鍋と温泉を間違えてたまるか/有頂天家族2 6話感想
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それで砂糖壺の中の海星は湯上がりなんでしょうかどうなんでしょうか。
有頂天家族2 第6話「有馬地獄」
© 森見登美彦・幻冬舎/「有頂天家族2」製作委員会



身に覚えのないセクハラ告発により、演習林へこもらざるをえなくなってしまった淀川教授。彼からの情報で矢三郎は、金曜倶楽部の会合が開かれる有馬へ行くが……? 納涼船の騒ぎを終えた6話は有馬で極楽から地獄へ。矢三郎と海星のやりとりで「鍋と温泉を間違えてたまるか!」という台詞がありますが、今回の話では鍋と温泉のように「似て非なるもの」を見出すことができます。手土産のバームクーヘンと教授の部屋にあるテープ&紐、喫茶いずみのゆず茶とゆずティー、弁天の逆鱗の種類などなど……もっとも印象的なのはもちろん矢三郎が蹴落とされた地獄絵の中で、そこはおとぎ話で聞くような赤土と炎にまみれたものではなく思いの外に文明的な――現代日本と「似て非なる」光景を持っています。血の色でもなかろうに差し色として配された赤は世界全体の錆を感じさせ、お世辞にも長居したいと思えぬおどろおどろしさがありました。……まあ気のいい女鬼が出てからの賑やかさを見ると、弁天が言うように矢三郎なら上手くやっていけた気もするけど。
ようやっと姿を現した早雲もまた、出だしから企みから「似て非なるもの」に事欠きません。姿も声も似せても彼は総一郎ではないし、自分は狸であることをやめたと――狸と似て非なるものになったとうそぶく。一方で彼は矢三郎達が自分と似た者だと(自分と同じ道をたどる)とも語りますが、これまでの文法から言えばそれは否定される道理になります。
似て非なるものの判別は、寄ってよく見なければできません。消えた父の臭いしかり、先々での海星の变化しかり、地獄の地鳴りの正体しかり。ならば二代目相手にしっぽを巻いているのとは「似て非なる」状態の弁天は何を考えているのか。金曜倶楽部の一員(似た者)になろうとしている早雲は何を考えているのか。一歩踏み込むであろう次回が楽しみです。
関連:
有頂天家族2 感想リスト
有頂天家族 第1話「納涼床の女神」
有頂天家族 第2話「母と雷神様」
有頂天家族 第3話「薬師坊の奥座敷」
有頂天家族 第4話「大文字納涼船合戦」
有頂天家族 第5話「金曜倶楽部」
有頂天家族 第6話「紅葉狩り」
有頂天家族 第7話「銭湯の掟」
有頂天家族 第8話「父の発つ日」
有頂天家族 第9話「夷川の娘・海星」
有頂天家族 第10話「夷川早雲の暗躍」
有頂天家族 第11話「捲土重来」
有頂天家族 第12話「偽叡山電車」
有頂天家族 第13話(最終回)「有頂天家族」
有頂天家族2第1話「二代目の帰朝」
有頂天家族2第2話「幻術師 天満屋」
有頂天家族2第3話「欧羅巴の香り」
有頂天家族2第4話「狸将棋大会」
有頂天家族2第5話「続・大文字納涼船合戦」

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