それより前に/機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ30話感想
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ムスッとしているジュリエッタがかわいいんですが、感想中にねじ込む余裕がない。
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第30話「アーブラウ国防軍発足式典」
©創通・サンライズ・MBS




鉄華団地球支部も防衛に協力するアーブラウでは、防衛軍の設立記念式典が行われようとしていた。地球支部の代表であるチャドも式典に参加することになったのだが……暗雲、第30話。三日月達が不在の状況で、表裏双方で鉄華団の受ける痛撃を予感させる流れが怖い。
「目標へ到達するためには順序が必要だ。最短を選ぼうとすれば必ずしっぺ返しが来る」――蒔苗の言葉が鉄華団に当てはまることはこれまでのお話で、また今回の食事を温めもせず食べようとし火星ヤシとの混ぜ物を食べることになるオルガで示されているわけですが、この「順序と最短」の関係は同じものを随所に見出すことができます。
1つは「古参と新参」。アーブラウ、そして地球においては鉄華団は新参の存在であり、必ずしも歓迎ばかりされているわけではありません。土台としてはギャラルホルンに頼らない軍事組織自体が疎まれているし、年長のアーブラウの兵士は若輩の鉄華団に指示される事を快く思っていない(SPがチャドの名前を認識していないレベル)。「最短でやってきた」鉄華団は当然ながら一部で嫌悪を向けられる存在です。
1つは「遠くと近く」。チャドの不在によって地球支部は本部との連絡経路を裏切者のラディーチェに握られ、本部が応援を出すという遠方からの情報を手にすることができません。指示がなければ動くわけにはいかないという慎重な姿勢を保っていたタカキも、近くにいる「最短でやってきた」ラディーチェからの情報によって現場の判断で動くことを決めてしまう。
こんな具合で「最短」が様々な災厄を予感させるわけですが、一方で鉄華団が常に「最短」の存在なのかと言えば、けしてそうではありません。「古参と新参」で言えば、戦闘経験の薄いアーブラウの兵士こそが「新参」であって、軍事組織としては鉄華団の方が「古参」です。そんな彼らに防衛軍という地位が与えられることに鉄華団の面々は不満を感じているし、テイワズから通常の順序を踏まず新たに入団したラディーチェは団員ではないとすら思っている。既に存在して何かを成している以上、鉄華団も常に最短の新参ではいられないのです。
そして、オルガが不味い飯を食べるきっかけが三日月の思いやりであったように、こうした軋轢や悲劇は敵意だけで生まれるものではありません。
ジュリエッタがヴィダールを嫌うのはラスタルに誇りを感じているがゆえであり、その事は先週の行動の影響をズバズバ言う彼女が、ヴィダールに向ける妬みが自分に周囲から向けられているものと同じであることを見抜けなくしてしまう。
チャドは蒔苗が式典出席者に自分を指名し、名前を覚えてくれていた事に感激したからこそ、彼をかばって意識不明の重傷を負った。
そんなチャドを誇らしく思っているからこそ、鉄華団の団員達は血気にはやった行動を起こそうとした。
鉄華団に会場外の警備だけを任せたアーブラウの兵士だって、テロを望んでいたわけではない。
裏切ったラディーチェだって、最初は持論を主張する程度には鉄華団に愛想を持っていた。
タカキが現場で動くのを決めたのだって、自分が責任を持たなければならないという意識をチャドに育てられたからこそ、ラディーチェにそれを利用されてしまった。
そんな風だから、世界はままならない。
ただ、こうした中でアストンだけは特別な位置にいます。
「古参と新参」という意味では、鉄華団の初期メンバー彼は新参であり、一方でラディーチェよりは彼は古参です。
「遠くと近く」という意味では、連日食事に誘われるほどウノの家に「近い」けれど、血縁の家族よりは「遠く」、それ故に自分が訪れることでフウカにかかる負担を、フウカと最短の距離にいるタカキより認識している。
そんな彼は、チャドを傷つけられた仕返しがしたいという鉄華団(家族)の思い以上に、「タカキの味方」である事を大切にしている。彼と、そのために彼が「殺すか代わりに死ぬかくらいしかできない」と自嘲するのを必死で否定するタカキの姿には、何かの未来の可能性があるのかもしれません。できることなら、その芽が摘まれないことを願いたいものです。
さて、ガラン・モッサに仮託された悪魔の腕にがっちりと掴まれてしまったタカキ達は生き延びることができるのか。それを確かめるには、怖くとも次週を見るという順序を踏まなければなりません
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