楽しんじゃえばいいの/サクラクエスト 7話感想
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考えてみると、今週の松風雅也はうめき声のワンシーンしか挙げてないのではw
サクラクエスト 第7話「煉獄の館」
©2017 サクラクエスト製作委員会



早苗の言葉に、由乃達のところへ戻る真希。現場では代役に入った凛々子が苦戦しており……? 映画撮影編の後編は、死と再生のお話。副題にある「煉獄」とは、天国と地獄の間にある、罪を清める炎で死者が焼かれる場所なのだそうで。間にあるという点で考えるなら、しおりの思い出の古民家は人が住むことはもうなく、かといって取り壊しも費用がかかってできない……という中間にある状態です。厳密には死んでないという映画のゾンビの設定も、上手く演技できないけど交代したらトラウマを抱えることになる苦境に挟まれる凛々子も、古民家の持ち主と連絡がつかないと偽って処置を宙ぶらりんにしていたしおりも煉獄の中に在る。
煉獄にいる様をもっとも描かれているのはもちろん本章の主役である真希であり、彼女は役者を続けるかやめるか、進退を決められない煉獄の中にいます。ですが、煉獄は地獄の苦しみを味わうためではなく天国への浄化のためにあるもの。かつて通った小学校、演技の練習をした桜の前や河原、願書を送ったポスト――しおりにとって古民家がただの箱じゃないように真希にとって間野山はただの田舎ではなく、それが彼女に元気を与えてくれる。校長に怒られた父撮影のビデオが真希への応援になるのは、それもただの映像ではないのだと感じられるものでした。
勇気づけられた真希の思いは、燃え盛る家の前に飛び込むという危険なシーンを萌に代わって演じるという形で結実します。面白いのは萌の姿が撮影用と普段用の区別なく統一されている事。これによって真希の行動は「他人の人生を演じる萌を演じる」という二重の代役構造を明確に保持したものになっています。役者とはすなわち想像上の人物の「代わり」であり、「他人で入れ替えることもできるがその人にしかできない結果がある」という早苗編の答えは、役者の世界には元より織り込まれていたのでした。ならば、真希が凛々子にしたアドバイスは逆に本章の答えとして読み替えることができます。
「お芝居なんてしょせん他人の人生なんだから、気負わなくたっていいんだよ。上手く演じようなんて思わなくていい。その状況を楽しんじゃえばいいの」
早苗が痛感したように代わりはいくらでもいるし、真希が挫折したように自分より優れた人は存在する。だからってそこで気負ったりしょげたりする必要はなくて、状況を楽しむことこそが事態の打開に繋がる――そういうことなのじゃないかな、と思います。
燃え盛る家(の前の穴)に飛び込むことで真希はスッキリし、しおりは由乃がスペシャルサンクスという形で古民家を大事にしてくれたことで思い出にひとつの決着をつけることができる。それは2人が1つの煉獄を抜け出せたということなのでしょう。同時に彼女達が集うシェアハウスもまた悩み弱った者達が集う煉獄であり、そこでの時間を重ねることでただの箱ではなくなっていく。1年間の国王という現場が終わった時に、由乃達が藤原のように笑顔でいられる終わりであって欲しい。そんな風に思えた回でした。

しかし早苗の尻に目をつけるとは良いセンスだクソガキども、ありがとうございますもっとやって。
<追記>
前回は街灯の灯り、今回は木漏れ日。微細な明るさの変化を真希の心に当てる演出が好き。#サクラクエスト #sakura_quest pic.twitter.com/28s7kv0n0z
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年5月19日
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