どっちだっていいじゃないですか/サクラクエスト 3話感想
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絵に描いた餅ならぬ絵に描いたカブラ(美味しそう)
サクラクエスト 第3話「マンドレイクの叫び」
©2017 サクラクエスト製作委員会



新国王として頑張ってみることにした由乃だが、町の人は無関心。そんな折、ヌルキャラ選手権大会にチュパカプラが参加することになり……
今回は由乃が間野山の国王としてやっていくことを正式に決めるお話だったわけですが、内容としても彼女が採用試験を受けるものだったように思います。地元テレビ局のインタビューを受けた彼女はまるで面接の時のような反応を返してしまう様子はコミカルですが、まんま想定外の質問を受けた学生そのものです。言ってみればここで再び、彼女は採用試験に落ちている。が、会社を変えれば採用試験の機会はまたあるように、彼女にはヌルキャラコンテストで再び試験の機会が巡ってくる。インタビューの時と同じ司会者を前にして、町の歴史や自分の仕事など、かつて答えられなかった内容を語ってみせる姿は彼女の成長を感じやすいものでした。
演説してもヌルキャラコンテストで下から3位だったように、現状の由乃はけして「彼女でなければ」という存在ではありません。彼女が国王に選ばれるミステイクの始まりだった椿由乃にしても、その名曲を流しても町の人からは罵声を飛ばされる始末。ヌルキャラの頭がカブラくんでもチュパカブラでもどっちでもいいように、国王という頭が誰でも間野山は必要としていない、「どっちだっていい」のです。でも、どっちでもいいならどっちがやってもいい。由乃がやっても「いい」。どっちでもろくでもない着ぐるみを「どっちでだっていいじゃないですか!」と叫んだ瞬間、無用と許容は逆転しています。
また、逆転しているのはけして着ぐるみや国王だけではありません。由乃はどっちの着ぐるみの頭を使うか、誰と一緒に仕事をするか――つまりどの方策を「採用」するかを選んでいます。採用される側だった彼女が、ここでは採用する側に回っているのですね。なにせ「決めるのは国王」なのですから。けれどそれは選ばれなかった側(チュパカブラの頭や観光協会の他の面々)を拒絶しているわけではもちろんなく、彼らも存在を許容される。多くの会社から選ばれなかった由乃が選ぶ側になり、何かを許容し決めていく。国王が彼女でなければならない理由はないけれど、物語において彼女が国王である理由は思ったよりもがっちりと物語に食い込んでいるものかもしれません。
さて、町おこしは多くの街が挑みながらも成功例がほとんどない「狭き採用の門」。桜の花びらのような5人は、これからどのような物語を見せてくれるのでしょう。
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