あんたにできるのかい/サクラクエスト 8話感想
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胸を張って力強く答える。
サクラクエスト 第8話「妖精のレシピ」
©2017 サクラクエスト製作委員会



間野山の新名物になるようC級グルメの開発に臨む由乃達。料理の腕ならしおりがピカイチだが、彼女は自分にリーダーは無理だと固辞し……? 代わりがいることを受け入れて進むお話の次は、「自分には代わり(リーダー、国王代理)なんてできない」と否定的なしおりを主軸にした物語。
今回は観光協会と商店会の対立が大きく現れたわけですが、両者の違い――方向性の違いは他の場面にも多々埋め込まれています。四宮家の農業の手伝いをしにきた由乃達と見学のつもりだったしおり、インパクトを重視する由乃達と地元食材を第一にするしおりのC級グルメ候補、互いにすれ違ったらしい高校時代の熊野とさゆり、しおりの結婚に対する家族の勘違いetc……認識はそこかしこでかけ違い、誤解を生んでいる。
ただ、方向性を同じにしよう!というのはおそらく今回設定されたゴールではありません。意気投合した早苗と真希のタッグは訳の分からない食べ物になるし、「全部茶色」で方向性が一緒の由乃のコロピカ焼きそばも同様。全員が商店会の方向を向いていなかった観光協会は窮地に立たされる。視点、つまり方向性が偏らないよう飲食店に話を聞こうというしおりの意見は至極まっとうです。
そうして見ていくと、方向性の違いはむしろ肯定的にも描かれていることが見て取れます。一緒に食事したいというさゆりの言葉に対する反応やエスカルゴを巡る祖父母のやりとりなどは話者と相手のやりとりがズレたものですが微笑ましく受け取られるし、熊野としおりが付き合うというしおり父の勘違いは彼女の胸に響く話に繋がる。必要なのはきっと、「蕎麦屋の心地でフレンチを」という熊野のレストランのモットーやその自然な継承、あるいは用件を勘違いしてもいれば服装もバラバラな由乃達がなお四宮家の手伝いをできたような、方向性の違いをゆるやかに繋ぐ何かなのでしょう。そのテーマ性はもちろんインパクトと地元性を両立する必要あるC級グルメの考案や、その発表会と納涼祭の両立にも内包されています。
踏み込んで言えば、しおりが今回の件を仕切るのはこれまでの彼女と「方向性の違う自分」を接続することでもあります。言い方を変えればそれは現在の自分と未来の自分を繋ぐことであり、生粋の間野山っ子の彼女の行動は間野山の現在と未来を繋ぐミニチュアモデルでもある。「だんないよ」という言葉に今が続くことへの安穏とした感覚と、変わりたくないという思いを無自覚に乗せていた彼女は、今回のお話で何を見せてくれるのでしょうか。
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