私もおんなじ口だし/サクラクエスト 6話感想
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仮面の下の涙を拭え。
サクラクエスト 第6話「田園のマスカレード」
©2017 サクラクエスト製作委員会



間野山で映画の撮影が行われる事になり、はりきる由乃達。しかし元劇団員の真希は手伝いに消極的で……? 間野山彫刻話は他所から来たものが内に入り込んでいくお話でしたが、今度は更に他所から人がやってくるお話。映画の撮影にやってきた藤原達はまさしくよそ者であり、彼の「終わらない現場はない」という言葉は由乃の国王の仕事が1年に限られているのと同じこと。そんな風に考えると、様々な形で彼らは由乃達と重ねて見ることができます。藤原は助監督と偉そうな肩書だけど権限は無いに等しく、彼に振られた段取り業務はそのまま由乃が代行することになる。それを振り回す上役の大人気なさは監督と丑松会長で同じようなところがあるし(ご丁寧に丑松会長は昔映画を作ろうとしていた始末)、凛々子は撮影スタッフのカメラ機材に興味を示したりする。
ただ面白いのは、これらがけしてぴったりした一致ではないということです。由乃はスマホで町の良い所を見つけて早苗に「あんたが監督かい」とツッコまれ、監督は町の太鼓練習風景といういいところを見つけて「来ましたドンズバ!」とくる。ゾンビ役の丑松会長はゾンビみたいな顔の藤原と飯を食う。「似たようなものだけど少し違う」――これは前回由乃が語った「どんな仕事だって、代わりはいても結果はその人にしか出せないことがある」という言葉に少し通じるものがあります。そしてそこから視点を広げてゆけば、どの古民家を燃やすかの選択やまんじゅう選び、町の人が撮影を見に来た理由などだって「似たようなものだけど少し違う」ものの内に収めることができる。
そうした中でももっとも「似たようなものだけど少し違う」のはなんと言っても真希とその後輩の萌で、どちらも芝居を愛しその道を志し、共にゲテモノ食いなんて場に立った点ではよく似ていました。けれど萌はセミを食べるという「自分にしか出せない結果」によって見事ブレイクのきっかけを得た。「どんな仕事だって、代わりはいても結果はその人にしか出せないことがある」として、ならそれが他人より劣っていると見せつけられたらどうすればいいのか――真希の悩みは、前回解決した早苗の悩みのその先にあるものなのだと言えます。ならば、真希にハッパをかけるのが早苗であるのも必然なのでしょう。昼の橋の上で真希の自己欺瞞を見抜く早苗は 、夜道を共に歩いて真希の心に踏み込めない由乃の「代わり」であり、逃げて間野山にやってきたという意味で真希の「似たようなもの」なのですから。
さてさて、同時進行で何かひっかかりを抱えているしおりも含め、次回はどんなお話になるのでしょうね。続くクエストにレベルアップの気配を感じる第6話でした。
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