もう忘れたな/小林さんちのメイドラゴン5話感想
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スーツ姿の小林さんに艦これの若葉を連想する。いやあっちは眼鏡かけてないけど。
>拍手返信:雪光さん
>>同質と差異。それぞれの善し悪し両面から切り込むところが素敵ですね~。
同質と差異という部分に目が向いたのが2回目、両面なんだなと感じたのが3回目の視聴でして。見る度に描写のパーツがしっくりハマっていく感じがして本作はとても見応えがあります。笑える描写と情感あふれる描写がシームレスに繋がっているので気持ちが途切れることもありませんし、散りばめられた要素に割と平等に目を向けやすい作品でもあるのかなと。作品がいいから感想も気持ちよく書ける!と強く感じています。
小林さんちのメイドラゴン 第5話「トールの社会勉強!(本人は出来てるつもりです) 」
©クール教信者・双葉社/ドラゴン生活向上委員会



小林さんちでのメイド仕事もいたについてきたトール。家事を片付けた彼女は、小林さんの仕事ぶりをこっそり覗きに行くのだが……? 互いの形、第5話。前回は「同質化」や「同一視」が多くの描写から見出すことができましたが、今回はそれが更に進んで戻ることのない物に至っている一方、けして「同一化」することはないのだと感じさせる内容だったように思います。
トール達が小林さんちに来て約2ヶ月。その生活はすっかりなじんだものになりました。古典的プロポーズの対象物である味噌汁に小林さんは舌鼓を打ち、カンナは子供らしく箸使いが未熟でウィンナーを落とす。メンズなスーツに身を包んだ小林さんとランドセルを背負ったカンナ、その出発に気をつけてと声をかけるトールの様子はまるで親子のよう。桜の春から少し進んだ季節にたなびく鯉のぼりは家族としての「同質化」を自然と感じさせてくれます。
2ヶ月立つ前の彼ら。トール達に会う前の小林さん、この世界に来る前のトール。復元される部屋やスプーンのように、それは戻ろうとすることができないものではないのかもしれませんが、小林さんはそんな自分は忘れたと言うし、トールは元の世界に戻る気はないと言う。足の生えたおたまじゃくしが元に戻ることは無いように、彼女達の変化は不可逆のものです。しかし、それだけ互いが互いにとって不可分となっても、彼らが等しい存在に一体化することはありません。やろうと思ってもできません。
今回人間界への居住を決めたファフニールに対してトールは「小林さんの引っ越しを見ましたので」手順は大丈夫だと――すなわち小林さんと等しいやり方で彼の住まいを見つけてあげようとしたわけですが、その目論見は成功しません。色々公文書を偽造したりもしていますが、最後の手順の認識が不動「さん」であるようにそれらは結局偽物だからです。同様に超能力(手品)を自分もやろうとしても、その修業はどこか人間のそれとズレていて同じ効果を発揮し得ない。まあそもそも超能力は(手品)が魔法の類の偽物だし、本に書いてある修行自体が偽物でもあるのですけど。小林さんに諭された時のトールの様子からは、彼女が人間に対して理解したいという以上の思い――人間になりたいという気持ちもあるように感じましたが、どれだけ願ってもそれは叶わない。
ですが、小林さんが言ったようにトールにはトールにしか、そして個々人には個々人にしかできないことがあります。パワハラ上司への対抗にしたって、認識阻害を活用したトールの嫌がらせは事態の直接解決には無力な一方で周囲の溜飲を下げてくれるし、小林さんの告発はそんな効果はない代わりにクビという直接的な効果を発揮する。ファフニールの人間界での住処に滝谷の家を紹介するというのも、「気の合う人間がいないと」という観点やトールの立場だからこそ頼めることでもある。さすがに小林さんの立場でファフニールを養ってくれと言うのは頼みづらい…… そんなトールが「自分にしかできないこと」として手品に魔法を使ってしまうのはコミカルな「同質化」だったのではないかなと思います。
あと、酢豚の中でもどちらかと言うと嫌われ者のパイナップルだからこそ、他の生徒ににらまれることなくカンナからリコへのオマケ(プレゼント)になれる……というのも先週同様にオチとしてアクセントが効いていました。リコちゃんいったい何回全国にアヘ顔をさらしてくれるのか。
それぞれが自分だけにできることをするなら、それらが絡み合った時にはなにか素敵なものが生まれる。超常の力たる認識阻害で小林さんを見守るトールと、そんな彼女になんとなく感づく、言ってみれば超常に迫ってしまう小林さんになんだかこそばゆいくらいの心地になった回でした。
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