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「劇場版マジェスティックプリンス-覚醒の遺伝子-」感想―再演と再生の物語―







 映画「劇場版マジェスティックプリンス-覚醒の遺伝子-」をTOHOシネマズ海老名で視聴。「最終回、やり直しました」そんな感じでしょうか。エントリ名に入れたように、この劇場版は「再演」と「再生」に重きを置いていたように思います。
 TV版の最終決戦ではアサギは皆にヒーローになろうと呼びかけましたが、結局果たすことはできずイズルが1人ヒーローを背負う形になりました。最終的にはイズルの生存が確認されハッピーエンドで終わったわけですが、この劇場版ではイズルは昏睡状態となっている事が明かされ、その幸せは半分ひっくり返ります。心臓は脈打っていても意識が定かではないその状態は、言わば半死半生。ゴディニオンの皆の励ましのメッセージやデコレーションがイズルへの温かい思いに満ち溢れているにも関わらず棺桶に見えてしまうのも、そういう意味では結構ブラックな表現だと言えます。いや、見ている分には単純に笑ったし、イズルの愛されぶりがとても嬉しかったのですけども。あのデコレーション、1%くらい僕ら保護者のお祈りが次元を突破して届いたものなんじゃないかな(願望)。
 つまり序盤のシチュエーションは、「生存」で終わったTV版の結末を「半死半生」に塗り替える「再演」だと言えます。というか、だからわざわざあの最終決戦をもう一度描いているのです。

 そうしてイズル不在の状態をもう一度迎え、最終決戦は再演されますが(ご丁寧にアサギはまた同じような事を言うし、舞台はまたもグランツェーレ都市学園だ)、状況はかつてと同じではありません。今度はアサギが撃墜され生死不明になる。生死不明――そう、これも「半死半生」ですね。この再演では、イズルとアサギの立場が入れ替わっているのです。だからイズルの復活も再出撃もディオルナ撃破の決定打にはならない。決定打にはかつてのイズルのようにヒーローになりたいと願う人間が必要であり、だからこそ「イズルのヒーローになりたい」と願うアサギこそはその役目を果たすことができる。イズルの出撃許可を再演した上で、更に地下でスギタとアサギのやりとりがそれを上書きしてしまうというのは本作の構造のねじれがよく出ていました。

 ホワイトゼロの不安定さはかつてのレッドファイブの危険な覚醒形態に相当するものであり、そのままではまともに動くことすらままなりません。だから最終決戦の時のイズルのようにアサギには「総ツッコミ」が入る。これもまた「再演」です。ただしその時と異なり、アサギは1人でホワイトゼロを完全に乗りこなすのではなく、ケイのサポートを得て初めて操ることができる。ディオルナへのトドメもローズスリーの巨大光弾とゴールドフォーによる射撃管制、ブラックシックスによる最後の足止めがなければけして成せなかった。この再演された舞台で、かつて失敗した「俺たちみんながヒーローになろう」というアサギの言葉は再生を果たしたわけです。


 そして、物語に込められた「再演」と「再生」はけして縦糸だけじゃありません。

・スターローズの代役として登場するスターローズ2
・またも序盤しかまともに出番の無い潰シュー
・パトリックそっくりの姉、パトリシアを迎えて再編成されるチーム・ドーベルマン(あらためチーム・フォックス)
・そこでアンジュの時のように繰り返される性別への疑惑(と更にそこで繰り返される思春期思考とケイのツッコミ)
・言えなかったパトリックへのお礼をパトリシアに告げるタマキ
・再び戦術重レーザーで先行するチャンドラ達
・懲りずに死亡フラグを立てるチャンドラとパトリシア
・まともなケーキを作れるようになったかと思いきや、結局激甘ケーキに逆戻りしてしまうケイ
・再びイズル覚醒のきっかけになるケイキ
・字幕的には既に分かっているディオルナの台詞を喋ろうとした結果、周知プレーに陥るテオリーア

 これら全てが「再演」であり「再生」。それらのどれもが優しく登場人物を包んでいるのは、本作の持つ独特の温かみなのだと思います。お兄ちゃんのアサギが乗るのが全てのアッシュのお兄ちゃんであるホワイトゼロであるという燃えシチュ、チーム・フォーンの機体やアッシュ4機の覚醒形態など本当にキレキレのCGアクションに加えて、本作固有の温度が劇場版でも維持されていたのはとても嬉しかった。
 昨日公開開始なのでブルーレイの劇場販売は当然終わってましたが、通常販売を楽しみに待ちたいと思います。スタッフの皆様、お疲れ様でした!

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銀河機攻隊マジェスティックプリンス25話感想


ブルーレイ 銀河機攻隊 マジェスティックプリンス 第1巻
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4 Comments

MITSUKI  

劇場版、見てきましたがTV版の後日談って感じでしたねー。

アサギがやられた時は本当に死んだかと思ってしまいましたよ…。
チームラビッツはいつものラビッツで良かったw

・スターローズ2が出てきたこと(あとコミネのおっさん久しぶりw)
・パトリックに双子の姉がいたこと(胸揉み揉みて、百合かw)
には驚いたかな。

メカでは、レッド5以外の機体もバーストモードになったのが印象的。
ぐるぐる動く戦闘シーンは本当に凄かったですね。

反対にチームフォーンの面々は影が薄く、活躍もほぼ無かったのが残念。
制作側は「まだまだ続きを作りたい」って意気込みだそうですし
ファフナーみたいにまた続きのTVシリーズがあることを待ってます。

2016/11/07 (Mon) 18:47 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>MITSUKIさん

まあ僕としては後日談をこそ見たかったし、それにこれだけの展開を詰め込んでくれたことに感謝です。

アサギの撃墜周りは強烈でしたねー。予告にはないゴールドフォーの覚醒で「お前からかよ!」と驚き、続くブルーワンの覚醒で「ここで覚醒するのかよ!早くねーか!?」と驚き、そのアクションに「なんじゃこりゃあぁぁ!?」と驚き、直後の撃墜に「……は?」という感じでした。いきなりジェットコースターから振り落とされたみたいな感覚と言うか。生きてて良かった。
パープルツーの覚醒もこう使うかと唸らされましたし、いやホント眼福でした。

上映時間から割かれる時間はあまり無いだろうと思ってましたので、チーム・フォーンは生きててくれただけでとりあえずホッとしてます。ディオルナ機にセイが捕捉された時は思わず身を固くしてしまいました。

続編、ぜひ作ってほしいですね。イズル達の今後をもっと見たいです。

2016/11/07 (Mon) 19:41 | EDIT | REPLY |   

tara  

最終回の再演、成程…
TV最終回でイズル一人がヒーローしてた分をチーム・ラビッツ全体で取り戻した、というのは確かに観終わって感じたところです(^^)
ボーナストラック的な要素も集大成的な要素も両方あって、とにかく見どころたっぷりの映画でした♪

コメントへの横レスになってしまいますが、↑の「予告にはないゴールドフォーの覚醒で」から「振り落とされたみたいな感覚」まで、完全に同感でした(^^)
覚醒アッシュの痛快な無双っぷりに浸っていたら、急転直下の展開に呆然として…
目も心もスクリーンに釘付けでした!

パープルツーの覚醒のタイミングと活かし方もホント絶妙でしたね。
切り札かと思われた新機体=ホワイトゼロの扱いにくさにも意表を突かれましたが、その窮状を引っくり返す真打ち的な活躍を日頃地味な支援に徹してきたパープルツーが担う…という展開に、テンション上がりました(^^)

2016/11/18 (Fri) 23:47 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>taraさん

>TV最終回でイズル一人がヒーローしてた分をチーム・ラビッツ全体で取り戻した、というのは確かに観終わって感じたところです(^^)
 あえてTV版と同じ要素を繰り返すことで、その違いに意味を持たせる……というのは面白い作りだったと思います。再編集版的な構造を新規でやってしまうこのパワフルさよ。

>コメントへの横レスになってしまいますが、↑の「予告にはないゴールドフォーの覚醒で」から「振り落とされたみたいな感覚」まで、完全に同感でした(^^)
 劇中もっとも観客がスタッフの手のひらの上で踊らされた場面ではないでしょうかw 共感してもらえてうれしいです。

>パープルツーの覚醒のタイミングと活かし方もホント絶妙でしたね。
 パープルツーが覚醒しても地味だよな、なんてTV版の時に思っていたので平謝りしなければなりませんw プロトタイプや扱いにくさといったお約束を逆手に取り、更にパープルツーの活躍に繋げているのは今回のバトルでも特に巧みなところだと思います。

 ああ、劇場で円盤残ってれば良かったのになあ(;´∀`)

2016/11/19 (Sat) 14:18 | EDIT | REPLY |   

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