漫画感想「艦隊これくしょん -艦これ- ケッコンカッコカリアンソロジー」 

艦隊これくしょん -艦これ- ケッコンカッコカリアンソロジー (電撃コミックスNEXT)
 「艦隊これくしょん -艦これ- ケッコンカッコカリアンソロジー」を読了。お気に入りの艦娘と特別な絆を結べる「ケッコンカッコカリ」システムにスポットを当てた、数ある艦これアンソロの中でも特別企画色の強い代物ですね。このシステム、呼称が「ケッコン」ではなく「ケッコンカッコカリ」、そして実行には対象の艦娘の練度を99に上げる必要がある……というのは絶妙なさじ加減であると思います。経験値が課金などでは補えない以上、練度をそこまで上げるには長い時間を共に過ごす必要があり、提督は確かな愛着を持って艦娘を選ぶことができる。必然その艦娘はプレイヤー(提督)の鎮守府のエースであるし、練度を99以上に上げられるレベルキャップ開放を兼ねているので実用上の理由(あるいは言い訳)も立つ。そしてそれらが合わさった上で「カッコカリ」である以上、本気の「嫁艦」として行うもあくまで信頼の延長上として行うも自由……という。このあたりの振れ幅はテーマの限定された本アンソロがけして画一的にならない重要な鍵として機能しており、各編が終わるまでの過程を対象の艦娘の個性と合わせて彩ってくれています。と言ってもまあ、やはりイチャラブが中心ではあるのですが。そりゃ基本的には甘いものが食べたくてこのアンソロ読むわけですしね!

 先頭を飾るのは井戸雲くすの「はじめてのケッコン」。外見的に秘書艦がぴったり(武闘派イメージはひとまず忘れろ)の霧島が主役の一遍は、そうしたイメージが自身でも先行するが故にケッコンカッコカリの意味に気付かなかった彼女が心悩ませ、動揺する様子がなんともかわいらしい。霧島が多分に天然でもあるため、ギャップで読者をドキドキさせてくれる先陣にふさわしい内容となっています。

 続いて鮎村幸樹の「プロポーズカッコカリ」でヒロインを務めるのは青葉。こちらも秘書艦なので公の部分での接触が最初から大きいタイプですが、青葉らしく「取材記者」としての一面を付加することで霧島とは違ったアプローチになっています。インタビューしながら胸に棘が刺さる青葉から、それに答える態でのプロポーズとかニマニマせざるをえない。

 僕の嫁艦でもある時雨ちゃんをヒロインに迎えるのはnaotoの「新婚旅行カッコカリ」。こちらもケッコンカッコカリを練度向上の意味で時雨が受け取っていて……というものですが、霧島の時と異なり提督目線を主体にしたことで、いつも落ち着いている時雨の秘めたる思いが明かされる瞬間にとてもホッとさせられる1編に仕上がっています。これまでの話が大型艦が感情をあふれさせるお話なのもあって、あふれるのではなく素直に表出させる小型艦の時雨の様子がギャップある魅力にもなっている。

 ケッコンカッコカリ指輪を渡すまでを主体にしているのはひらく椥の「お前だけのもの」。勇ましい一方でこうした方面には鈍感な天龍が指輪を受け取るまでの過程を、姉妹艦である龍田と口の悪い提督との絡みで生き生きと描いているのが短くとも説得力あります。「暁の水平線に~」を締めに使っているのも地味にポイント高い。

 最後に収録されているのはdecoの「戦艦榛名は恋をした」。提督でも榛名でもなく1人の少年を主人公としたこの物語は他にない色彩を持っており、幼い恋が失われる痛みと共にその恋の相手の幸せを祝福させもする、ある種の文学的な終わりがとても美しい。久しぶりに会った榛名にこれまで見たことのない顔をさせる――「なるほど彼女は変わったのだ」と納得させる過程は、全ての提督がケッコンカッコカリをするまでのプレイの間にこそある。

 他にも「戦艦大和」への憧れとそこからの思いを描いた花野リサの「花嫁大和、出撃します!」、クールな加賀さんの心を解く長神の「指輪がなくても」、ケッコンらしくあろうと夕立が奮闘する榎木りかの「慣れない距離」、女性提督と初風という組み合わせに妙味(*百合ではない)のあるLaruhaの「白手袋の中には…」、羽黒らしく緩急のある告白にニヤニヤさせられる成瀬ちさとの「ケッコンカッコヨ」。他にも艦娘とのケッコンカッコカリイラストや、執筆陣が嫁艦への思いを語るコラムなど愛情たっぷりの内容となっています。全体に提督の個性も逸脱しない範囲で強調されており、提督と艦娘の数だけケッコンカッコカリがあることを強く感じさせてくれる1冊でした。

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Posted on 2017/02/01 Wed. 00:00 [edit]

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