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まっぴらごめんさ/武装少女マキャヴェリズム 12話感想


 とことん不器用な者達の、手段選ばぬ選べぬコミュニケーション。



武装少女マキャヴェリズム 第12話(最終回)「少女達の「マキャヴェリズム」」
© 2017 黒神遊夜・神崎かるな / KADOKAWA / 「武装少女マキャヴェリズム」製作委員会
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 雨の降りしきる中、対峙する納村と天羽。果たして勝負の行方は……?
 最終回の副題は「少女達の「マキャヴェリズム」」。作品名にも冠されたこの言葉は権謀術数主義とも訳されますが、別に本作は知略に主眼を置いた内容ではありません。じゃあタイトル負けなのか……と言えばそれもまた違う。マキャヴェリズムの本質は目的のために手段を選ばないことであり、本作ではその「目的」が「勝利」ではないからです。
 「お前の戦いは勝つためではなく、自分の立場を示すためのものなのだ」――天羽の語るところこそは納村の「目的」。振り返ってみれば、五剣の皆も目的のために手段を選ばない少女達でした。母に許されるために鬼面を被る輪、彼女や妹分に負けないために自分の体も使う亀鶴城、ワラビンピックやクマ剣法なども駆使する蕨、人間を学ぶために意想外の手段をとるさとり、納村と友達になれないなら師匠になる月夜。みな、手段は常人離れしている。
 そして最たるはもちろんラスボスであり裏ヒロインである天羽で、その目的は納村に自分を見てもらうこと。まっとうに仲良くすることができない、つまりそれを選べない彼女が、自分にできる範囲で手段選ばず取った方法が戦いであるのは、バトルものとしては必然であると同時に、なんとも言えない皮肉さと切なさがあります。勝つことが目的でないならば、勝ちを譲ることすら手段になる。そして犠牲は大きかったけれど、確かにそれは叶い2人は分かり合うことができた。まだ物語が続く原作と異なり最終回となるアニメでは、輪もまた納村を学園に留まらせるために手段を選ばない(あえて残る選択肢を取るようにする)……というのもアニオリとして乙な対抗でした。

 バトルアクションという主柱を五剣を始めとした魅力的なキャラが支える。これが本作のエンターテイメント性の構造ですが、それはアニメ化にあたってより顕著に表れていたように感じました。ぶっちゃけバトルアニメとしては本作はどう見ても金のかけ具合が足りてない。おまけに肝の1つである武術ウンチクは動画とは圧倒的に相性が悪い。ならば何がアニメ版を支えるか?と言ったら、それは原作以上にキャラの魅力にかかってくるからです。そのあたりがどれだけできていたかは――原作ではアンケの落ちた熊相撲回、そしてバトルのないさとり編決着回などがアニメではどうだったかが如実に語ってくれているのではないでしょうかね。惜しむらくはその支柱が前面に出ているが故に、「テンプレラノベアニメでしょ?」と埋もれてしまったことかしらん。だからメディアが違うから!
 1話でどこまで進めるかのペース配分は概ね理想的でしたし、時折原作以上に頭のネジの外れた(褒め言葉)場面もあった。全体として、ベストではなくともベターな手段を模索し続けてくれたアニメだったのではないかなと思います。アニメを面白いと感じた方はぜひ、原作も手にとって見てください。大筋をアニメで知ってなお、楽しめる内容であると太鼓判を押させていただきます。スタッフの皆様、素敵な3ヶ月をありがとうございました。

関連:
武装少女マキャヴェリズム 感想リスト

漫画感想(「武装少女マキャヴェリズム」1巻)
漫画感想(「武装少女マキャヴェリズム」2巻)
漫画感想(「武装少女マキャヴェリズム」3巻)
漫画感想(「武装少女マキャヴェリズム」4巻)
漫画感想(「武装少女マキャヴェリズム」5巻)
漫画感想(「武装少女マキャヴェリズム」6巻)

武装少女マキャヴェリズム 第1話「素晴らしき刃「鬼瓦輪」」
武装少女マキャヴェリズム 第2話「「貞淑寮」騒乱」
武装少女マキャヴェリズム 第3話「麗しき刃「亀鶴城メアリ」」
武装少女マキャヴェリズム 第4話「「ワラビンピック」開幕宣言!」
武装少女マキャヴェリズム 第5話「愛狂しき刃「花酒蕨」」
武装少女マキャヴェリズム 第6話「ある「スキャンダル」の覚え書き」
武装少女マキャヴェリズム 第7話「妖しき刃「眠目さとり」」
武装少女マキャヴェリズム 第8話「彼氏彼女オネエの「事情」」
武装少女マキャヴェリズム 第9話「「愛」が壊れた日」
武装少女マキャヴェリズム 第10話「恐ろしき刃「因幡月夜」」
武装少女マキャヴェリズム 第11話「胸に残るあの日の「弾丸」」

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3 Comments

tara  

綺麗なオリジナル最終回でしたね。
積み「重ね」を載せた“魔弾”の描写は断じて迫力不足で残念でしたが;(あのシーンは原作の通りで良かったのに、何故…)

総括についてはまさにご指摘の通りかと(^^)
アクション描写は物足りなさがありましたが、キャラの魅力の掘り下げは声優さん達の芝居も相まって素晴らしかったです。
構成面での原作からの変更も、情報の取捨選択や見せるタイミングがよく考えられていたな~と。

2017/06/28 (Wed) 22:53 | EDIT | REPLY |   

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2017/06/28 (Wed) 22:57 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>taraさん


>綺麗なオリジナル最終回でしたね。
>積み「重ね」を載せた“魔弾”の描写は断じて迫力不足で残念でしたが;(あのシーンは原作の通りで良かったのに、何故…)
 格好良く見たかったのは正直なところですが、詰め方として色々難しかった気はしますね。自動反撃無効化→我慢してただけというのは映像化すると結構せわしないですし。最後の魔弾にこそ重さを持たせる選択だったのかなと思います。
 最後の輪の出会いの再演はなんとも素敵でした。言われないとアクセント直してるのに気付かなかった僕の間抜けぶりと来たらorz

>総括についてはまさにご指摘の通りかと(^^)
>アクション描写は物足りなさがありましたが、キャラの魅力の掘り下げは声優さん達の芝居も相まって素晴らしかったです。
>構成面での原作からの変更も、情報の取捨選択や見せるタイミングがよく考えられていたな~と。
 アニメから入った人の感想を見ると、ストーリーそのものを評価する向きがあって僕自身いろいろ気付かされました。これもまた、失ったものもあれば得たものもあるということでしょうか。アニメから原作に興味を持つ人がたくさんいてくれるといいなと思います。3,ヶ月、一緒に楽しめて何よりでした。

2017/06/29 (Thu) 22:32 | EDIT | REPLY |   

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