近づいたなと思ったら/セイレン4話感想
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あれ? ヒロインズに年下がいない?と思ってたら上崎妹が1年だったことに驚き。
>拍手返信:雪光さん
>>この耀編の各話それぞれが一つの要素に基づいて構成されていて、全体として見たときに一本芯が通るものになっているのだなぁと痛感させられます。
短い時間の中でテーマが巧妙に配置されてるのだな、と4話まで見て改めて感じました。講師への嘘やジャージ跡など使う伏線やアイテムの奇抜さも目を引きますが、けして馬鹿馬鹿しいだけのものではない。もちろん思わずクスクス笑っちゃいますがw アニメという形で高山箕犀の作品を最初に見られることをとても嬉しく思います。
セイレン 第4話「ホシゾラ」
©高山箕犀/セイレン製作委員会




夏休みが終わり、学校でもそっけない態度を続ける耀にモヤモヤする正一。そんな折、耀から校舎裏へ呼び出しを受けるのだが……? 思い出の後先、第4話。一区切りとなる今回は、夏の終わりと物語の終わりを重ねる予想だにしなかった展開。
「俺が彼女に近づいた何倍も、彼女は遠くに行ってしまったんだ」……高校時代の描写の最後に正一が思った言葉ですが、それは別に彼と耀の関係に限ったことではありません。耀を合宿送りにした由貴恵は実際に恋人になるほど荒木に近づいたはずだったけれど、動物好きという荒木の性癖は彼女の理解を超えており破局(遠く)に至ってしまう。密告されたことを笑顔で受け入れたり、恋は勢いが大事と語りながらいざとなったら現実的な事を言う「女」は分からないと正一は嘆いたけれど、お母さん役はうさぎしかいないと真顔で言う「男」も由貴恵には分からない。近づいたと思ったらすぐ離れてしまう。異性に対する理解って多分、そういうものです。
加えて、近づいたと思ったらすぐ離れてしまうのは人に限ったものではありません。夏の楽しみとして合宿の対極にあったもの、正一と耀がわずかの間だけ心を露わにした場所――そう、海の波もまた、近づいたと思ったらすぐ離れていってしまう。寄せては返すその流れが場面場面に応じているのは、単なる恋の定番シチュエーションという以上に2人の心の動きと画面の動きが連動していました。
正一と耀の距離が近づいたのが合宿という日常から離れた空間だけの出来事であったように、2人のキスは夏の象徴たる海に味付けされたしょっぱいもの。返す波に流され遠くへ行ってしまうもの。少しだけ耀を引き留めようとする正一が握ったズボンからこぼれる海水には、彼の涙以上に「夏の名残」がこぼれ落ちていく不思議な切なさがにじんでいたように思います。山奥の合宿という海とは真逆の場所を舞台に進行した2人の恋は、たとえ本物の海へ行っても日の光を浴びることはない。この耀編はまさしく「海の中の恋」だったのでしょう。あるいはこの結末自体がひと夏の恋ならぬひと夏のからかいでもあったのかな。
ただ、何倍も遠くに行ってしまったとしても近づいたことは嘘じゃない。(画面上の)最後のキスは海の中じゃない。計算を張り巡らせながらも最後は勢いで押した由貴恵がすぐに破局し、それにはめられた先で勢いのように恋をしながらも計算で自分の道を選択した耀が正一と再会するという終わりは、なんとも対極的でした。スペイン行ってる間に彼氏ができてるだろ!という勘ぐりもあるでしょうが、それは冒頭の「久しぶりに会った友達と話せたと上機嫌で、恋について語る郁夫」で否定されていたように思います。
初見時は拍子抜けしたのも正直なところではありますが、本作が手強い作品であることを感じた耀編ラストでした。さて、次回からは宮前透編のスタート。さりげに今回のヒロイン3人の中ではもっとも第一印象が強かった娘でして。耀編とはどのように違った話が繰り広げられるのか、非常に楽しみです。
関連:
セイレン 感想リスト
セイレン 第1話「ケツダン」
セイレン 第2話「ヤマオク」
セイレン 第3話「オトコユ」

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