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理解できるだろう/機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ43話感想


 てんとう虫は幸運のシンボル。けれど、それを描いた銀紙は飛んでいってしまう。



機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第43話「たどりついた真意」
©創通・サンライズ・MBS
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 ついにクーデターを起こしたマクギリス。敵対勢力が自軍を上回る中、彼が狙うものとは……仮面の下に、第43話。前回は鉄華団の拒絶性に諦観を感じさせるお話でしたが、今回は拒絶ではなく理解を描きながらも、それでいて断絶に至るという絶望的な話。

 この43話はマクギリスの真意(の一部)を視聴者が理解する話であり、その進行も理解によってなされています。マクギリスが何を切り札とするのかというガエリオ父(ガルス)の理解、倍の戦力を持つアリアンロッド艦隊と正面から戦うのではないという理解、マクギリスがバエルに乗ってガエリオと戦う必要がないという言葉の意味(三日月の来襲)の理解、ヴィダールに組み込まれた特殊なシステムへのジュリエッタの理解、バエルを目覚めさせる意味の理解……誰かがが何かを理解する時、物語が動く。
 一方で「憧れは理解から最も遠い感情だよ」とは某ジャンプ漫画をまともに読んでいなくても聞いたことのあるような名言ですが、それも今回の話で描かれているところです。ライザ・エンザはドルトムントでの鉄華団の活躍に憧れており、ゆえに彼らを理解していない。オルガに憧れていたユージンは、結局オルガが芯から頼りにしているのは三日月だけだという事にこれまで気付いていなかった(「バルバトスとミカでどうにもできねえなら、それこそどうしようもねえさ」)。マクギリスに憧れたガエリオは彼を理解したつもりでそうではなく、彼に殺されることになった。

 鉄華団はこれまで物語が進むほどに他者を拒絶してきましたが、それは他者を理解するのを止めるということです。理解がなければ分かり合えず、他者と手を取り合うことはできない。いずれは武器を取って争うことになる。一度殺されながらもガエリオがマクギリスを「理解」しようとした姿には、傷を負い仮面を被っても変わらない彼の善性が感じられて好ましく思いました。本当、いい奴だよなあ彼……そして彼は、視聴者に揶揄されるような雌伏を経ながらもマクギリスを理解したわけですが――そこでもやはり、2人が手を取り合う未来は待っていなかった。ガエリオが理解したのは、マクギリスの目には愛情も信頼も映らず、けして相容れないという事実だったのですから(同時に彼は、かつて拒絶した鉄華団(阿頼耶識)を理解し謝罪しながらもやはり彼らと戦う運命にある)。
 拒絶すれば争う。けれど理解したって争う。一度死を迎えたフェイスチェンジでガエリオはマクギリスのような前髪を得、彼を理解しようやく隣に立ったわけだけど、その隣はバカ笑いできるような心の距離ではなく、刃を向け合うという殺しの距離でした。

 今回僕は、ガエリオがマクギリスを討つと宣言するラストに軽く目を潤ませてしまいました。最初、僕はそれは決意を固めた彼が格好良いと感じたからだと思ったのです。彼の生存を知り膝をつくガルスの心情を想像したからだとも思いました。実際、それらの感情も間違ってはいないのでしょう。今回の戦闘、疑似阿頼耶識によるヴィダールのアクションはとても見栄えしましたし。ですがこうして感想を書いてみると、どうもそれだけではなかったようです。
 僕は格好良さ以上にあのラストが悲しかったのです。鉄華団の拒絶の悲しさを先週味わいながら、更に今週は理解の先にすら争いがあることを見せられた事が悲しかった。あちらを向いても地獄、こちらを向いても地獄のこの世界が悲しかった。だから目を潤ませた。胸の詰まるようなこの思いを、僕はそういうように「理解」しました。
 この物語の先に、幸せになれる人はいるのでしょうかね。

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【言及】
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http://blog.livedoor.jp/rx_78g/archives/52179692.html
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4 Comments

MITSUKI  

ガエリオが三日月に以前の事を謝罪したのがジーンときましたな。

というか、アイン、脳だけになっても生きていたのか…。
フロントミッションのカレンデバイスを思い出す…(知らなかったらスイマセン)。

マクギリスはマクギリスでイズナリオの男娼だったんか…という壮絶な過去が。
うーん…あのおっさんあんな趣味あったのかよ、と…。

ついに最終決戦に向けて走り出した感じですが
誰が生き残って誰が死んでしまうのか、本当に心配です。

2017/02/12 (Sun) 20:34 | EDIT | REPLY |   

ロゴ  

脳だけで生きるのはSFのお約束!

三日月が「チョコ」言ったあとにわずかな無言があったのにちょっとクスッとした。
つか、ギャラホの人、「チョコ」で分かるのかよ。

バエルっつーとどうしてもこれを思い出してしまう。(下の方の小さなライオンみたいな奴)
http://k-pandora.com/
まあ、名前の元が同じってだけだけど。
バエル、起動こそしたモノの、起動したってだけだったなぁ。
あと6,7話しかないぞ、大丈夫か…?

まさかヴィダールの中の人がガエリオだったなんて誰が想像しただろうか。(棒
そしてガンダムの人のヴィダールようやく大活躍。
これが正しい販促の姿や!

ここにきて三日月以外の鉄華団が蚊帳の外に追い出されるような展開が来ましたが、二期は最初からこうしてりゃ良かったんじゃね? と思ってしまう。
(そのうち他のメンツも当然絡んでくるんでしょうが。)
これ残り10話切ったところでやるようなモノじゃないような気がしますよ。
自称No.2が結局あんなので、テイワズがなんだかあまり大したことのない集団のように見えてしまう展開をやったのがちょっともったいない気が。
マクギリス一派VSギャラルホルンの戦いに必要以上に介入されないようにするためにテイワズの戦力を削いでおく必要があるのかもしれませんが、もうちょっとやりようってモノがねぇ?

他の方のTLでの発言ですが、「鉄華団の物語としては『本当の居場所』というものを手に入れた一期で終わっていて、二期は周りからコナかけるしかなかった(アリアンロッド、ケツアゴとか)。能動的に動く目標のあるマッキーvsガエリオがドラマとして動きがあるのは当然」というものがあり、すごく納得してしまいました。

まあ、長い時間かけりゃいいってモノでもないし、今後どうまとめてくるか、きっと上手くやってくれると期待して視聴していきたいと思います。

2017/02/12 (Sun) 23:36 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>MITSUKIさん

>ガエリオが三日月に以前の事を謝罪したのがジーンときましたな。
 ジーンと来るし、だからこそ悲しいんですよね。軽蔑ではなくなっているにも関わらず戦うのは変わらない、という。

>フロントミッションのカレンデバイスを思い出す…(知らなかったらスイマセン)。
 ゲームはやってませんが一応話には聞いています。正に阿頼耶識の行き着く先と言うか。どういう状態になってるんでしょうね、脳……

>マクギリスはマクギリスでイズナリオの男娼だったんか…という壮絶な過去が。
>うーん…あのおっさんあんな趣味あったのかよ、と…。
 キャラクター原案の伊藤悠がコミカライズした「皇国の守護者」の読者としては、想像の中に入れていたことではあります。とはいえ、あんなにハッキリ描くとは思ってませんでしたが。初登場にマクギリスが長居しないのを寂しがっていたのも今考えると((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

>誰が生き残って誰が死んでしまうのか、本当に心配です。
 誰がどうなってもおかしくないと思える展開ですからねー……本当、怖いです。

2017/02/13 (Mon) 21:37 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>ロゴさん

>三日月が「チョコ」言ったあとにわずかな無言があったのにちょっとクスッとした。
>つか、ギャラホの人、「チョコ」で分かるのかよ。
 見ていて「は? いいのかそれで?」と一瞬固まりましたw

>バエルっつーとどうしてもこれを思い出してしまう。(下の方の小さなライオンみたいな奴)
 言われないと見落とす位置だw きっちり終わるとは言われていますが、どういう収拾になるんでしょうかね。格好良さは披露してくれるとは思いますが。

>まさかヴィダールの中の人がガエリオだったなんて誰が想像しただろうか。(棒
>そしてガンダムの人のヴィダールようやく大活躍。
>これが正しい販促の姿や!
 まあ作品的には「誰が中身なのか」より「なんで正体を隠すのか」が大事でしたからね。モンタークもそう。ヴィダールは蹴りを決めたままハンドガンを連射するのがイカしてました。

>ここにきて三日月以外の鉄華団が蚊帳の外に追い出されるような展開が来ましたが、二期は最初からこうしてりゃ良かったんじゃね? と思ってしまう
 この辺りは終わるまで判断しづらくもありますが、鉄華団が追い込まれていくのが大事だったのではないかなと思います。大義を掲げられた戦いに、否応もなく生きるためだけに参加しなくちゃならないという。ここで三日月やオルガが主義主張を叫んでいてもそれはそれでおかしい。

 先行きが本当に見えませんが、これまでがよくできているのだから……と期待しています。

2017/02/13 (Mon) 21:46 | EDIT | REPLY |   

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  • 2017.02.12 (Sun) 20:14 | 刹那的虹色世界
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  • もう主人公はガエリオでいいのでは?(^-^; すっごく正統派主人公な感じですよ、ガエリオくん。与えられた者の傲慢さで正義を語るところとか、ものすんごく主人公! 奪われ続け搾取され続けた者の舐めて来た辛酸を全く考慮しないところとか、傲慢過ぎて最高! 今回、ミカ様、っつーか鉄華団、影薄かったな~(笑) 与えられてきた「人間」と、奪われてきた「人間」の対決だったからな。人間として認めら...
  • 2017.02.13 (Mon) 08:36 | ディレッタントの秘かな愉しみ
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