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私が選んだ私の物語/Re:CREATORS 19話感想


 「大失敗するかもしれない、愚にもつかないものになるかもしれない。頑張ったのに、何の意味もないまま終わるかもしれない。君は、それでもやる?」



Re:CREATORS(レクリエイターズ) 第19話「やさしさに包まれたなら」
© 2017 広江礼威/小学館・アニプレックス
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 アルタイルを守る最後の盾として現れたのは、セレジアと同じ「精霊機想曲フォーゲルシュバリエ」の主人公であるカロンだった。彼はかつてのアリステリアと同じく、創造主による世界改変を願っており……
 カロンの語る創造主像はかつてアリスが感じ、そして否定されたものですが、そのようなことを劇中で実際に行っている者はいます――誰あろう、アルタイル。「世界を改変できる」チートな力を持ち、作劇が観客にどう映るかを口にし、誰が脇役かを断じる。同士討ちというセレジア言うところの「酷い物語」を用意(創造)した彼女はアリスに「神にでもなったつもりか!」と非難される。ここで言う神とはつまり当初の「創造主」像と同等の存在であり、故にアルタイルは神代の地の住民たる観客(創造主の資格を持つ者)に「我が兄弟たち」と呼びかけるのです。

 かつて鹿屋は11話「自分自身のお話を自分だけのために書ける」と颯太に語りました(容易くはない、という但し書き付きで)。それは創造主と主人公に互換性があるということです。実際、今回のお話で「主人公」は「世界を救える者」だという定義はアリスの死によって否定される一方、「自分で道を選ぶ(お話を書く)者」としてセレジアを巡る描写で再定義されている。
 原作では主人公だったアリスは、「アルタイルの用意した物語世界の脇役」に過ぎずアルタイルを討つことができません。一方であくまで「作品世界の主役」に留まろうとするカロンは自ら選ぶことを放棄したことで「現実世界の脇役」に堕し、自分で道を選ぶことで「現実世界の主役」となったセレジアに戦術的に敗北する。そしてアルタイルが創造したのは同士討ちであって相打ちではない――この結末はセレジアが自ら選んだ、「自分自身のお話を自分だけのために書いた」結果生み出されたものです。またセレジアが自分の迷いで失敗した作戦を「皆で築き上げてきたもの」と語る姿は、作戦を「被造物」として彼女もまた創造に携わっていたということでもある。「自ら選んだ」ことによって主人公となったセレジアは同時に、創造主にもなったのが今回の話だったのでした

 本作では個々の作品世界はそれほど掘り下げられるわけではありません。せいぜい一度描かれる程度であり差別化に乏しい。逆に言えばそれは、登場する作品を重ねて見やすいということでもあります。ひかゆが決断できず後悔した自分の過去をセレジアに語るように。ブリッツが自分と比較する(重ねて見る)からこそ「普通は翔君と同じ結論に達する、私もそうだ」と弥勒寺の達観を評するように。そして「精霊機想曲フォーゲルシュバリエ」と「緋色のアリステリア」は、共に中世ファンタジー的な要素を持つという点で特に近しい位置にあります。原作での絶望的な状況からまっすぐな性格から現界後の戦う動機からアリスにそっくりなカロンは「まみかと出会えなかったアリス」がたどっていたであろう姿なのでしょう。しかしアリスは自分でアルタイルに反逆し、セレジアはアルタイルの用意した同士討ちの筋書きに逆らってみせた。「被造物が創造主に反逆する」という本作の始まりの筋書きは、アルタイルが創造主の座にふんぞりかえったことで別の形で再演されています。アリスが敗れセレジアが相打ちとなったように、「自分自身のお話を自分だけのために書ける」ことはけして容易くはないし、勝利できるとは限らない。それでも、自分で選んだその先にこそ黄金の結末があり得る。これから見せてくれるであろうその先を、来週を楽しみに待ちたいと思います。

関連:
Re:CREATORS 感想リスト

Re:CREATORS 第1話「素晴らしき航海」
Re:CREATORS 第2話「ダイナマイトとクールガイ」
Re:CREATORS 第3話「平凡にして非凡なる日常」
Re:CREATORS 第4話「そのときは彼によろしく」
Re:CREATORS 第5話「どこよりも冷たいこの水の底」
Re:CREATORS 第6話「いのち短し恋せよ乙女」
Re:CREATORS 第7話「世界の小さな終末」
Re:CREATORS 第8話「わたしにできるすべてのこと」
Re:CREATORS 第9話「花咲く乙女よ穴を掘れ」
Re:CREATORS 第10話「動くな、死ね、甦れ!」
Re:CREATORS 第11話「軒下のモンスター」
Re:CREATORS 第12話「エンドロールには早すぎる」
Re:CREATORS 第13話「いつものより道もどり道」
Re:CREATORS 第14話「ぼくらが旅に出る理由」
Re:CREATORS 第15話「さまよいの果て波は寄せる」
Re:CREATORS 第16話「すばらしい日々」
Re:CREATORS 第17話「世界の屋根を撃つ雨のリズム」
Re:CREATORS 第18話「すべて不完全な僕たちは」


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2 Comments

通りすがり  

今回は付け加える余地が見付からないぐらい考察が深い!(苦笑)でも悔しいから何か重箱の隅を突けないかとw

第一話で颯太が独白した台詞が改めて回収されましたが、現在までに物語上で提示されている二大テーマの片方が先週で頂点に昇り詰めた「承認」だとすると、もう一方が今回で言及された「主人公」でしたね。

しかし凡百の作品なら、せいぜい「主人公は中小企業の社長みたいなもの、絶対的な権限を持つ替りに全責任を負った窮屈な存在」辺りに落ち着く所ですが、そこは設定から構造に至るまで遍くメタ視点を取り入れた『Re:CREATORS』、あろうことか「創造主」「主人公」「脇役」を三竦み状態においてバトルロワイアルさせる「仮面ライダー龍騎」展開を用意するとは!!!(あくまでアルタイルVS反アルタイルではありますが)

この掟破りの人狼ゲームは、互いに役割を言葉と肉体言語で定義し合い、しかもその勝敗をジャッジするのは観客というバトルフィールドの外側にいる第三者であるという、本当に今後が見逃せない展開になってまいりました。

追伸:おじさん世代としては「沈黙の艦隊」で週刊モーニングで行われた「誌上総選挙」を思い出しました。ハハ♡

2017/08/29 (Tue) 20:07 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>通りすがりさん

>今回は付け加える余地が見付からないぐらい考察が深い!(苦笑)でも悔しいから何か重箱の隅を突けないかとw
 ありがとうございますW

>あろうことか「創造主」「主人公」「脇役」を三竦み状態においてバトルロワイアルさせる「仮面ライダー龍騎」展開を用意するとは!!!(あくまでアルタイルVS反アルタイルではありますが)
 仮面ライダー龍騎は見ていませんが、三すくみをそのアルタイルVS反アルタイルの形に収めているのがすごいところだなと思います。ぐるぐると各人の立場とやり方が入れ替わっていくのは圧巻ですよねー……
 沈黙の艦隊、ちょっと調べてみましたがこちらも読者投票があったのですね。これも面白い企画!

2017/08/29 (Tue) 20:57 | EDIT | REPLY |   

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  •  Re:CREATORS #19
  • 『やさしさに包まれたなら “The story continues, as long as there is someone out there, who believes in my existence.”』
  • 2017.08.27 (Sun) 12:45 | ぐ~たらにっき
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  •  Re:CREATORS<レクリエーターズ> #19 「やさしさに包まれたなら」
  • 大激戦!! 「Re:CREATOR」の第19話。 セレジア、瑠偉、アリステリアによるアルタイルへの渾身の一撃を妨害したのは セレジアと同じ「精霊機想曲フォーゲルシュバリエ」から顕界された主人公の「カロン・セイガ」。 初期のアリステリア同様に作品世界の改変を求めてアルタイルに付く。 地上では翔への説得がまずまず順調に進んでいた。 空では自らまみかを手にかけたことを告白したアル...
  • 2017.08.27 (Sun) 15:02 | ゆる本 blog
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  •  Re:CREATORS第19話
  • アリステリア消滅! ここまでは折込み済みだったボクですが セレジアさん逝った!
  • 2017.08.27 (Sun) 20:29 | うたかたの日々 でぼちん珠洲城遥万歳
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  •  【Re:CREATORS】 第19話『やさしさに包まれたなら』 キャプ感想 
  • Re:CREATORS 第19話『やさしさに包まれたなら』 感想(画像付) アリスちゃん、最後まで学習せず猪突猛進騎士として逝ったー! それもまた主人公らしい散りざまですけど…。 でもまさか、セレジアさんまで退場してしまとは…? 事件の最後まで残る主人公ってセレジアさんじゃなかったの? これはアルタイルには、創作されたキャラじゃダメそすですね。 クリエイター側が何かし...
  • 2017.08.28 (Mon) 02:01 | 空 と 夏 の 間 ...