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俺にできることは/機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ46話感想


 ヤマギの小さな涙は大きな涙に取り込まれていく。鉄華団という大きなものに取り込まれていく者達のように。

>拍手返信:雪光さん
>>今回の話を構成する要素を端的に集めていたアバンと鉄華団を体現する男シノ。
(中略)
>>まさに今回の要素を体現する役割は彼にしか果たせないのではないかとすら思えてきました。
 ありがとうございます。今週を見てさらに、シノというキャラの重要性が分かった気がします。オルフェンズは全体として、マクロがミクロに奉仕する傾向が強いように感じますねー……「どちらにも正義がある」のはいわゆるリアルロボットの定番ですが、「どちらにも正しくなさがある」のは本作の強烈な個性ではないでしょうか。



機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第46話「誰が為」
©創通・サンライズ・MBS
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 一矢報いること叶わず、シノは死んだ。彼に続こうとする三日月に、ジュリエッタは機体が半壊した状態でなお食い下がり……

「お前の信じる力でお前を殺した時、俺達は分かり合えるだろう!」
 マクギリスと刃を交えるにあたって、ガエリオは理解が死の境界線上にあると叫びますが、今回のお話ではその通りに、「死の境界線」が理解を生んでいます。石動は死の間際になぜ自分がマクギリスに忠誠を誓ったのかをガエリオに理解させ、ヤマギはシノが死んだことで初めて彼が自分の気持を知っていたことを理解する。死ななかった名有りにしても、デルマは左腕を失うという兵士としての死を迎えたことで昭弘の思いを理解し、アインや石動よろしく死亡コースにしか見えなかったジュリエッタは、これまでとは違う命の危険を感じたことでガエリオの言葉を理解するに至っていました。

 そして今回、死によってもっとも理解を進めたのはオルガです。シノと大勢の仲間を死なせたオルガは、ユージンやヤマギによる喝と、人間ではない(人間として死んでいる)とジュリエッタに評された三日月の言葉によって死者達の思いを理解します。

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オルガ「『仲間を間違った場所に連れてきちまったんじゃないか』……そんな迷いは思い上がりだ。お前が、連れてきてくれた。皆が連れてきてくれた。俺の言葉を実現するために、支えるために。お前らが。だったら、俺にできることは……迷わねえことだ」

 それは鉄華団に1人で最速で居場所を作ろうとしてきた「鉄華団団長」としてのオルガの「死」でもあるのでしょう。ようやく肩の力が抜けたのだとも言えるけれど、その事は彼をけして迷わない「鉄華団団員」と等しくするものでもあります。生きてさえいれば、という昭弘の素朴な感謝と愛情はそこに居合わせないオルガには届かず、絶望的な戦いから更に引き返す道を奪っていく。これまで鉄華団にとって大切な人員の退場はもっぱらブレーキになり得る者を狙って行われていましたが、鉄華団らしさの象徴でありアクセルの1つであったシノの死ですら、鉄華団を止めることは叶いませんでした。

 なお、理解という意味ではアトラは三日月の気持ちを「理解」できるようになっていたわけですが、それを「少女としてのアトラの死」がもたらしているのか、あるいは彼女に関してのみ死と対極の生(生命の誕生)でもって理解を描いているのかはちょっと僕には今回の描写だけでは判断できかねました。シノがヤマギの気持ちに気付いていた事を見抜けなかったあたり、僕も他人の気持ちが理解できない人間だからなあ……ユージンに「戻ってこれなくなるんだぞ!」と言われて帰ったあたり、アトラはひとまず彼を繋ぎ止める事に成功したのではないかな、とは思いますが。

 さて、火星を鉄華団のホーム(家)と表現したマクギリスですが、彼はその「社会的な死」を火星支部長の言葉によって「理解」させられます。デインは誰もが家を持っているわけじゃないと語りましたが、その通りに火星ですら無条件に鉄華団の家になってくれるわけではない。孤児達――オルフェンズの戦いは、どのような結末を迎えるのでしょうか。

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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第6話「彼等について」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第15話「足跡のゆくえ」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第18話「声」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第19話「願いの重力」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第23話「最後の嘘」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第24話「未来の報酬」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第25話(最終回)「鉄華団」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第26話「新しい血」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第27話「嫉心の渦中で」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第28話「夜明け前の戦い」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第29話「出世の引き金」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第30話「アーブラウ国防軍発足式典」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第31話「無音の戦争」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第32話「友よ」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第33話「火星の王」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第35話「目覚めし厄祭」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第37話「クリュセ防衛戦」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第38話「天使を狩る者」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第39話「助言」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第40話「燃ゆる太陽に照らされて」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第41話「人として当たり前の」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第42話「落とし前」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第43話「たどりついた真意」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第44話「魂を手にした男」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第45話「これが最後なら」


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6 Comments

MITSUKI  

うーん…もう鉄華団がラスタル派に勝つ未来が見えないのですが(;´Д`)
マクギリスは解雇って、新江支部長にまで裏切られてどうするんだか。

こうなったら地中に埋まってるモビルアーマーを発掘しまくるしか手がw
バエルにも特殊能力はないっぽいですし、あと4話でどうなるんだ。

石動は死んでしまいましたが、ジュリエッタちゃんは生存して良かった。
三日月の攻撃受けて生き残ったのは彼女が初めてではないだろうかw

2017/03/05 (Sun) 20:15 | EDIT | REPLY |   

犬  

Re:

うーんマクギリスは本気で無策かよ(笑
ラスタルのほうにもかなり隙がある描写があるから、そこつくのかと思ってたのに。

ラスタルの正義ってもっともっぽいこといってるけどあくまでも組織(特権階級)をまもるための理屈でしかないからなぁ。しかも、そのために地球圏の国家の紛争をあおるために国代表をテロに見せかけて暗殺しかけるなんてのもやったまってるし
警察が、自分らの権威・権力のために犯罪をマッチポンプしたり政治家を始末しようとしてるようなもんで正義でもなんでもない。振りかざしてるだけ。
ギャラルホルンが守ってきた秩序はべつにラスタルの正義の理屈によってなりたってきたわけでもないし、ラスタルは組織を守ることが秩序だと履き違えてしまってる。

オルフェンズがタイトルのとおりに孤児たちの物語なら、ラスタルを始末するだけじゃセブンスターズの狸爺や地球圏要国など火星やコロニーを経済植民地にしている連中はそのまんまなので、結局孤児たちの境遇はかわらないで終わる
やっぱ政治がうごかないとどうにもならないな

ノブリスやテイワズとハーフメタル採掘に一枚噛むのに成功したりしたからマクマード繋がりで政治的に動くのかと期待したんだが


MA発掘なんかしてもやけのやんぱちのながれでしかない、意味ないもんな


それにしても、石動がそうであるってことは、マクギリスに賛同した同志は全員がそうなんだろう。
マクギリスのラスボス化も期待してたけど、もはやないな。なんだかんだいってかなりの同志はのこってるし…マクギリスは死なないような気がしてきた。蜂起したのはいいが無策で全滅じゃ途中で死なせたらあまりにも無責任にすぎる(笑)

ガオリオはやっぱ好きになれんわ…こいつが第三勢力として立ち上がるなら言い分はもっともとおもうが、ボードウィンの後光でラスタルに変われてるだけだし。

2017/03/06 (Mon) 19:14 | EDIT | REPLY |   

ロゴ  

『鉄華団らしくないな。君達は常に圧倒的に数で差をつけられた戦場をその力でくぐり抜けてきたじゃないか』
無理を平気でおっしゃる。
そもそも戦いの正道というのは敵を上回る戦力を用意するものであり、すでに戦力をすり潰され、兵も疲弊しきった状態では何を言わんやというところ。
奇襲奇策というモノは常に成功する訳でもなし、超兵器と呼べるバルバトス一機で戦局をひっくり返す事はこの規模の戦いでは不可能であろう。(それが出来るのならとっくにやってる)
バエルもたいした特殊能力があるでもないし、基本性能においてはキマリスの方が上らしいと来た。

マクギリスはこれ以上何をするのであろうか。
まあ、立場上何もしないわけにもいかないのだろうが、石動もあの連絡将校リーダーの人ももういない現状で兵が着いてくるかどうかも疑問だ。
下手すりゃ今まで味方だと思ってた兵達に取り押さえられてラスタルに突き出される終末もありえるが、ここでそんな斬新なオチを見せられてもなぁ。

2017/03/06 (Mon) 23:24 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>MITSUKIさん

>うーん…もう鉄華団がラスタル派に勝つ未来が見えないのですが(;´Д`)
>マクギリスは解雇って、新江支部長にまで裏切られてどうするんだか。
 起死回生の一撃は既に失敗してるわけですからね。火星でなら……というのは最後の戦いとは程遠い、恐らくできてもジリ貧の持久戦です。

>こうなったら地中に埋まってるモビルアーマーを発掘しまくるしか手がw
 それに至ってはもう焦土戦術ですね。ただでさえ乏しくなっている自軍の補給は壊滅することでしょう。

>石動は死んでしまいましたが、ジュリエッタちゃんは生存して良かった。
 先週といい脅威のバイタリティでした。死ぬぞ死ぬぞ、というのが逆フラグだったのでしょうかね。まあ、最後まで安心はできませんけど……

2017/03/06 (Mon) 23:54 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>犬さん

どの立場にも正しさも誤りもあり、正しさは自分の所属しないところには届かない。それが本作の各陣営なのだと思いますよ。もちろん、そこで誰に共感するかに視聴者のスタンスはあるのでしょうがね。
政治だけで終わったらそれこそMS要らないわけで、そこに「ガンダム」が何を示せるかなと思います。

2017/03/07 (Tue) 00:11 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>ロゴさん

>無理を平気でおっしゃる。
もしかして今の服装:グラサンノースリーブ
マクギリスは話の都合でアホ化したというより、元から最終的にはアホにするつもりで描いているような気がします。同じオルフェンズであるがゆえに、かつてたまたま上手く行った鉄華団と同様に彼も今度は順当に失敗の道を歩んでいるのではないですかね。
破滅を迎えるとしてその時、鉄華団とは別の存在である彼が何を見せてくれるかというのは正に真価の問われるところではないかと思います。

2017/03/07 (Tue) 00:21 | EDIT | REPLY |   

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