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漫画感想「十 ~忍法魔界転生~」11巻

十 ~忍法魔界転生~(11) (ヤンマガKCスペシャル)


 原作・山田風太郎、漫画・せがわまさきの「十 ~忍法魔界転生~」11巻を読了。十兵衛と魔人として復活した父・但馬守の対決が描かれる巻ですが、こうして見ると個々の人物にみな優先順位があるのだなと思います。

 徳川頼宣は「我を通す」ことにこそ本意があり、たがらこそ宗意軒の指示に逆らいもすれば出府の道のりを柳生に変えお雛を犯そうともする。お縫やおひろにとっては少年・弥太郎が大切であり、そのためならば自分達が囚われの身になることも辞さない。そして但馬守は魔人となってなお、父石舟斎から相伝書を授けられなかったことが痛恨であり、ゆえにそれを渡すという十兵衛の誘いに乗る――相伝書を得ようとするにあたって平然と息子に刃を向ける魔人但馬守と、なおも説得を続けようとする十兵衛の姿は対照的です。しかしていざ斬りかかられようとすれば十兵衛はためらうことなく刀を抜き、相伝書を罠に但馬守を討つ。そしてそもそも十兵衛の用意した相伝書は彼の偽作であることが明らかになる。父のもっとも欲するところを的確に見抜き罠にする十兵衛の、なんと冷徹なことでしょう。地位も名誉も歯牙にかけない豪胆で闊達な性質は、こんなやり口とも背中合わせにある。
 けれどだからこそ、刀を投げ打つことなく冷静に納めた後、自ら手にかけた父を抱き寄せての無言の慟哭が胸を打つのです。人質を再度手の内に収めて去る荒木又右衛門を追わず、但馬守を墓に埋めようとする十兵衛を誰も責められないのです。確かに彼は父より他のものの優先順位を上に置いた。しかしそれは、父が彼に何の意味も持たない存在ということではない――眼帯の下、とことん見えない涙に、震わせられる巻でした。

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