どうしてあなたは/うらら迷路帖6話感想
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おいなりさん食べたくなってきた。
>拍手返信:雪光さん
>>時間の揺らぎに着目して後半の紺ちゃんパートに繋げてみると本当にすっきりと一本の筋が通りますなぁ。感覚的な千矢と論理的な紺。両者の性質を反映した各パートの対照性が本当に効果的な回であったのだと感想を読んで思えました。
対照的な千矢と紺が友達でありライバル、という関係性の共存はストーリーの連続性が強い本作ならではですね。それでいてほんわかかわいらしい雰囲気もきちんと維持されているんだからよくできている。毎週とても感想の書き甲斐があるので、喜んでもらえて嬉しいです。ツイートへの反応もありがとうございました。
うらら迷路帖 第6話「恋と追跡、時々よーしよしよし」
©はりかも・芳文社/うらら迷路帖製作委員会



いつも世話になっているニナに運命の相手を見つけられないかと占いを試みる小梅達。果たして振り子の示す先は……? 5話は心と関係の多面性を描いたお話でしたが、6話は逆に多様な条件から唯一性を導き出すお話。
今回は小梅が「ああ、千矢。どうしてあなたは千矢なの」と「ロミオとジュリエット」の台詞を千矢に投げかけ、作品を知らない紺が「何それ、哲学書?」と問いかけるところから始まります。恋慕の表現として定型的に引用されるこの台詞ですが、そのイメージのフィルターを取っ払ってみると確かに哲学的ですよね。千矢が悩んでしまったように、「人は何をもってその人足り得るのか」という根源的な問いかけがここには含まれている。
そしてその台詞を投げかけられる「理想の王子様」「運命の人」はそのままでは抽象的ですが、ニナの運命の人が「なぜその人はニナの運命の人なのか」というロミジュリ的な問いかけには今回はっきり答えが出ています。「私の大切なものを大事にしてくれる人かしら」「家族やうららの仕事、そして、かわいい私の生徒たちのことをね」……逆に言えばこれ以外の条件は無く、性別を含めた他のあらゆる要素は揺らぐことができるわけです。佐久がニナの運命の人であるのは物語的に予想可能なことですが、彼女が変装によって自らの性別を一時的にあいまいにした上で条件をもっとも満たす人間であるというのが見出される……というのは納得の経過でした。劇中で「運命の人」の定義自体が「特別仲良し」レベルまで揺らいでいるので、ガチ百合なお話に解釈しなくても構わないのも程よい塩梅ではある。
また「人は何をもってその人足り得るのか」というのはBパートでも描かれているところで、これはコックリさんが憑依し紺が紺の姿をした別の存在になってしまうことでなされます。「姿形は同じだし、中身が違ってもそんなに変わらなかろう?」と紺を乗っ取ったコックリさんは言うわけですが、千矢はそれをきっぱり否定します。「紺はもっと真面目で、賢くて、恥ずかしがり屋だけど頑張りやのいい娘だもん!」……千矢に「紺はどうして紺なの?」と問いかけたら、きっと返ってくるであろう言葉に相当するものがこれなわけですね。もちろん「紺は私達の大事な友だちだもん」もそう。この6話ではABパートの両方で、最初の問いかけに対する回答がされているのです。
千矢は変装した佐久の正体や小梅と(それに憑依した)コックリさんの区別を匂いでつけるわけですが、その匂いとは詰まるところこれまで述べた「人は何をもってその人足り得るのか」という個々人の本質であり、今回はそれを描くために様々な皮を取っ払うお話であったようにも思います。大人の恋愛という言葉の皮を取っ払うと子作りになる。ニナから先生の皮を取っ払うと乙女になる。コックリさんから霊体という皮を取っ払う(肉体を持たせる)と顎撫でに弱い狐になる。 お帰り願う祝詞から仰々しさを取っ払うと土下座になる。お腹や胸や背中や白無垢で心の内をさらけ出してきた本作ですが、今週は外面性をまるごと取っ払うことでそれに連ねてきたのは驚かされました。相変わらず出来の安定した作品です。
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うらら迷路帖 感想リスト
うらら迷路帖 第1話「少女と占い、時々おなか」
うらら迷路帖 第2話「探し物と夢、時々甘味」
うらら迷路帖 第3話「仲間と友達、時々ライバル」
うらら迷路帖 第4話「良いこと悪いこと、時々くすぐったい」
うらら迷路帖 第5話「花嫁と神様、時々はっくしゅん」

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