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忘れられようとも/機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ50話感想


 果てじゃない。道は、続く。

<お知らせ>
 多忙につきリトアカ13話感想やコメント返信が遅れます、すみません。漫画感想は日曜に予約投稿済なので、火曜・水曜に日が変わった瞬間にアップされます。


機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第50話(最終回)「彼らの居場所」
©創通・サンライズ・MBS
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 団員の撤退の時間を稼ぐため戦いを続ける三日月と昭弘。2人だけで戦い続ける彼らにギャラルホルンも恐怖するが……「止まらないこと」という命題の示されたここ2話ほどからは、鉄華団が全滅し状況は何も変わらなくとも彼らが「止まらなかった」ことだけは僕の記憶に残る――「例え何も変わらなくとも報われなくても、止まらないことが大切」という、破滅を以て抱くべき希望を描く終わりになるのじゃないかな……と想像していたのですが、それよりも優しい終わりを見ることができました。


 三日月達が死んだ後で時は流れ、世界は少しだけ良くなった姿が描かれます。ヒューマンデブリの廃止、火星の独立etc……本作において多くの登場人物に通底していた「立場を異にする者への無理解」もいくらか解消され、ガエリオはマクギリスを、ジュリエッタは三日月を想う。というかそもそも、ヒューマンデブリの廃止や火星の独立は「持つ者」が「持たざる者」へ想像の手を伸ばしたからこそ成せたものなのですしね。そしてそれらは言ってみれば結果であり、過程ではない。他の作品では描写に重点の置かれるその場面こそは、この最終回では省かれている。だがそれが本作の手落ちなのか?と言えば、そうではないのだと思います。

 路傍の花と散った鉄華団のことを多くの人は覚えていません。ライドに復讐されたノブリスもオルガの事を覚えていなかった。それは繋がっているはずの過程を覚えていない、あるいは知らないということです。そもそも前々回のタカキやアジーの現状だって、彼らがそういう立場になった「過程」をオルガは知らなかった。けれど鉄華団のした事と彼らのその後は確かに繋がっていて、団員を救う光明になった。それは鉄華団とそこからこぼれ出た彼らが共に「止まらずに進み続けた」からこそ得たものです。だからそれと同じように、この流れた時間の中でも生き残った者は止まらずに進み続けたのでしょう。革命の青年将校を屠ったラスタルは秩序の番人たるギャラルホルンのより良い形を求め続けた。マクギリスの末期の言葉を拒んだガエリオは、彼がそうした結末に至った経緯を想像し続けた。大義もなく戦う三日月に困惑したジュリエッタは、今は彼を悪魔ではなく人間だと呼ぶ。ガエリオとジュリエッタが良い仲になっている事も含め、結果だけが示されるのは彼らが「止まらずに進み続けた」何よりの証明なのでしょう。

 もちろん、「止まらずに進み続けた」事が分かりやすく良い結果だけに進むわけではありません。ガエリオやジュリエッタのマクギリスや三日月に対する理解が本当に正しいかは分からないし、シノやオルガに守られ続けたライドは「止まらずに進み続けた」ことで再び復讐の裏街道へ身を落とす。描写されることのなかったアルミリアはきっと、今も1人ファリドの家にいるのでしょう。一見して裏面に見える彼らの「止まらずに進み続けた」姿が間違っているのかどうかなんて、単純に判断できるものではない。それは死の間際まで「止まらずに進み続けた」三日月は自分が既に居場所にたどり着いていた(つまり過程に気付くことなくして結果にたどり着いていた)事に気がつく一方、昭弘は期せずして(これもまた過程に気付くことなくして)復讐を果す機会に恵まれた事からも言えるように思います。


 さて、本作において鉄華団は無知無学の輩として描かれていましたが、果たして僕達は彼らの事を嗤えるほど賢いのでしょうか。もちろん字は書けるし、ヤクザと関わる人はそうはいないと思います。けれど僕達も日々不確かな情報に踊らされ、ネットで「こいつは叩いていい奴だから」と思えばそいつが破滅するまでボコボコにしたりする。一方でマスコミだけでは黙殺される情報を拾い上げたり、困った人を助けてあげられることだってある。無明の中を進んでいるという意味では、視聴者だって鉄華団とさして変わらないのではないでしょうか。僕自身、本作を視聴する中で「どうしてここまで作品に想像の手を伸ばせないんだろう。どうして最低限の敬意を払えないんだろう」と憤って見るのをやめてしまった感想サイトもあります。それが正しいのか間違いなのか、今も分かりません。
 正しい道を歩めたとは言えない鉄華団が1期では成功し、2期では破滅し、それでも世界が少しだけ良くなったように、禍福も正邪も常に変化し立ち止まらずに進み続けるものです。同年代の少年の痛みを分かち合いたいというクーデリアの傲慢が、この最終回に繋がったように。だからやはり、僕達だって「例え何も変わらなくとも報われなくても、止まらないことが大切」なのだと思います。


三日月「昔さ、オルガが言ってた。死んだ奴には死んだ後いつでも会えるんだから、今生きてるやつが死なないように精一杯できることをやれって」
 かつて三日月に言った言葉を、オルガは覚えていません。

ジュリエッタ「いつかのあなたの言葉。真実の強さを手に入れるためには人間らしくあれ、と」
 かつてジュリエッタに言った言葉を、ガエリオは覚えていません。

クーデリア「暁の手、ずいぶん大きくなりましたね」
アトラ「うん、三日月譲りだね」

 自分の父である三日月の手がどんなものだったか、暁は知りません。自分に繋がる「過程」を暁は知りません。だけど、彼の中には確かに過去が繋がっている。「止まらずに進み続けている」のです。願わくば生き残った者達がいつか死んだ者に会う時、彼らに恥じない生き方をしてきたと誇れますよう。


 僕にとって本作は、技術的な意味でも思考的な意味でも、アニメ感想を書く上で大きなターニング・ポイント(特に19話)を担った作品となりました。本作があったからこそ今の僕のアニメ感想がある。本作が僕の中で繋がっている。スタッフの皆様、本当に素晴らしい作品をありがとうございました。

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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第5話「赤い空の向こう」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第11話「ヒューマン・デブリ」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第15話「足跡のゆくえ」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第19話「願いの重力」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第23話「最後の嘘」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第24話「未来の報酬」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ第25話(最終回)「鉄華団」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第26話「新しい血」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第27話「嫉心の渦中で」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第28話「夜明け前の戦い」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第30話「アーブラウ国防軍発足式典」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第31話「無音の戦争」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第32話「友よ」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第35話「目覚めし厄祭」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第37話「クリュセ防衛戦」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第39話「助言」
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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第45話「これが最後なら」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第46話「誰が為」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第47話「生け贄」
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第48話「約束」
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15 Comments

MITSUKI  

鉄血のオルフェンズ、これにて完結。
み、ミカァー!まさか主人公である三日月まで死んでしまうとは。
主人公が死ぬというのもガンダムシリーズでは初かもしれません。

しかし三日月と昭弘以外はほぼ皆生存。クーデリアも代表になるとは。
ラスタルはラスタルで一人勝ちみたいな終わりでしたけども、これからの
鉄血の世界観を考えると今までよりは良い方向に進んでいくのでしょう。

鉄華団はなくなれど、彼らが存在し生きていた証はなくならない。
全50話を通して本当に印象的で面白いガンダム作品だったと思います。
GレコもUCも面白かったけど、オルフェンズもまた格別でした。

最後になりますが、ちゃんとイオクに報いが下ったのは良かった(苦笑)

2017/04/02 (Sun) 20:31 | EDIT | REPLY |   

ロゴ  

終わりました。
世間の評価が真っ二つなのが面白い。
三日月は生き延びたとしてその先がパラダイスのはずはないもどう生活したものか。
正直最終回見るまではバルバトスに完全に吸収されて、サルベージ失敗からの「三日月を返してよ!」で五体満足で復活とか想像してましたが。(エヴァか
それだけに首狩りエンドはちょっと衝撃を受けたね。

悪魔と呼ばれるにふさわしい戦闘力を見せるガンダムでも、たった2機でどうこう出来るほどギャラルホルンの戦力は小さくなくて。
「ガンダム1機の働きで戦争が勝てるなどどいうほど甘いものではないんだぞ。」というファーストのウッディの台詞を思い起こさせる。

昭弘は生き残って欲しかったけど、これまで昭弘に関わった人間が皆死んでる辺り、いろいろ引っ張られたのかなぁ。
何度か書きましたが、それまでの人生で苦労してきた人には最後には幸せになって欲しかった。

最悪の全滅エンドは回避したのはまあよかった。
おやっさんやデクスターさん、子供達のような非戦闘員まで無駄に死ぬ事はない。
しかし、冗談で言った「三日月は生きているわ、私の中で」エンドになるとは開始時には思いもしなかった。(どこに書いたかは探したけど分からなかった…ひょっとして違う作品だったかもしれない)
追記:38話でした。

ダインスレイヴが便利すぎて「もうあいつだけでいいんじゃないかな」状態。
便利すぎてどんな状態でもアリアンロッド側がひっくり返せてしまう、戦闘シーンをつまらなくしてしまう諸刃の剣。
正直アレ出したのは失敗だったと思うよ。
出すんだったら双方とも使い放題で逆に使えない状態にまで持ち込まないと。

MAの存在もガンダムフレームのすごさの説明のためだけだったのがもったいない。
ハシュマル撃破後も次のMAが出てくるものだと思ってましたが。

ラスタル一人勝ち。
タカキもまあ勝ち組か。
あのヒゲ、基本的に艦橋で立ってた以外に何かやったっけ?
一方ケツ出しおっさんは最後までケツを出して死亡。
こいつとペチャン公は視聴者の溜飲をせめて少しでも下げるための生け贄だね。

1期で不幸な死に方をしたガエリオも勝ち組か。
憑き物が落ちたように以前の明るい兄ちゃんに戻った。
嫁もゲット(どうせくっつくんだろ、あの二人)したし、嫁はラスタルの後釜候補だし。
まさかこうなるとはね。
実家に戻ったら妹がどんな顔してるかは知らん。
しかし、なんで車椅子に乗ってるんだ?

これも何度も書くけど、やっぱり今作の最大の問題はマッキーだよね。
中の人も不満たらたらだったらしいし。
アグニカ・カイエルに入れ込んでるのはまあいいとしても、それが通用しないときの事を一切考慮していなかったのはさすがにアレだったと思う。
あの若さで准将にまでなった英才だし、一軍の将ならそれくらいのことは考えて然るべきだと思うんだが、あまりにも盲目過ぎた。

あとハッシュの扱い。
当初の解説を見てもっと鉄華団内部をかき回してくれるキャラだと思ってたけど、あっさり忠犬化してしまった。


と、長々と書きましたが(自分のブログでやれと言われても反論出来ないレベル)それなりに楽しませてくれた4クールでした。

2017/04/02 (Sun) 21:59 | EDIT | REPLY |   

ロゴ  

うわ、一気に見ると自分でもドン引きするくらい長ぇ。
これでもまだ書き足りない部分があるんだから…。

2017/04/02 (Sun) 22:01 | EDIT | REPLY |   

-  

初めてコメントをさせて頂きます。(最初にして最後になるのがアレですがw)

実はガンダムシリーズについてはファーストのTV版からの視聴者で、
その上で一番、楽しく視聴したのが最近までは∀で、今回、鉄血がそれを
更新して最も好きなガンダムとなりました。

ただ、内容的に様々な人生経験を踏み、漫画やアニメ以外の多様な知識や
体験を経ないと理解できない様な仕掛けや筋立てが余りに多く、まるで狙ってる
かの如くミスリードを招き易い構造の宝庫な為、割と高評価だった一期の頃から
(下手に絶賛状態だっただけに尚更)予想される後半の展開が始まったら、
阿鼻叫喚になりかねないだろうと危惧しておりましたが案の定、悪い予想通りで。
各まとめサイトでの無理も無いよな、でもそこまで明後日な納得の仕方での
罵詈雑言に心が折れそうになること数知れず。

その意味でも、このサイトでのただ冷静で好意的なだけでなく、各話毎に特徴的な
ポイント(象徴や暗喩など)を絞り込み、更に踏み込んで考察していく方法には
とても癒され、知的好奇心を掻き立てられ、改めて該当のエピソードを見直して
みたりと、「鉄血」を二倍、愉しませて頂けて本当に感謝してもしきれません。

改めて心からお礼を申し上げると共に、本当にお疲れ様でした。今後も益々、
冴えわたる考察を期待しております。

最後に、大抵の感想サイトでこんな事を言うと袋叩きに合うので、ここだけで
こっそりと言わせて頂きますが、「鉄血サイコー!物凄く面白かった!!!」

2017/04/03 (Mon) 01:06 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>MITSUKIさん

>み、ミカァー!まさか主人公である三日月まで死んでしまうとは。
 まあぶっちゃけ、三日月が生き延びる可能性こそは見えませんでした。グレンラガンのシモンの物真似などになることもなく、最初から最後まで、三日月は三日月だったなと思います。

>しかし三日月と昭弘以外はほぼ皆生存。クーデリアも代表になるとは。
>ラスタルはラスタルで一人勝ちみたいな終わりでしたけども、これからの
>鉄血の世界観を考えると今までよりは良い方向に進んでいくのでしょう。
 何もかもが上手く行く、なんてことはない。けれど忘れられても確かに彼らの爪痕は残っている。そんな話だったように思います。ぱっくりと口を広げた破滅に彼らが突っ込んでいく様は本当に恐ろしいものでしたが、見届けた甲斐がありました。
1口にガンダムと言っても本当に様々ですね。そして、多様であるのが許されるのは素晴らしいことだと思います。

>最後になりますが、ちゃんとイオクに報いが下ったのは良かった(苦笑)
 イオクのあっさりした最後についてはお返事を書く内に考えがまとまったのですが、あれは「真っ当に死んだ」のに過ぎないのだと思います。1期は無茶やっても幸運にも成功した鉄華団が2期では当然に敗れたのと同じ。豪運ぶりにイオクシールドなんて言われたりもしましたが、それはたまたまに過ぎなかったのじゃないかなと。

2017/04/04 (Tue) 23:48 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>ロゴさん

>世間の評価が真っ二つなのが面白い。
 新作ガンダムの評価が1色でないのは毎度のことですねー。ビルドファイターズ?ありゃガンダムアニメと言うよりガンプラアニメです(褒め言葉)

>正直最終回見るまではバルバトスに完全に吸収されて、サルベージ失敗からの「三日月を返してよ!」で五体満足で復活とか想像してましたが。(エヴァか
>それだけに首狩りエンドはちょっと衝撃を受けたね。
 人の首はさらせなくともガンダムの首はさらせる。英雄的なものの終わりとして象徴的だったと思います。つまんねーと言われるダインスレイヴは、一面で英雄的な戦いを終わらせるアイテムとして恐ろしく効果的だったと思います。あの無機質さがあればこそ、三日月達の強さを揺るがせることなく戦いをここまで持ってこられたのじゃないかなと。
MAもたかが1機のMSにそうさせるための箔付けであり、その三日月の力がマクギリスに行動を起こさせたのであり、けして無意味な存在ではなかったのだと思います。

>昭弘は生き残って欲しかったけど、これまで昭弘に関わった人間が皆死んでる辺り、いろいろ引っ張られたのかなぁ。
>何度か書きましたが、それまでの人生で苦労してきた人には最後には幸せになって欲しかった。
 でも、彼の最後の言葉の1つは「生きてりゃいいことあるもんだな」でした。弟やアストンやラフタを失い、死ぬことが決まった「これまで」は変わらない。でも死にゆかざるを得ない最後に「これから」を変えた彼の満足が「偽りの幸せ」なのかは考えてみていいのじゃないかと思います。

>MAの存在もガンダムフレームのすごさの説明のためだけだったのがもったいない。
>ハシュマル撃破後も次のMAが出てくるものだと思ってましたが。
 そりゃ偉い人は基本ふんぞり返って指で仕事するべきでしょう。バエルに乗って前線に立つマクギリスとはその意味でも対照的。ノブリスはライドのその後を考えると複雑だし、イオクは「馬鹿やっても偶然死ななかった奴が今度は当然死んだ」もの。生贄の側面はあるかもしれませんが、それだけではないように思います。

>1期で不幸な死に方をしたガエリオも勝ち組か。
>憑き物が落ちたように以前の明るい兄ちゃんに戻った。
 ガエリオとジュリエッタは他作品なら主役やってるキャラ……とはよく言われるところですから、終わりもそれに準じている感じですね。劇中ではそれぞれマクギリスとラスタルに執心だった2人がそこから少し離れて見えたのは、個人的には少しホッとしたところでした。それはきっと、多少なり視野が広がったということてしょうから。
 車椅子はなんでしょうね、彼なりに代償もまた止まらなかったのかもしれません。

>これも何度も書くけど、やっぱり今作の最大の問題はマッキーだよね。
>中の人も不満たらたらだったらしいし。
 マクギリスの中の人についてはこれですかね。驚いたのは確かですが不満たらたらというわけではないようです。
http://gundamlog.com/archives/49774481.html
 もっと軟着陸する方法はあったかもしれませんが、個人的には彼については驚きはあれど納得しています。結局のところ、マクギリスもまた想像力を奪われたオルフェンズの1人でしかなかった。終わりからたどれば、1期が悪魔的に見え過ぎたのだと思います。

>あとハッシュの扱い。
>当初の解説を見てもっと鉄華団内部をかき回してくれるキャラだと思ってたけど、あっさり忠犬化してしまった。
 ハッシュについては49話が全てだと思います。オルガは三日月の前を走り続ける。ハッシュは三日月の後ろを走り続ける。だからその間の三日月もけして止まることはない。それは、鉄華団全体よりも三日月に執着するハッシュにしかできなかった役割じゃないかなと。地上戦のデータが無さ過ぎて死ぬのは、「持たない者」が負けるのがこんなところでも効いていて切なかったですが。

>うわ、一気に見ると自分でもドン引きするくらい長ぇ。
>これでもまだ書き足りない部分があるんだから…。
 正直ちょっと疲れましたw が、おかげで僕も考えを練ることができました。ありがとうございました。

2017/04/05 (Wed) 00:03 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

 初めてでも終わりでもコメント、ありがとうございます。初の地上波ガンダムがVだった人間としては、言ってみればガンダムの先輩に褒めていただけるのは光栄です。本当、多様なガンダムにおいて本作はなお個性的な作品でしたね。

 僕も新作のガンダムに否定的な時期はありましたのであまり他人のことは言えませんが、視聴者に一面的な見方を許さないという意味で本作は群を抜いて意欲的であったと思います。敵の中に主人公みたいな奴がいたり味方がヤクザだったり、両者に正しさがあるのではなく両者に間違いがある。ガエリオとマクギリスのどちらが正しいと思うか、なども含めて視聴者の反応が割れるのは製作者の想定したところではないでしょうか。まあ、それでも「え、そこをそう受け取るの?」って思うことがあったからこそ本文の懺悔があるわけですけど。ですから、同じように悩まれた方の励ましになれていたのならそれは本当に嬉しいことです。

>このサイトでのただ冷静で好意的なだけでなく、各話毎に特徴的な
>ポイント(象徴や暗喩など)を絞り込み、更に踏み込んで考察していく方法には
>とても癒され、知的好奇心を掻き立てられ、改めて該当のエピソードを見直して
>みたりと、「鉄血」を二倍、愉しませて頂けて本当に感謝してもしきれません。
 ありがとうございます。キャラやシーンを木、作品全体を森とするなら、僕は各話という「林」を見て感想を書いているのだと思っていますので、そこを楽しんでもらえたのなら冥利に尽きるというものです。そして、僕の中でその方法が育つのに本作の存在は欠かせないものでした。今は林と森をより繋げて書けないかと模索していますが、応援のお言葉、とても励みになります。

>最後に、大抵の感想サイトでこんな事を言うと袋叩きに合うので、ここだけで
>こっそりと言わせて頂きますが、「鉄血サイコー!物凄く面白かった!!!」
 ええ、こんなところで良ければw 僕も叫びましょう。「毎週心揺さぶられた! こんな作品初めて見たよ!」

2017/04/05 (Wed) 00:06 | EDIT | REPLY |   

ロゴ  

>車椅子はなんでしょうね、彼なりに代償もまた止まらなかったのかもしれません。
https://twitter.com/Roanoke_DEMIO/status/851065627162718208/photo/1
ガエリオが車椅子の理由は、1期でマクギリスに討たれた時点で下半身不随の重症で阿頼耶識TypeEの手術によってアインの脳と繋がる事で動けるようになってた。最後にもう戦わないと決めて首の阿頼耶識コネクタを外した為、脚も二度と動かなくなったと。【鉄ラジ最終回】 #g_tekketsu

だそうで。
本当に一心同体だったんだなぁ。

そうそう、ハッシュの件ですが、最期は仰るとおりだと思います。
死ぬときはあっさり、というのもこの作品のカラーですから。
地上用プログラムくらい用意しとけ、とも思いましたが、そもそも宇宙用の機体みたいだし、機体が違えばOSだのいろいろな部分で違ってくるでしょう。
あのときの鉄華団の状況を鑑みるにプログラム作成の暇もなかったのは想像に難くない。
自分がもったいないと思うのは、2期開始時になにやら曰くありげなキャラとして紹介されていたのに、それが「三日月△」であっさり片付けられてほとんど反映されてない気がするなぁ、と。
放送中にどんどん脚本が書き換えられてたらしいので、尺の都合で切り捨てられちゃったのかなぁ。

2017/04/10 (Mon) 00:58 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>ロゴさん

>ガエリオが車椅子の理由は、1期でマクギリスに討たれた時点で下半身不随の重症で阿頼耶識TypeEの手術によってアインの脳と繋がる事で動けるようになってた。最後にもう戦わないと決めて首の阿頼耶識コネクタを外した為、脚も二度と動かなくなったと。【鉄ラジ最終回】 #g_tekketsu
 情報ありがとうございます。ガエリオなりのアインとマクギリスに対する償いでもあるのでしょうね。

>自分がもったいないと思うのは、2期開始時になにやら曰くありげなキャラとして紹介されていたのに、それが「三日月△」であっさり片付けられてほとんど反映されてない気がするなぁ、と。
 最初に想像したのと違うキャラになったな、という意味では多少分かるかもしれません。最後を鑑みれば、むしろスポットが序盤に当たり過ぎたくらいなのかなあ……

2017/04/10 (Mon) 09:48 | EDIT | REPLY |   

towa  

こんにちは、オルフェンズの感想拝見いたしました、towaです。

個人的には難しかったアニメでしたが、闇鍋さんの感想のおかげで理解が深まりました。いつも本当にいつもお世話になっております。
あと、自分じゃ全然気付かなかったり、見逃してたりスルーしてたところがよくわかって…うう、自分の感想で気付かないまま書いてるとこあって恥ずかしいです。今からでも書き直すか…

オルフェンズ凄かったですねー!ラスト3話はテンション上がりっぱなしでした!素晴らしかったです。展開や物事が沢山の意味合いを持っていて、キャラクターも信念を持って生き生きしていて。闇鍋さんの評価がSなのも納得です。

> さて、本作において鉄華団は無知無学の輩として描かれていましたが、果たして僕達は彼らの事を嗤えるほど賢いのでしょうか。
これは本当に。生きていくために体と頭を全力で使う鉄華団に圧倒されっぱなしでした。彼らに適うなんてとてもとても言えません。それだけに、そこまで頑張ってる彼らが生きるか死ぬかの時期は見てるほうも辛かったですね。自分の場合一旦期間をおかないと視聴できなかった時期がありました。毎週これだけの感想を書かれていた闇鍋さんを尊敬します。

私もガエリオとジュリエッタが好きなので、ここでピンのジュリエッタの画像と萌えコメントが並んでいるたび得した気分になりましたwありがとうございました。
ジュリエッタがここまで重要なキャラクターになるとは全然思っていなかったのでとても驚かされると共に、この作品のシナリオの凄さを思い知らされました。自分がどれだけ理解できているかはわかりませんが、だからこそかな?また一から視聴し直したくなる作品ですね。

本当に素晴らしい作品を送り出してくれたスタッフさんに感謝ですね。10年後には絶対評価が上がって、名作扱いされるタイプだと勝手に思っていますw
いつも面白い、気持ちのこもった感想を読ませていただきありがとうございます!またお邪魔させてください!

2017/04/25 (Tue) 16:51 | EDIT | REPLY |   

ロゴ  

シャア専用フレンズ @Char_Tweet
ダムA長井氏インタビュー
・本来のラストはバルバトスの首級からクレジットがあってライドの暗殺のみでエピローグはなかった
・アトラの子供発言はちょうど長井氏自身が救いを求めていた時期なのでは
・モンタークはマクギリスの旧姓。商会は私財管理の会社で、私財ごとトドが引き継いだ

やっぱあの存外使えるチョビ髭が一番の勝ち組じゃないか。

2017/04/26 (Wed) 00:06 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>towaさん

towaさんも視聴お疲れ様でした。

>個人的には難しかったアニメでしたが、闇鍋さんの感想のおかげで理解が深まりました。いつも本当にいつもお世話になっております。
 ありがとうございます。僕は僕で自分が気づけていない事を痛感させられることも多くて……感想にも書きましたが、アニメの見方や感想の書き方に大きな影響を与えてくれた作品でした。

>オルフェンズ凄かったですねー!ラスト3話はテンション上がりっぱなしでした!素晴らしかったです。展開や物事が沢山の意味合いを持っていて、キャラクターも信念を持って生き生きしていて。闇鍋さんの評価がSなのも納得です。
 最初から最後まで、一面的な見方を許さない作品でした……と気付くための要素も順々に敷き詰められていて、本当に沢山の意味合いを見出だせました。序盤の話は今見るとまた印象変わるんだろうなあ。

>それだけに、そこまで頑張ってる彼らが生きるか死ぬかの時期は見てるほうも辛かったですね。自分の場合一旦期間をおかないと視聴できなかった時期がありました。
 ああ、なんとなく時間を置きたくなる気持ちは分かります。鉄華団を抜けようとした時のザックのような気持ちになっちゃうんですよね。バカだし間違いもしてるし、けどどうにかなってほしい。満面のハッピーエンドは望めなくとも、そこに何かあってほしい。そう思い続ける度に日曜がやってきて、目を離せなくなる。そんな後半でした。

>私もガエリオとジュリエッタが好きなので、ここでピンのジュリエッタの画像と萌えコメントが並んでいるたび得した気分になりましたwありがとうございました。
 ジュリエッタを演じるM・A・Oは「クロムクロ」の由希奈がとてもかわいかったのと、初登場時の蝶パクが非常に印象に残りましてw 彼女とヴィダールのやりとりは、ギャラルホルン側を鉄華団に相対させるにあたって大切なものでったなと思います。

>本当に素晴らしい作品を送り出してくれたスタッフさんに感謝ですね。10年後には絶対評価が上がって、名作扱いされるタイプだと勝手に思っていますw
>いつも面白い、気持ちのこもった感想を読ませていただきありがとうございます!またお邪魔させてください!
 特に情報と感情の整理が必要な作品だと思うので、今後また評価の変わっていくと思います。結末を知った上で見る人にもまた違った形で映るでしょうしね。何かの折があれば本作を絡めて語りたいなあ。
 こちらこそ熱心なコメント、ありがとうございました!感謝です。


2017/04/26 (Wed) 22:30 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>ロゴさん

>やっぱあの存外使えるチョビ髭が一番の勝ち組じゃないか。
 上手いことやったもんですねw 青山穣の声が印象的なキャラだったとは言え、ここまで出世するとは。こいつもこいつで止まりませんでした。

2017/04/26 (Wed) 22:39 | EDIT | REPLY |   

初めてでも終わりにはまだ早い?(笑)  

いい歳して未だ熱の冷めやらないジジイです(苦笑)

この作品の大多数からの酷評っぷりと極一部の熱狂ぶりの、余りにも両極端に分かれた評価の原因を、監督の県民性と視聴者との世代間格差に求めた深い、深過ぎる考察を発見しましたので、是非ご覧いただきたく。

要約すると長井監督は本気で鉄華団を「『生きるため』を口実に命より大切な『義』を蔑ろにした為に報いを受けるべき存在」として描き、視聴者もそれを痛ましく哀れにこそ思え、まぁ仕方ないよな…と納得してくれると信じてた、あるいは期待してた可能性があったが、視聴者世代の厭世観は予想以上で「決闘」だの「誇り」だのを「何それ食べれるの?」とパンパンパンした三日月および鉄華団に、本気でシンパシーを感じてしまった事が悲劇であったという事みたいです。

【火星新潟説】県民性で読み解く鉄血のオルフェンズ【目指せ田中角栄】
https://togetter.com/li/1104788

2017/05/01 (Mon) 00:12 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

 最後でないのは大歓迎です。

 僕が氷河期世代の端くれであることもあって、ちょっと感情がささくれ立つ部分はありますかね。また製作者のバックボーンに踏み込んで作品を解釈するのは僕の流儀ではないので、すみませんがあまり上手く言及できないのが正直なところではあります。コメントに散見されるように「新潟県民の県民性が分かってない」という理由も含めて。
 ただ、「鉄華団は全面的に正しい」と素朴に感じる視聴者とのギャップを考える上で興味深いアプローチだと思います。

 それから、個人的にはこれを読んで「そこまで深く考えてないと思うよ」で立ち止まってしまう人が少しでも減ってくれないかなと思います(まとめの中でも言及されていますね)。

 興味深い情報をありがとうございました。

2017/05/01 (Mon) 19:52 | EDIT | REPLY |   

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