、全国大会への出場校に「選ばれる」ことへの意思がある。それは希美に言われた時に久美子が麗奈を思い出したように、他者を「ねじ伏せる」ということです。
少し話が飛躍しますが、あすかは希美の復帰を許可しない理由を「この部にプラスにならない」と語りました。麗奈は引っかき回されると関西大会に影響が出る……と推測しましたが、そういう風に「マイナスになる」とは言っていないのですよね。演奏できなくてもいい、手伝いができればと願う今の希美が復帰することは、おそらく部にとって毒にも薬にもならない。あすかが希美の復帰を許可する時は、それが「部にとってプラスになる時」だけ。ひょっとしたらあすかは、希美に手伝いよりも部にとってプラスになること――「演奏で戦力になること」をこそ望んでいるのかもしれません。それは復帰に文句を言うかもしれない誰かを、今コンクールメンバーとして練習に励んでいる誰かを、麗奈のように「ねじ伏せ」なければならないという、とてもとても難しいことではあるのですが。
艶やかな、あるいは死んだ魚のよーな軽やかな描写で痛みをくるみ込んだ第2話でした。さてさて、次回は一体。
関連:
響け!ユーフォニアム2 感想リスト
響け!ユーフォニアム 第1話「ようこそハイスクール」
響け!ユーフォニアム 第2話「よろしくユーフォニアム」
響け!ユーフォニアム 第3話「はじめてアンサンブル」
響け!ユーフォニアム 第4話「うたうよソルフェージュ」
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