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漫画感想「バンデット」4巻

バンデット(4) (モーニング KC)

 河部真道の「バンデット」4巻を読了。今回は楠木正成編。後世に忠義の将として伝わる楠木正成ですが、悪党が主役でありそこに人間性の回復を見出す本作がそんな素直な正成像を持ってくるわけがない。本作における彼は確かに後醍醐天皇のもっとも頼りになる部下となっていますが、それは忠誠心ではなく後醍醐天皇の「一瞬の熱情」に共感したから――言わば、同調者としての側面が強く描かれています。

後醍醐天皇「朕は自らが今この時のため生きてきた気がするのだ 京を追われ命を狙われるわが生涯最悪のこの今だ」
「幕府を倒し京に返り咲くのだという情熱 たとえ叶わず山中にのたれ死のうとも」
「今この胸にかき抱く一瞬の熱情のために朕は生まれて来た この我が熱情のために この世界は存在するのだ」


 自分の一時の思いのために世界が存在するのだというこの傲慢!控えめに言ってどうかしてるのですが、先述したように正成もその点変わらない。臆病なくせに、焼けつくような危機を全身全霊で切り抜ける「ひりつく」瞬間が欲しくて欲しくてたまらない。自分にそれをくれる、500人の城に攻め寄せる敵軍10万騎に「ありがと!!」とか言っちゃう。それはまさしく、自分の熱情に応えてくれる世界への感謝そのものです。
 「一瞬」というのは今回収録されている話によく見られるところで、長期的な視野に基づいて立てたはずの作戦はほとんど上手くいきません。大塔宮が20年過ごした延暦寺での挙兵は1日で叩き潰され、楠木正成の挙兵の前段階である石の国盗りははなはだ衝動的だし、正成の幕軍分割作戦は見事に外れて敵が押し寄せる。正成が新たな城を作るために大塔宮を石が守って1年逃げ回る囮になる……という予定は速攻で石が死にかけて半ばオシャカになる。盗賊あがりの鬼若にすら「その場しのぎしかしてない」とツッコまれる始末。しかしその一瞬の熱情こそが幕府を焦らせ、大塔宮への味方を呼び、瀕死の重傷を負ったはずの石の生還に繋がる。「ちょいと演出してやれば 芝居の筋書きは変わるのよ」なのです。さてさて次巻は年末発売。奇跡の復活を果たした石が次に見せてくれるものは。

 しかし本作の高師直はホント憎ったらしいツラしてるな……弟に上手く作戦が決まったと言われても失敗したと悔しがる姿は、逆に弟に作戦が失敗したと言われても「もっと危険な相手を倒したから大丈夫」と言う尊氏と奇妙な相似があって興味深いですが。

関連:
漫画感想(「バンデット」1巻)
漫画感想(「バンデット」2巻)
漫画感想(「バンデット」3巻)

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