褒められるよりも嬉しいこと/セイレン12話感想
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恋をすることの意味とは。
>拍手返信:雪光さん
>>こうして見ると今日子がスカートの上からパンツを履いているように見せていたことにもちゃんとした意味があるように思える不思議wいや、実際にあるのでしょう!
12話終わってみると実際、今日子自身の意識にもとても意味のあるシーンでしたねー。ホント、この作品どうやったらそんな発想が出るんだというシチュエーションに意味が重ねられているのが恐ろしい……そしてそれ故に、まっすぐな正一と今日子の恋愛の結末が映える最終回でした。ラストに相応しい、ストレートと変化球のほどよく混ざった章であったと思います。できれば続きをまた一緒に語りたいですねー。
セイレン 第12話(最終回)「ハツコイ」
©高山箕犀/セイレン製作委員会



いよいよ創設祭の日がやって来た。手作りケーキを売る今日子の前に、真剣な表情の正一が現れ……? 今回の副題は「ハツコイ」――初恋という幼馴染との恋愛でよく聞くフレーズではありますが、正一と今日子の恋愛はその定形とは少し異なっているのではないでしょうか。だって「幼馴染の初恋」って、どちらか片方がずっと相手を思い続けてきたというパターンがもっとも多いように思うからです。同系列で言えば「アマガミ」の桜井梨穂子はその典型ですね。でも正一は「幼馴染の女の子をそんな風に見るのが、とてもいけないことのような気がしたんだ」と語り、今日子も同じ心境だった事を語る。2人の恋愛の過程は過去に在るのではなくほとんどが画面に描かれており、視聴者はその全てを目にしているのです。
正一と今日子の関係の変化は互いを子供として見ないようになることであり、それは同時に、相手をそのように見る自分も子供でなくなるということ。そこにあるのは相手の成長であると同時に、自分の成長でもあります。第9話の感想で僕は「今日子にしても大人っぽい女の子になりたいのはそれが目的(結果)なのかあるいは過程なのか。」と書きましたが、そもそも少年少女の恋愛というのは「大人になる過程」の出来事でもあったのでした。進路を明確にした耀や透と異なりエピローグの今日子が「母親」としてのみ描かれたのは、成長そのものをもっとも重要なポイントとして描くためであったのかな……と思います。同時にそれは、正一が追いつけなかった耀や追い続けた透と異なり、2人で成長し合った今日子編にこそ相応しいと言えるのかもしれません。
ただ、子供っぽさや稚気といったものは成長に伴って捨てさるべきものとして描かれているわけでもありません。ミスサンタコンテストではお色気たっぷりの耀トナカイではなく、透の子供っぽいイナゴマスクコスが優勝し、かつての今日子のように「ケーキを3人で食べて」あるいは「成長を褒められて」喜ぶるいせの妹・りんは徹底して愛らしく描かれる。更に最後に正一と今日子の娘がクリスマスにおでんを食べたいなどと言い出しても、それは否定される事はありません。何より、その娘の言うことを尊重してあげるのは正一です。高校生になっても魔法少女ものを読み、恋人になった今日子に対してサンタを信じると語った彼が、(魔法少女ものの)漫画編集を職業としているのは、彼が自分なりにその稚気との付き合い方を見出した結果であるように感じました。成長することは、子供っぽさを失うということとイコールではないのです。
僕なりに考えた「本作がどういう作品と言えるのか」については稿を改めて語らせてもらいたいと思いますが、何よりもまず、とても楽しませてくれた事に感謝の言葉を。スタッフの皆様、素敵な作品をどうもありがとうございました。ブルーレイ、買います!
<追記>
今日子編だけ進路選択に悩む話が無いと思ったが、彼女、部活は選択してるんだよね。家庭部に入る、つまりあれは彼女が「家庭に入る」暗示だったんだよ!
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年3月26日
ΩΩΩ<ナ、ナンダッテー
……キバヤシ風に書いたが、真面目にそうなんだと思う。#セイレン #anime_seiren #seiren pic.twitter.com/4NtglfsbBn
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