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漫画感想「事件記者トトコ!」4巻(完)

事件記者トトコ! 4巻 (ビームコミックス)
 丸山薫の「事件記者トトコ!」4巻を読了。大正日本っぽい世界を舞台にした事件記者ドタバタコメディーはこちらで最終巻。
 あくまで大正日本「っぽい」世界なのでそのズレが生み出せる予想外と、兎々子を始めとするとぼけた登場人物達の予想外が楽しい本作、今回収録されている中で1番好きなのは「トトコの休日の事  並に苦悩せる覆面作家の事」でしょうか。スランプの女性作家をトトコが連れ回すという「ローマの休日」が元ネタのお話なのですが、この女性作家が素晴らしい。

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 27歳の合法ロリ眼鏡っ娘である。
 まあそれは半ば冗談として。彼女はマネージャーに「純愛ものなんてどうです」と勧められても「純愛なんてしたことない」と返し、更に「人殺しや世界を旅したり旧習の残る旧家に生まれたことがあるわけでもないでしょう」と言われると「自分の書くものなんて全て虚構で、こんな自分が何を書いても」……とドツボにハマっているのですが、その経歴を見ていくと彼女は「現実」と「虚構」の間で悩んでいるのだということが分かります。

・小説家という架空の物語を書く人間である。
・覆面作家のため社会に自分の実像を出していない
・それというのも女性名のペンネームのデビュー作はさっぱり反響がなく、男性名のペンネームに変えた後で売れっ子になったから
・ペンネームの変更にあたって作風も大きく変えてしまった

 売れっ子にはなったけれどそれは自分を「虚構」の中に落とし込んだ結果であり、ゆえに彼女は自分が書きたいものやどうして書いているのかという「現実」が分からなくなってしまっているわけです。未成年のような容姿をしていて27歳、しかもヘビースモーカーという外面的な属性も、こうして見れば巧みに現実と虚構が入り混じっている。
 そんな女性作家に接する兎々子は、さっぱり反響の無かったデビュー作の大ファンであり、その作品の舞台となったあちこちに彼女を連れ回します。さっぱり無かった反響――虚構の反響は兎々子の存在によって現実と化し、また兎々子の良く言えば天衣無縫、悪く言えば傍若無人の連れ回しっぷりは女性作家を虚構じみた現実の時間に引きずり込む。遊び回った果てに女性作家は自分のデビュー作の台詞を口にし、兎々子もまたそれに続く台詞を作家に返す。現実と虚構の間で悩んでいた女性作家は、現実と虚構の間というマジックアワーによって自己を取り戻すのです。夢現定かならぬありようの上手さは短編集「ストレニュアス・ライフ」で存分に発揮されていたところですが、それをあくまで現実の中に溶かし込んでいるこの章はとても素晴らしい。そして一方、大正日本「っぽい」本作の舞台はまさしく現実と虚構の間でもある。

 あちこちネジが外れていながらも愛嬌たっぷりのキャラ達が織りなす不思議なドタバタコメディー、これで終わってしまったのは残念ですがとても楽しいものでした。いずれまた新作が読める日を楽しみに待ちたいと思います。

関連;
漫画感想(「事件記者トトコ!」1巻、「かぶき伊佐」2巻)
漫画感想(「事件記者トトコ!」2巻)
漫画感想(「事件記者トトコ!」3巻)


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4 Comments

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「旦那様、タブレットの中にトトコ全4巻がいつの間にか入っているのですが…」
「おのれ、ディケイd…もとい、薙澤兎々子!」
そういやディケイドもあんなカメラ持ってたなぁ…。
二眼ってだけで別物だけど。
goo.gl/7bV8L5

ああいうガジェットの中にひみつのギミック満載とか男の子の心をくすぐります…って、あんた360°どこから見てもおっさんやんけ。

試しに1巻、と買ってみたらそのままずるずると4巻までやってしまいました。
若気の至り…って、あんた360°どこから見てもおっさんやんけ。(3行ぶり2回目)
マンガとか大量に買ってるのにまだまだ知らない作品は多いなぁ。

アラレちゃんを人間にして、オバQの性格を入れるとトトコになる感じですかね。
食い物を目の前にして目を輝かせているのがかわいい。

すっきりとしたラインに、見てる分には楽しいけどそばにいたら迷惑極まりない、でも憎めないキャラ達、扉を開ければ大抵何か潜んでいる変な街、もっと読んでみたかったけどこれで終わりというのも残念ですね。

2017/01/15 (Sun) 02:01 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>そういやディケイドもあんなカメラ持ってたなぁ…。
 二眼カメラってレトロな感じ出すのに向いてますね。見てないがディケイドもそのあたりの理由かしらん。

>ああいうガジェットの中にひみつのギミック満載とか男の子の心をくすぐります…って、あんた360°どこから見てもおっさんやんけ。
 逆に考えましょう、むしろこういうのは多くの男性が一生くすぐられる類のものなんですよ(薄い髪を触りながら)

>試しに1巻、と買ってみたらそのままずるずると4巻までやってしまいました。
 おお! この作品の宣伝になれたのなら幸いです。漫画の1作や2作は勢いで買ってなんのそのでしょう、ピンときた作品は読んでおかねば。積み本はともかくとして。

>アラレちゃんを人間にして、オバQの性格を入れるとトトコになる感じですかね。
>食い物を目の前にして目を輝かせているのがかわいい。
 オバQはだいぶ記憶が飛んでいるのですがなんとなく分かるw 食べさせたくなる顔と反応してますよねー、トトコ。量はともかくw 良い意味で当初より低年齢化が進んだキャラでした。

>すっきりとしたラインに、見てる分には楽しいけどそばにいたら迷惑極まりない、でも憎めないキャラ達、扉を開ければ大抵何か潜んでいる変な街、もっと読んでみたかったけどこれで終わりというのも残念ですね。
 ホントに(´・ω・`) 平和そのものなんだけどわけの分からないモノが潜み、ドタバタだらけなのにそれらを収納してしまえる世界観。とても好きだったんですけどねー。またどこかで連載してくれるのを待ちましょう。

2017/01/15 (Sun) 08:04 | EDIT | REPLY |   

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「どんなに面白くても、知られてない、というだけで連載が終わってしまう作品もあるのだな、と。」
http://www.takehana.tv/cccc/index.php?itemid=10522
ホントこれ。

ちょうどこれ見て同じような境遇の作品、作家は多いと思ったんですがね
https://togetter.com/li/1069084
とりあえず料理する時は裸エプ

「旦那様、悟りパパは買っておきました。」

2017/01/15 (Sun) 14:06 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>ロゴさん

>「どんなに面白くても、知られてない、というだけで連載が終わってしまう作品もあるのだな、と。」
 基本単行本ユーザーなので書店で表紙買いすることはままありますが、置いてないとそもそも気付けませんからねー……2週に1度くらいは近場のアニメトより大きめの書店に行くことにしてますが、それでも拾えてない作品多いんだろうなあ。

2017/01/15 (Sun) 20:31 | EDIT | REPLY |   

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