漫画感想「エバーグリーン」 

エバーグリーン (4) (電撃コミックス)

 竹宮ゆゆこ原作、カスカベアキラ作画による漫画「エバーグリーン」を読了。2巻までは読んでいたのですがすっかり間を空けてしまい……結局今回は1~4巻を全て通しで読む形になりました。でもこれはその方が良かったな……当初の掲載誌、隔月刊の電撃大王ジェネシスでやっていたら終盤は読者が胃が痛くてたまらなかったんじゃなかろうか。いや、月刊でもこれにリアルタイムで向き合うのは正直しんどい。とはいえ、これでも軽減されているのだろうなと思います。
 穂高に仁希が惹かれる理由は、「父を二度失くした」という経験を共に抱えているから……という稀有なものです。それによって人並みに臆病な2人の恋がスピーディでドラマチックなステップ・アップを迎える一方で、どこか読者は共感しきることができない。しかしできないからこそ、2人が兄妹だったという種明かしに耐えることができる。これが例えば倍の巻数を使ってじっくりと、共感しきれる形で2人の恋の(呪われた)成就を描いていたら、そのダメージは計り知れないものだったはずです。もう1組の「普通の」カップルである温と蘇我のやりとりやそれぞれのキャラ立ちといった要素で、読者と近過ぎず遠過ぎずの距離感を保つコントロールはすごいなあ……

 そして、帯で原作者が触れているように、本作では4人が様々な形で――「手や目や背中、時には描線で」泣いています。そう、本当に様々なもので。最終話で降った豪雨こそは仁希の心に降る大粒の雨であり、それは降り続ければきっと彼女の命を奪っていた慟哭。だからこそ、穂高はそこから彼女を救ってあげなければいけないのです。「父を二度失くした」という経験を共に抱えているからこそ。兄妹だからこそ。

 原作者が小説家ということもあってかモノローグの使い方が上手く、最初から最後まで無駄なく統制された原作を、作画担当が見事に演出しているのが感じられる作品でした。うん、読んで良かったな。

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Posted on 2016/12/07 Wed. 00:00 [edit]

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