絵に描いたような/Re:CREATORS 14話感想
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絵に描いたようなことだからこそ。
>拍手返信:雪光さん
>>ネタ的な総集編という枠組みに収まらず、本作ならではのメタフィクショナルな視点で読み解く感想に唸らされます。多重構造的に実際の神代の地の住人たる我々にまで踏み込んだ上で、作画スタッフや監督に言及している台詞と紐付けると更に味わい深さも増しますね!
単純に笑えるものであるだけ、踏み込んでみた時にどんどん構造が多層的になっていくのは非常に見応えのあるものでした。やっぱり本作好きだなと毎週再確認してますが、今週は特に独特の切れ味があったというか。メテオラさんは本当にそのままがいいですw
Re:CREATORS(レクリエイターズ) 第14話「ぼくらが旅に出る理由」
© 2017 広江礼威/小学館・アニプレックス



アルタイルを倒す「鳥かご」を作るべくプロジェクトが始まった。とはいえ、短期間ですんなりと話が進むはずもなく……? 5話の感想で、国が事態解決に手を伸ばす事は「現実と創作の等列化」であると書きましたが、今回の話は再びその色合いが強いものであったように思います。特に現実側――それが創作に寄っている。
「エリミネーション・チャンバー・フェス」は出版社、アニメ製作会社、放送局などあらゆる関係会社を集めた「信じられない規模の、馬鹿みたいなプロジェクト」です。「信じられない」「馬鹿みたいな」……それはつまり「創作じみてる」ということに他なりません。実際、主導する菊地原には防衛次官と警察庁次長を合わせたくらいの権限があり、関係者にプロジェクトの実行をゴリ押しする姿は芝居がかってすらいる(「だまらっしゃい」「死ねと申し上げております」「国策事業を舐めないでください」)。メテオラ達が出展作ではなく現実の服飾に身を包み、バトルフィールドをスタジアムの中として具現化され、地道で「現実的な」被造物探しをしているのとは対照的です。
また、複数の創作がクロスオーバーするには作品世界観のすり合わせが必要であり、そのためには各創作者が寄り合い語り合わなければなりません。それは「創作者がクロスオーバーする」ということであり、本作において僕達の前で「見世物として披露されて」います。喧嘩の様子を駿河が絵にしたり「絵に描いたようなツンデレ」と評するあたり象徴的ですね。作品作りへの姿勢、他人と自分の比較、怒りに悲しみに自分への不甲斐なさetc……松原の案を八頭司が改訂したことに限らず、駿河の絵にまりねがショックを受け、立ち直る姿だってクロスオーバーの1つです。そして創作者達の姿は僕達視聴者の多くにとっては普段目にしないもの、つまり現実離れしていますが、まりねがサッカースタジアムという現実のスポーツを背景に「誰にでもあると思うんですよ」と語ることで僕達の現実に接続されている。現実サイドを描いているのこのありようが「力と勇気と正義のありよう」を教える創作として機能しているわけです。
クロスオーバーするのは現実と創作の2軸だけではありません。プロ(仕事)とアマ(遊び)の2軸もまたそうです。それは既にシマザキセツナがアルタイルを現界させたことでなされてもいますが、颯太もそこに飛び込んでゆく。松原と駿河が共に喫煙しているのは境界線の提示であり、灰がポトリと落ちるのはその破壊の具現。椅子で並んだ空間の外という颯太の立ち位置も含めて、このシーンは彼の役割がよく出ていたように思いました。
大崩壊がいつ起きるか分からない。それは、世界がいつ打ち切りになるか分からないという最大級の「創作化」です。はてさて、その残り限られた時間の中で新たに現れてくる存在は、果たしてどんな役割を担うのでしょうね。
関連:
Re:CREATORS 感想リスト
Re:CREATORS 第1話「素晴らしき航海」
Re:CREATORS 第2話「ダイナマイトとクールガイ」
Re:CREATORS 第3話「平凡にして非凡なる日常」
Re:CREATORS 第4話「そのときは彼によろしく」
Re:CREATORS 第5話「どこよりも冷たいこの水の底」
Re:CREATORS 第6話「いのち短し恋せよ乙女」
Re:CREATORS 第7話「世界の小さな終末」
Re:CREATORS 第8話「わたしにできるすべてのこと」
Re:CREATORS 第9話「花咲く乙女よ穴を掘れ」
Re:CREATORS 第10話「動くな、死ね、甦れ!」
Re:CREATORS 第11話「軒下のモンスター」
Re:CREATORS 第12話「エンドロールには早すぎる」
Re:CREATORS 第13話「いつものより道もどり道」

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